家族の絆 〜夫婦(65):リルケ(ドゥイノの悲歌)〜

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概要

前回はリルケの詩を紹介して、彼が大変な苦闘を経て「オルフォイスに寄せるソネット」に描かれた軽やかな境地へ至ったことを見た。今回はリルケのもう一つの大作「ドゥイノの悲歌」を取り上げる。第一〜十の悲歌で構成され全体で一つの作品だが一つ一つは独立しており非常に長く難解な詩であるため、ここでは第十の悲歌から抜粋して要点を抽出したかたちで紹介していく。

目次

1.「ドゥイノの悲歌」の成立過程 (00:00:00)

1910年1月、それまでの体験と思想の総決算ともみられる「マルテの手記」を完成したリルケは、ある公爵夫人の招きで北イタリア、アドリア海に臨む断崖の上に立つドゥイノの館に遊んだ。その後エジプトなどを放浪し、1911年10月再びドゥイノに客となり、この時霊感によって得られた詩句で始まる「ドゥイノの悲歌」は、その後約10年の歳月を経て完成を見た。この悲歌はリルケを通して降ろされたもので、本当の作者はリルケではない。

2.第十の悲歌・前半 (00:19:11)

「ああ、いつの日か怖るべき認識の果てに立って・・」で始まる第十の悲歌の要点を紹介していく。まず「歎き(夜々)」を避けている限り真実を知ることができないことが示唆される。そして「歎き」に導かれて若くして死にゆく者(死を自覚し死と向き合っている若者)が様々なものを見て描写していく。まず「悩みの都市」の生活の虚構が描かれ、そこを過ぎたところにこの世では比較的真実であるものたちが現れる。さらに先へ進んでいくと別の次元に入り、エジプトの風景をもとにした心象風景が描かれていく。

3.第十の悲歌・後半 (00:40:14)

「歎き」に導かれて若くして死にゆく者はさらに先へと進み「人間の世界ではこれが担いの流れとなる」喜びの泉(真実の愛)を見る。次に「歎き」と別れ、ただひとり死者は「原苦」の山深くへのぼり無限の死に入っていく。そして「・・驚愕にちかい感動をおぼえるであろう、降りくだる幸福のあることを知るときに。」の句で第十の悲歌を閉じる。

4.なぜ真実の愛を乗り越えていくのか(本当の作者は誰) (01:01:31)

前章で見たように、私(竹下氏)の世界観では究極のものである真実の愛・喜びの泉は乗り越えていくべきものとして描かれている。なぜこのような展開になるのかは、愛の五相の観点から一応の解釈は可能である。しかし、ここを本当に理解するには、本当の作者の半生を見なければならない。詳細は次回に譲り今回はその名を明かすに留める。

終わり(01:18:15)

※詳しい目次は、映像を購入してログインすると見ることができます。

参考文献

  • 「ドゥイノの悲歌」手塚富雄訳、アトリエHB
たなごころに書かれた大文字M、ゲーテ「ファウスト」中公文庫、サラ・ブライトマン、ヒカリハナツミ様、マリー・フォン・トゥルン・ウント・タクシス=ホーエンローエ公爵夫人、ラフマニノフ、三途の川を渡る、人間と天使の対比、夜・パンと葡萄酒、大道芸人・軽業師、天使への愛、性の衝動、神が来た、神への愛、金メッキの喧騒
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6件のコメント

  1. 参考になった(5)

    降りくだる幸福、嘆きと向き合う事で得られるもの。今までの一般的な幸福の価値観と逆のものにも幸福が見えてきました。

  2. 参考になった(4)

    リルケは「永遠の平安」とは歎き(孤独)を乗り越え、降りゆく幸福=若きゆく死にゆく者や、昇る幸福(高みに昇りゆく存在)に思いをはせる者=英雄と、詩の中に書いた。
     孤独から目をそらし、逃げたり避けていたら永遠の平安と真実の愛に到達できないと表現されました。

    しかし、竹下先生は、歎きや若き死にゆく者、英雄を超えて行くというリルケの詩から、深い悲しみを感じたと・・・。

    私はリルケという詩人を、先日知ったばかりですが、そのリルケの詩を解説し、それを”深く悲しい”と感じたことを素直に話され、真実の愛への道しるべを”夫婦の愛”だと開示してくださって下さる竹下先生が、もっとも偉大に思えました。

    次の映像配信のヘルダーリンという詩人も、出会えることが楽しみになってきました。

  3. 参考になった(2)

    この回と、次の回(66)を見てから、
    実際に、「ドゥイノの悲歌」を読んでみました。
    (岩波文庫から、手塚富雄さん訳のものが出ていました)

    手塚さんの詳細な注釈がついていて、
    それだけでも十分理解できたのですが、
    さらに竹下先生に教えてもらった、「本来の作者」の境遇を頭に入れながら読むと、
    いろんな箇所で辻褄が合い、格段に分かりやすくなりました。

    引用部分だけでなく、作品全体を読んでみると
    「本来の作者」の当時の心情が、より深く理解できました。

  4. 参考になった(2)

    哲学や詩は、難解な気がして遠ざけてきました。
    でも、竹下先生が解説してくださるリルケ「オルフォイスに寄せるソネット」は、ただひたすら美しく感動的でした。
    リルケに興味を持って、今回2回目ですがこな講義を新たな気持ちで拝聴しました。

    先生の解説を聞いていなければ、自力ではこの詩人の表現したかった深いところまで到底理解出来ませんでした。
    それに講義をきくことにより、
    リルケもそうですが難解そうで近づくことすら出来なかったキルケゴールがとても近しい「友」のように感じられます。
    苦しみや孤独をあの様に表現できるのか…、と。
    何年かぶりに拝聴した講義ですが、前回とは全く違う新たな感動がありました。
    ありがとうございました。

  5. 参考になった(6)

    欲望を一切離れた完全に純粋な境地に至るには、嘆き(夜、孤独)から逃避する生き方をしてはいけないとのこと。逃避せずに、むしろ味わい尽くすことが重要ですね。

  6. 参考になった(2)

    急に、指導者との別れが起こりました。こんなものかと、あっけなく感じていましたが、胸に占めてた寂しさと、しっかりと取り組もうと思いました。7つのチャクラのCDを聞きなら。子供みたいに声上げて泣いたんですよ。お蔭で、今悩んでる人間関係への糸口も見えてきました。そんな時にN様のコメントに触れて、あーここだったと、うれしくて、もう一回、聴き直したいところに、導いてくれました。コメント欄て、ホントに素敵なコーナーですね。