調和純正律で遊ぼう ~第4回 すごいぞ! 調和純正律

 前回は、調和純正律の祖先である純正律を紹介しました。純正律は、美しい響きをもたらす音律だったのですが、転調ができないという欠点のために平均律に取って代わられてしまいました。今回はやっと調和純正律の紹介です。

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(るぱぱ)
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第4回 すごいぞ! 調和純正律


調和純正律は、竹下氏が純正律を応用して作った音律です。

次の動画の曲は、調和純正律の調律で演奏したJ.S.バッハの「インヴェンション 第1番 ハ長調 BWV772」です。再生して聴いてみてください。本記事の中ほどで、平均律や純正律との聴き比べができます。
(原曲の一般的な演奏をご存知の方にはかなり違和感があると思いますが、あくまで調律の違いによる身体への作用を比べていただくためのサンプルです。何卒ご容赦ください。)




サウンド・テラピーの研究結果


東洋医学セミナーは多くの治療法を取り扱っていますが、その中にはサウンド・テラピー(音による癒やし)が含まれています。このサウンド・テラピーを研究する中で、竹下氏は次のことを発見しました。


 1. 特定の周波数の音が、対応する経脈やチャクラを活性化する
 2. A4 = 440Hzを基準音とした純正律イ長調の主音階音――図中①――、身体の経脈の一部を活性化する周波数になっている。
 3. さらに、残りの半音階音――図中②――竹下氏が独自に発見した周波数比で作ると、全12音すべてが、身体のすべての経脈を活性化する周波数になる。
 4. さらに、これらの12音階の中間にある14の音――図中③――を、竹下氏が独自に発見した周波数比で作ると、それらの音はチャクラ※を活性化する周波数になる。

※経脈とチャクラは、いずれも人間の身体にある気のレベルの微細な器官です。経脈は、中医学における正経十二経脈を含む気のルートです。チャクラについては「チャクラとは何か?」をご覧ください。

上の1.〜3.の成果にもとづくイ長調の12音階を作るための音律が「調和純正律」です

CD「サウンド・テラピー 〜 チャクラと経脈に作用する周波数」には、この理論を応用した、24の経脈と21のチャクラに作用する音が収録されています。これらは、ただのピーという音であり、一般的なヒーリング・ミュージックのような効果は通常考えられません。しかし、このCDにいただいた数々のお客様の声を見ると、竹下氏が発見した周波数は本当に身体に良い作用をもたらすといえます。



調和純正律による演奏の聴き比べ


冒頭の動画で演奏したインヴェンション第1番を、3つの音律で聴き比べてみましょう。

①平均律:

②純正律ハ長調:(十二音階の取り方はこちら

③調和純正律イ長調(冒頭の動画と同じ):

この曲は、主調はハ長調ですが、1分の短い間にト長・ニ短・イ短・ヘ長調と転調を繰り返す曲です。なお、経脈に作用する音を増やす目的で、原曲から1オクターヴ上げています。

①〜③のどの演奏が身体が軽くなり、呼吸が深くなるかを意識しながら、聴いてみてください。②と③を聴き比べていただいたときの、「美しく聞こえる音楽」と「身体がリラックスする音楽」の違いも感じてみてください。

◇ (参考)竹下氏に聴き比べてもらった際のコメント ◇

平均律は聴きなれたもので硬質な感じ。
調和純正律はとても良く経脈に作用しています。 調和純正律は呼吸が深くなるので、違いは歴然としています。


純正音程という考え方


竹下氏の開発した「調和純正律」の特徴をより理解するために、まずその祖先となる純正律の考え方をみてみます。次の図をご覧ください。


ある基準となる音(A)があるとき、

 (A)と①の間隔を「長三度」
 (A)と②の間隔を「完全五度」
 (A)と③の間隔を「完全八度」(オクターヴ)

といいます。

これらの間隔(音程)は、音楽でよく使われる音の組み合わせになっています。純正律は、これらの周波数比が、次のように単純で小さい整数同士になるように音を決めていきます

 ①長三度は4:5(例:ミの周波数はドの5/4倍)
 ②完全五度は2:3(例:ソの周波数はドの3/2倍)
 ③完全八度は1:2(例:ドの周波数は1オクターヴ下のドの2倍)

このような周波数比の取り方をした音程のことを、純正音程といいます。純正律とは、純正音程で作られた音律という意味です。

しかし、すべての音の組み合わせで純正音程を取る方法は存在しません。そのため、前回書いたように純正律は転調ができないという欠点があります。

そのため、中全音律キルンベルガーの調律法といったさまざまな改良版(不等分平均律)があらわれます。これらはいずれも、多様な調の曲で、純正音程またはそれに近い音程をバランスよく確保するために、さまざまな工夫を凝らしてきたようです。

Author:ジェラール[CC BY-SA]
キルンベルガー第3法の五度圏


「調和純正律」の革新的な考え方


竹下氏の調和純正律は、こうした純正音程の考え方とはまったく異なり身体に良い作用をもたらす周波数は何かという視点で作られたものです

純正音程――つまり倍音の関係にあり、うなりがない音程――だから響きが美しい。したがって良い音楽である。これは、一つの見方に過ぎません。西洋音楽史家の坂崎紀氏は「音律入門」の中で次のように述べています。

5.3. 「うなりがなければ正しい」のか?

 「うなりのない音程」が「美しい」あるいは「正しい」という主張も聴覚心理学的に検討されなければならないだろう。もし「うなりがあると美しくない」というなら、オーケストラの弦楽器群が発する盛大な「うなり」をどう説明するのだろう。適度なうなり、つまり微妙な周波数のずれがあるからこそ、オーケストラの響きは聴きやすくなるのではないか。

 また、調律したばかりのピアノは音が硬く、響かない。しばらく時間が経過して、適度に弦がゆるみ、周波数にずれが生じた段階で聴きやすくなる。余談だが、電子ピアノや電子キーボードは周波数が正確過ぎて適度なずれが生じないために、耳にきつい印象を与えるのだ。

 「古典調律のよさがわからないのは平均律に耳が毒されているからだ」などというのは、すでに2000年以上昔にアリストクセノスが指摘しているように、聴覚心理学・聴覚生理学を無視した、数比に固執するいささか筋違いの教条主義的批判というべきだろう。

調和純正律を応用した「サウンドテラピー」CDにいただいた数々の声を見ると、人間は身体に良い音を、好んで聴きたいと感じる可能性はないでしょうか。そして、そのような音楽は、美しいと評価されるか否かは別として、多くの人に好まれる可能性があるのではないでしょうか。

調和純正律の響きが、音楽界にどのように評価されるのかは今後を待たなくてはなりません。しかし、気のレベルでの身体への作用という独特な視点は、おそらく音楽史上見られないもので、非常に大きな可能性を秘めた音律といえます。少なくとも、身体を癒やす音楽を作る可能性が開かれたという点で、セラピーの分野において極めて重要な発見といえるのではないかと考えます


次回は、いよいよ調和純正律を用いて、パソコンで曲を演奏する方法に入りたい…ところでした。実は本連載の過程で、「チャクラに作用する和音」を竹下氏が開発しましたので、先にこれを紹介したいと思います


この記事は、シャンティ・フーラによる執筆記事です。音楽の分野に詳しい方におかれましては、もし間違いや説明上改善すべき点などがありましたら、ご指摘やご意見をいただければ幸甚です。ぜひ、こちらのコメント欄にフィードバックをお寄せください。



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