宗教学講座 初級コース 第96回 大乗仏教(般若心経:全文訳2)

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概要

前回は、説一切有部とナーガルジュナの思想を復習した。これを踏まえて、今回は武田紀久雄氏(以下T氏)のユニークな解釈による般若心経の全文訳を見ていく。そして前々回に見た玄侑宗久氏(以下G氏)の解釈と比較することで、同一の文章でも解釈次第で全く意味が変わってくることを示す。

目次

1.般若心経における舎利子(舎利弗)の役割 (00:00:00)

般若心経には小本と大本の二種があり、一般に知られ、本講で取り上げているのは小本の方である。大本によると、瞑想中の仏陀の代理として、観自在菩薩が舎利子の質問に答えるというかたちで、般若心経は作られている。これをT氏は、有部の実在論とナーガルジュナの空の立場の対立構造と捉え、面白い解釈をしている。

2.不垢不浄 不増不減 (00:13:41)

私(竹下氏)は宗教67回の講座で、地球は巨大な便所であることを証明した(ユーモア)。これをさらに発展させ、鉱物・ダイヤモンドが摂取する食物と排泄物についての考察(仮説)から、「不垢不浄」を解説する。

3.十二縁起と四聖諦の否定 (00:35:47)

般若心経における十二縁起の否定に関し、K氏は有部の十二縁起)(世両重の因果説)の否定と解釈しているが、G氏は般若波羅蜜多の行の瞑想の境地で得られる智恵と解釈していた。両氏の解釈は全く異なるのだが、どちらが正しいとは言えない。

4.「私」を離れたとき「命の層」が見えてくる (00:57:10)

「無智亦無得」について、T氏は有部の思想の否定と解釈しているが、G氏は「私の得失」など二元的な視点を脱却することが般若の知恵であり、「私」を離れたとき初めて「命の視点」に立てると解釈した。ここでは原発推進派、反対派という二元論など具体例を示して、G氏の言う「命(般若)の視点」を解説する。

5.今回のまとめと次回の予告 (01:23:43)

T氏とG氏は「空の思想」に重点を置くという意味で、同一の立場から般若心経を解釈していた。次回は、これとは全く次元の異なる、密教的立場からの解釈を紹介していく。

終わり(01:30:28)

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参考文献

プラスチック製品、ボロボロになる、レストラン・フォルネッロ、中国旅行、保安員、半減期、反原発のプリンス、太陽光を食べる、妻の誕生日、広瀬隆、放射能、未那識、東大教授、東電、死体、江田五月、消火液、潜在的な我意識、相互依存関係、科学技術庁長官、結合のダルマと分離のダルマ、自主規制、自衛隊、虚無論、西遊記の三蔵法師(玄奘三蔵)、車内の空間
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6件のコメント

  1. 参考になった(2)

    竹下さんに出会えて、損か得かの大脳的生き方から、少しは命を尊重する生き方に変わってきたように思います。でも日常生活のなかで損得の肉体意識に引きずられて苦しくなるときもあるのますが、苦しくなるってことがわかるようになったことは一つの成長かなとおもいます。

    講義のなかでおっしゃっていた「命の相」がもっともっとみれるように心を清めていきたいです。

    あと政府やメディアがずっと嘘をつくわけがないと条件づけられていましたが、どっちが正しいことをいっているのか考えると、上に立つ人たちには絶望します。この人間の世界は自分がおもっていたほど綺麗ではなく、自然は自分がおもっていたよりずっと綺麗なんだなと感じるこの頃です。

    ありがとうございました。

  2. 参考になった(0)

    「命の相」って良い言葉ですね。

    確かに命の本質についてもっと理解を深めることは、とても大事なことですね。

    ヴァーチャルな仮想世界に逃避するのではなく、生身のほんとに今最前線で起こっているリアルな出来事は学びの宝庫です。

    また、僕は「すべてはうんこ説」がすごく面白く、為になりました。後半になるにつれて妙に説得力が増して来ました。

    無意識に「自分の空間に境界というものを、規定してしまっている」というお話も、すごく興味深かったです。

    すべてはうんこの上に成り立っているのかもなあと、妙に説得力のあるお話が、自分にとってこの講義の回の、初見であり白眉の場面でした!
    .

  3. 参考になった(2)

    鉱物も光を食べている、というお言葉やすべてがう○こ説には、とても惹かれました。今話題のプルトニウムやウランも、「地球という星の中では、超元素としてα粒子を放出してやがて娘核である安定元素に変貌してく」と紹介していたブログの内容と私の中ではつながりました。
    α粒子がウランちゃんたちのう○こで、地球という星の中では、彼女たち自身がマントルのう○こなのかも? また、それらを無理やり連れ出し、化学変化させて、彼女たちの本来あるべき進化の過程を邪魔したことは、霊律違反極まりないと思いました。

    また、人間はある意味とても賢く、また愚かでもある、というご説明も良かったです。これは、前回か、またその前でしたか、右左脳両方をバランスよく使うことが大切、とおっしゃっていたことと繋がっていると感じました。
    最近、ベンジャミン・フルフォードという人の本やメルマガを読んでいるのですが彼の友人にアパッチ族の人がいて、彼らは地中を通る良質なエネルギーを見抜く技を習得させられる、と本の中で紹介していたことを思い出しました。
    左脳優位なデジタル人間を育てる教育ではなく、右左脳両方をバランスさせる教育へとシフトしてほしいと願うばかりです。

    最後の方での原発関連に関するコメントですが、大丈夫です、広瀬さんよりも先生の方がかなりソフトでしたよ。

  4. 参考になった(0)

    お話の一部で数学のベン図のように、この世はAかAでないか、きっぱり分けられるような二元論で思考することの危険性が語られています。ついつい、二元論で考えてないか、ふと自分を振り返るきっかけになりました。「私」を超えた知恵のお話も、気付きになりました。

  5. 参考になった(0)

    玄侑宗久氏によると、私(自分の体)というところから脱出する考え方が般若の知恵とのこと。脱出して全体を俯瞰してもいいし、無頓着になってもいいですね。

  6. 参考になった(1)

    久しぶりに出ました”地球う○こ説”。
    アンサイクロペディアで竹下先生を編集するとしたら、外せない説ですね。
    杭の話はツボに入ってしまい、しばらく爆笑していました。

    原発運動を例に、人間は、”レッテルを貼って、いい人と悪い人を同一視する。この頭の構造を止めた方がいい”とのご指摘に、大変納得いたしました。
    特に”いい人と悪い人を同一視”は、分かっていてもやってしまう心の動きだと思います。
    その都度、その都度で気付いていき、このような考え方から早く脱出したいと思います。