LGBT法案 与党案の修正案 衆院本会議で賛成多数で可決

LGBTの人たちへの理解増進に向けた議員立法は、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党が合意した与党案の修正案が、13日の衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院に送られました。

LGBTの人たちへの理解増進に向けた議員立法をめぐっては、与野党から3つの法案が提出されましたが、先週、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党が、維新の会などが提出した法案の内容を盛り込んで、与党案を修正することで合意し、修正案は衆議院内閣委員会で可決されました。

13日は、衆議院本会議で修正案の採決が行われ、4党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

立憲民主党と共産党、れいわ新選組などは、おととし、超党派の議員連盟でまとめた法案より内容が後退しているなどとして反対しました。

可決された法案では、「性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならない」として、LGBTの人たちへの理解を増進する施策をするため、政府が基本計画をつくることなどを定めています。

そして、「法律に定める措置の実施にあたっては、すべての国民が安心して生活できることとなるよう留意する」という文言が盛り込まれています。

4党は、この法案を参議院でも速やかに審議し、今の国会で成立させたい考えです。

自民の一部議員 欠席や採決前に退席

この法案をめぐっては、自民党内の保守派の一部に反発する声が根強くあり、13日の衆議院本会議では、欠席したり、採決を前に退席したりする議員が見られました。

自民 高鳥修一衆院議員 一時退席して採決に加わらず

修正された与党案を評価しない考えを示していた、自民党の高鳥修一衆議院議員は、本会議を一時退席してトイレに入り、採決には加わりませんでした。

本会議の終了後、高鳥氏は記者団に対し「おなかが痛かった。今は詳しいことは言えない。時が来たら話したい」と述べました。

自民 中村裕之衆院議員 懸念示すも本会議で賛成

先週の自民党の代議士会で、修正前の与党案に懸念を示し、採決では、党議拘束をかけないよう求める発言をした中村裕之・衆議院議員は、衆議院本会議で賛成しました。

中村氏は記者団に対し「大変迷ったが、賛成した。100点満点ではないにしても法案が修正されたことは一定の評価をしなければならない」と述べました。

岸田首相「幅広い合意が得られることを期待」

岸田総理大臣は記者会見で、LGBTの人たちへの理解増進に向けた議員立法について「国会で議論されているさなかに政府の立場から内容について評価することは控えなければならない」と述べました。

その上で「引き続きできるだけ幅広い合意が得られることを期待したい。政府としては、多様性が尊重され、すべての人々が互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、さまざまな国民の声を受け止めてしっかり取り組んでいく」と述べました。

一方、同性婚の法制化については「制度を法律として作ることになると、幅広い国民の皆さんにさまざまな影響が出てくるという課題もある。司法の動きなどを踏まえ、国民や政治の中でどういった議論が進むのかを注視しながら、多くの国民の声を聴き、政府としても責任を果たしていきたい」と述べました。

立民 泉代表「大変残念 当事者から失望の声があがる結果に」

立憲民主党の泉代表は、党の会合で「当事者と一緒に作り上げてきた法案ではなく、政治の事情や損得で勝手に作られた法案が可決され、大変残念だ。当事者から失望の声があがる結果となってしまい、参議院での採決で改めておかしいという声をあげて、当事者に寄り添っていきたい」と述べました。

公明 山口代表 “同性婚を認める法整備の議論を”

公明党の山口代表は、記者会見で「与野党が提出したどの法案も成立せずに、性的少数者が放置されることが最もまずいことだ。議論は尽くした上で、最終的に与党と一部の野党で合意した修正の内容で成立を図ることが重要だ」と述べました。

一方、同性婚をめぐる集団訴訟で1審の判断が出そろい、
▼「違憲」が2件、
▼「違憲状態」が2件などとなったことを踏まえ
「司法の動向は、国会の議論よりも一歩先を行っているように評価できる。世論の流れや司法の動向も見た上で、法案を成立させ、その後の施策の推進に結び付けるべきだ」と指摘し、同性婚を認めるための法整備の議論を行うべきだという考えを示しました。