[The Voice of Russia]ヌーランド氏のキエフ訪問、吉(平和)と出るか、凶(戦争)と出るか?

竹下雅敏氏からの情報です。
 記事を見ると、ウクライナの状況は悪人同士が仲たがいしており、お互いに滅ぼし合うような様相になっています。悪人どもが、ウクライナの南部・東部の制圧に失敗した責任を互いになすり付け合っているようで、金もなく西側からの実質的な支援も無いということで、崩壊寸前の様相です。
 ロシアにガス料金の未払い分を請求されたら、一体誰が払うのか。この政権が長くもたないのは明らかで、取りあえず延命させるために、ヌーランド米国務次官補がキエフを訪問したということのようです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ヌーランド氏のキエフ訪問、吉(平和)と出るか、凶(戦争)と出るか?
転載元)
© Photo: East News/AP

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ヌーランド米国務次官補は急ピッチで選挙戦への準備が進むキエフを訪問した。訪問の目的については、選挙でライバル候補となってしまったヤツェニュク首相とポロシェンコ大統領の仲直り工作から、ウクライナ南部、東部への新たな攻撃を駆り立てる話まで、様々な憶測が飛んでいる。

ヌーランド氏のキエフ訪問といえば、最も記憶に新しいのは2013年12月、彼女がマイダン広場に駆けつけ、「ヨーロッパを選択」し、「民主主義」に邁進する人々に支持を表して、手ずからクッキーを配りまくったことだろう。この邁進は翌年2月、合法的に選出されたヤヌコーヴィチ大統領政権の転覆で大いに結実した。米国のほかの面々のウクライナ訪問もヌーランド氏に負けず劣らず「実り多い」結果をもたらした。そんななかにはCIAのボスや副大統領、国務長官の姿がある。こうしたお歴々がウクライナに来ることで、ドネツク、ルガンスク州に対し戦いの火蓋が切って落とされ、停戦が破られてしまった。このことから、今南部東部では懸念が広がっており、ヌーランド氏が去った後、キエフ当局はドンバスの義勇軍に対して、停戦合意で中断していたはずの戦闘行為を全面的に再開するのではないかと危ぶむ声が上げられている。

 だが、仮にこの危惧が根拠のないもので、ヌーランド氏もポロシェンコ大統領に戦争を強要する気がなかったとしても、気を緩めることはしないほうがいい。ウクライナの内政状況は選挙を控え、まったくもって単純なものではない。大統領、首相の支持者らは議席をめぐって熾烈な戦いを展開しており、米国に忠実なこの2人による連立も、最後は崩壊する可能性があるからだ。ヌーランド国務次官補の訪問課題にはおそらく、ポロシェンコ+ヤツェニュクのスクラム維持という保障を取り付けることが含まれていたものと思われる。

だがこれだけに問題は終わらない。マイダンの元戦友は完全に仲たがい
してしまったからだ。

国粋主義政党の「ラディカル党」の党首、オレグ・リャシコ氏はドネプロペトロフスク州の知事でウクライナでも最も裕福な人物に数えられるイーゴリ・コロモイスキー氏を「臭い面の吹き出物」と蔑み、選挙キャンペーンの枠内でリャシコ氏を攻撃する情報攻撃を展開したとして、彼を必ずや殺してやると約した。


 ウクライナ軍部隊の司令官らも、南・東部の義勇軍と戦った後、キエフに戻り、同じく選挙戦に立候補するという。彼らが議席を獲得してもウクライナにもその隣人らにも何もいいことはない。司令官たちはポロシェンコが停戦合意にサインしたことに不満を抱えている。とはいえ、停戦がなければ彼らの多くは義勇軍の攻撃で今頃死んでいただろう。義勇軍はウクライナ軍、親衛隊を事実上粉砕していたのだから。このあからさまな敗退を親衛隊の司令官らは「無能な将軍」や「身売りした政治家」のせいだと捉えており、選挙戦で勝利した暁にはこいつらとけりをつけてやると豪語して、勝利を疑ってもいない。それに負けても、これは新たなマイダン事件を始める口実になるわけで、そうなると今度は火炎瓶による応戦ではなく、機関銃をぶっ放すに違いない。

 ウクライナ情勢に不満を持つのはマイダン出身のほかの革命家らもそうだ。
彼らは、ヤヌコーヴィチ大統領打倒に忠実なオリガルヒ(新興財閥)の代わりにやってきたのは他のオリガルヒで、今度のやつらは対立する政治陣営出身だったことに気づいた。そして国の生活はちっとも良くはならなかった。

それどころか、戦争には金がかかり、ロシアと経済的に分断されてしまい、西側からの実質的な支援もないといった状況はウクライナ経済を崩壊一歩手前まで追い込んでいる。 マイダンのヒーローたちはこれは現政権が悪いからだととらえ、「お祓い」を要求している。つまり、上のポストから役人、政治家をみんな追放せよというわけだ。しかもこの「お祓い」をマイダンの市民らが自らの手で行っており、自分たちに都合の悪い活動家を殴りつけ、ごみ捨て場のコンテナーにつっこむことで、強制的に退職願を書かせているというわけだ。

 これは民主主義とは似ても似つかない。最も想起させるのは1930年代、ドイツで吹き荒れたナチスの乱痴気騒ぎだろう。だが米国は、ウクライナで民主主義が勝利するよう執拗に求めており、ウクライナを支持することを約束している。それは、キエフ政権と通りで政権を打倒した国粋主義者の戦闘員が、これに不満をもち、反対する市民をテロのわなにかけようが、南・東部の親衛隊が駐屯した場所で多数の一般市民が拷問にかけられ、殺戮され、集団埋葬されたというニュースが飛び込んでこようが、一向に代わらない。これこそまさに、米国がウクライナ流「民主主義」の本質を見ようとしない証であり、これがためにウクライナ政権は正真正銘のナチスやならず者が占めかねない事態に陥っている。ヌーランド女史はこれを阻止することができるのだろうか? そもそもそれを欲しているのだろうか? これは難しい問いだ。

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