米Amazonはアメリカにて2年連続で税金ゼロ、さらに還付金まで受け取っている〜アマゾン・ジャパンでは販売システムという知的財産に課税できないという実質的な不平等条約である日米租税条約を前に打つ手なし

 巨大IT企業のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の一つであるアマゾンがトランプ減税の恩恵を受けていて、税金を納めないで済んでいるという驚きのニュースです。しかもそれどころか、逆に連邦政府から巨額の還付金を受け取っている!というのですから、ホント呆れるばかりです。
 これは法人税率が下がったことに加えて、トランプ減税にはおびただしい数の抜け道があるとのことで、2018年には納める税金はゼロで、逆に1億2900万ドルもの巨額の還付金をamazonは受け取っているというのです。なんとも”26人が世界半数の総資産を握っている”仕組みを垣間見るかのようです。
 新自由主義というのは国家を壊し、99%を奴隷にする1%のための仕組みだということがよくわかります。
 また、アマゾンはニューヨークに第2本社を移転させる計画を進めていましたが、市民団体などによる反発を受けて、移転を断念することになりました。
 税控除や優遇措置などのアマゾンの特権に対しての反発は想像以上に大きかったようで、第2本社移転に伴って約25000人の新規雇用の魅力を謳っていたアマゾンでしたが、地元住民はアマゾンという大企業の欲深さや労働者から搾取する仕組みをちゃんと見切ったようです。
 そこで気になったのがアマゾン・ジャパンです。調べてみると、やはり案の定といったところでした。
 アマゾンの便利な販売システムー顧客が欲しい商品をワンクリックすると、最速で当日もしくは翌日には手元に届くーは知的財産にあたるとして、日本法人から多額の「使用料」をアメリカ本社が吸い上げているというのです。そのために、課税対象となる日本法人の所得が圧縮され、法人税額が大きく減る(同規模の売上高を持つ国内小売りの10分の1以下)ことになっているというわけです。
 このあたりの取り決めは日米租税条約に基づいていますが、こうした二国間協議は”その国同士の力関係が大きくモノを言う”もので、実質的には「不平等条約」とのこと。建前上は独立国の体裁をしていても、やはりここでも属国扱いのようです。
 このままでいるのが都合いいとして国を売り続けるサギゾー政権には、とっととどいてもらって、民意を基にそれこそ真摯に立て直していく必要があるのかと。
(しんしん丸)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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アマゾン、2年連続税金ゼロのからくり
引用元)
<本来は利益のざっと半分を国と州に法人税を納めるはずが、あの手この手で実効税率はマイナス1%!>

世界最大のeコマースサイトでクラウドコンピューティング企業のアマゾン・ドットコムは、2年連続で米連邦税を1セントも払わないことがわかった。(中略)

連邦税をまったく払わずに済むのは、税法上の抜け穴を巧みに利用しているからだ。加えて、トランプ米大統領が2017年に成立させた税制改革法(TCJA)による巨額減税の恩恵も受けている。(中略)
トランプ減税のおかげで、アマゾンが2018年に支払うべき連邦法人税率は35%から21%に下がった。

アマゾンは2017年度も、56億ドルの利益を上げながら払った税金はゼロだった。(中略)

法人税率が下がったことに加え、トランプ減税には「おびただしい数の抜け道がある。それによって、利益のほぼ半分に課税される連邦と州の法人税を、当たり前のように回避している」(中略)

アマゾンは2011年から2016年まで、11%を超える税率で連邦法人税を払ってきたが、トランプ減税に乗じることで、その税率が今年はマイナス1%になる。それに税控除などを加えた結果、アマゾンは1億2900万ドルもの還付金を連邦政府から受け取るというから呆れる。(中略)

アマゾン創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスは、推定1362億ドルの資産を持つ、世界一裕福な人間であることは言うまでもない。
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配信元)
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アマゾンがニューヨークの第2本社を断念したことで、浮き彫りになった「不都合な真実」
引用元)
アマゾンがニューヨーク市に設置を決めていた「第2本社」の計画を撤回した。30億ドルにも上る税控除や優遇措置が地元住民の不利益になると主張してきた反対派の動きを受け入れたかたちだが、そこからは企業進出にまつわる「不都合な真実」も浮き彫りになる。(中略)

この新しいオフィスは、地元に25,000人の雇用を生むことが期待されていたプロジェクトだ。(中略)

ニューヨーカーの大半はアマゾンがクイーンズに来ることを歓迎していたが、地元議員や労働組合、一部の市民からは強い反発があった。こうした人々は、アマゾンが地元と結んだ協定が市や州、そして納税者に対して不公正であると主張していたのだ。(中略)

計画を巡って提供された情報が不十分だったことや、アマゾンが地方自治体から莫大な助成金を受け取ることについて不満を述べていた。また活動家や議員たちは、アマゾンの労働慣行と反労組の過去についても問題視していた。(中略)

「多くのニューヨーカーが提起してきた法的な懸念に対処するどころか、アマゾンは『われわれのやり方に従うか、さもなくばゼロかだ。われわれはニューヨーカーの懸念なんて考慮しない』と言うのです。これは責任ある企業がすることではありません(中略)

アマゾン進出に反対してきた大勢の人々は、進出断念の発表を“勝利”として祝っていた。「今日は真面目でありふれたニューヨーカーとその隣人たちが、アマゾンという企業の欲深さ、労働者からの搾取、そして世界で最も裕福な男の権力に打ち勝った日です」と、下院議員のオカシオ=コルテスはツイートしている。
(以下略)
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IT外資の法人税に苦戦 アマゾン日本法人は11億円
引用元)
 インターネット通販大手の米アマゾンといった世界展開するIT企業から、先進各国の国税当局が思うように法人税を徴収できずに頭を抱えている。各国の税制の違いなどを利用した企業の節税策に、打つ手がないからだ。(中略)

 アマゾンは2017年、日本国内で119億米ドル(約1兆3415億円)を売り上げた。(中略)日本法人が支払った法人税は約11億円。単純比較はできないが、同規模の売上高を持つ国内小売りの10分の1以下だ。

 巨大な物流施設に日用品や食料品、書籍など多彩な商品を保管。顧客がパソコンやスマホでほしい商品をワンクリックで注文すると、最速で当日や翌日に手元に届く――。日本の国税関係者によると、米アマゾンはこの一連の販売システムが知的財産にあたるとして、日本法人から多額の「使用料」を受け取っている。

 これで課税対象となる日本法人の所得が圧縮され、法人税額が大きく減っている。「もうけの多くが知的財産の使用料として持っていかれている」(国税関係者)という。日米租税条約で米国企業に支払われる知的財産の使用料に課税できない決まりもあり、当局に打つ手がないのが実情だ。
(以下略)
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なぜAmazonは日本で法人税を払わずに済むのか? 元国税職員が解説
引用元)
(前略)
「アマゾン・ジャパン」と「アマゾンジャパン・ロジスティクス」は、アマゾン本社から販売業務を委託されているという形になっておりますが、システム的に会社の利益のほとんどがアメリカ本社に吸い上げられる形になっており、日本ではほとんど利益が残らないのです。そのため、アマゾン・グループは日本で法人税を払わなくなっているのです。(中略)

アマゾンのアメリカ本社はアメリカで納税しており、「日本で納税すれば二重課税になる」として、日本の国税当局に異議を唱えました。そして「日米の二国間協議」を申請したのです。要は、「アメリカ本国の税法に従って納税しているので、文句があるならアメリカ政府に言え」ということです。それで、実際に日本とアメリカの二国間協議になったのです。その結果、どうなったのか、というと…、日本が全面的に譲歩する形になったのです。。。(中略)

実は、国際間の税金ではこういうことは、よくあることなのです。他国籍企業やグルーバルで収入がある人の税金については、関係各国で結ばれた「租税条約」に基づいて課税されることになっています。「租税条約」というのは、表面上は、お互いの国が平等にできています。しかし、細かい実務の運用となると、両国間での協議となります。そして、両国間の協議では、その国同士の力関係が大きくモノを言うのです。(中略)

日本とアメリカの外交関係は、表向きは平等になっています。しかし、実務運用面となると、アメリカ有利になることが多々あるのです。日本とアメリカとの関係は、今でも実質的には「不平等条約」なのです。
(以下略)

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