マリアンネ・フォン・ヴィレマー 様
〈霊体〉
マリアンネ・フォン・ヴィレマー - Marianne Von Willemer
No.342  -  2012/8/16
(竹下氏による解説)

ゲーテ「西東詩集」のズライカと呼ばれた女性。
ゲーテ66才、マリアンネ16才、マリアンネは当時31才の銀行家の妻。
ゲーテとマリアンネの恋はプラトニックであった。マリアンネは大変な詩才の持ち主で、西東詩集は彼女の詩にゲーテが少し手を入れたもの。
西東詩集から詩をひとつ、参考のために取り上げます:

『西東詩集』より(ゲーテ)

  ズライカ
あなたはたくさんの詩をつくっては
あちこちのひとに贈ったのでしょう?
ご自分の手で美しく清書し
きれいな本に綴じ 金いろに縁取り
句読点にまでこころをくばって
心を誘う幾冊かをささげたのでしょう?
あなたがそれをさしだすと
それはきまって愛の担保であったのでしょう?

  ハーテム
そうです、数知れない危険がありました。
じっと見つめるやさしい眼差、
うっとりとさせるほほえみ、
まばゆいほどの白い歯、
まつ毛の矢、捲髪の蛇、
さそっては離さぬうなじと胸ー
でもそれはこうです、そんなに前々から、
すべては ズライカの出現を予言していたのです。