ワグネル、バフムート離脱を転換か 「弾薬を約束された」と創設者

Yevgeny Prigozhin

画像提供, Concord Press Service

画像説明, 「ワグネル」創設者のエフゲニー・プリゴジン氏

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は7日、ロシア当局が弾薬供給に同意したと述べた。同氏は2日前、弾薬が不足しているとして、ウクライナ東部バフムートからの離脱を表明していた。

プリゴジン氏は4日、ワグネル戦闘員の数十体の死体を背景に撮影された映像で、ロシア軍トップらを激しい言葉で非難。翌5日、ワグネル戦闘員を10日までにバフムートから離脱させると脅していた

しかしプリゴジン氏は7日、「戦闘の継続に必要な」物資の提供にロシア当局が同意したと発表。離脱方針を転換させる考えを示した。

同氏は注目集めの言動で知られ、これまでも「脅し」を実行しなかったことがある。そのため、今回のUターンは大きな驚きとしては受け止められていない。

バフムートは都市として、戦略上の重要性が疑われている。それでもロシア軍とワグネルは制圧を目指し、何カ月も戦闘を続けている。

西側当局は、この戦闘でロシア軍とワグネルは数千人の死者を出しているとみている。そうしたことからも、バフムートは象徴的な意味が高まっている。

ワグネルが残ることを示唆か

プリゴジン氏はこの日に出した新たな声明で、ロシア軍とワグネルの調整役にセルゲイ・スロヴィキン将軍が任命されたとした。同将軍は、昨年10月から今年1月までウクライナでロシア軍を指揮した。

プリゴジン氏はスロヴィキン将軍を「戦い方を知っている唯一の将軍」と評価。「合理的な将軍は他にいない」とした。

バフムートからの離脱方針については、プリゴジン氏は明確には転換を表明しなかった。しかし、「バフムートで適切に行動する」許可が与えられたと説明。ワグネルの部隊がとどまることを示唆した発言と受け止められている。

ロシア政府はこの声明に関してコメントしていない。

ワグネルとロシア軍の関係

ロシア軍とワグネルは味方同士ではあるが、関係は必ずしも良好ではない。

プリゴジン氏は、弾薬不足のためにワグネルの死傷者が急増しているとし、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相やヴァレリー・ゲラシモフ軍総司令官をしばしば激しく非難してきた。

4日の動画でも、「ショイグ! ゲラシモフ! 弾薬はどこだ! この連中は志願兵として来てお前たちのために死んでいった。お前らが豪華なマホガニーのオフィスでぶくぶく太っていけるように」と怒りをあらわにした。

一方、ウクライナ側は、ワグネルのバフムート離脱について懐疑的に見ていた。

ハンナ・マリャル国防次官は5日、ワグネルがロシア戦勝記念日の9日までにバフムートを攻略しようと、実際には雇い兵らの再配置を進めていると述べた。