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急速に緊迫化するロシアとアゼルバイジャンの関係 ~ロシアを抑え込みたい他国の思惑

竹下雅敏氏からの情報です。
 ロシアとアゼルバイジャンの関係が緊迫化してきました。
 ニキータ氏は、“もともとロシアとアゼルバイジャンは大人の関係と言いますか、程よい距離感で良好な関係を保ってきた(2分11秒)”と言っています。
 ことの発端はロシアのエカテリンブルクで6月27日の早朝、治安部隊がアゼルバイジャン人達が住む10軒以上のアパートに一斉に踏み込み、50人以上を拘束したことにあります(5分59秒)。2001年に起きた殺人事件の再捜査ということですが、その際に主犯格の兄弟2人が死亡しました。
 アゼルバイジャンはこの2人が死亡したことをメディアで大々的に報じており、“アゼルバイジャン政府は28日、拘束活動中に「許しがたい暴力」を振るったとしてロシアを非難する声明を発表。予定されていたアゼルバイジャン議員団の訪露や両国の友好行事も全て中止”しました。
 さらに6月30日には、アゼルバイジャンで治安部隊がロシアのスプートニク・アゼルバイジャンの事務所の捜索に入り幹部2名を拘束(1分19秒)、アゼルバイジャンのメディアはこの2名をロシア連邦保安局FSBの職員、つまりスパイだと報じています(1分37秒)。
 ロシアとアゼルバイジャンの関係は、2024年12月25日に起きた『アゼルバイジャン航空8243便墜落事故』でおかしくなっていました。
 アゼルバイジャンのバクーからロシア連邦・チェチェン共和国グロズヌイへ向かっていたアゼルバイジャン航空8243便は、カスピ海上空を飛行中に緊急事態を宣言し、カザフスタンのアクタウ空港への緊急着陸を試みたが、機体は地面に墜落し爆発炎上しました。
 ロシア当局は、バードストライクが事故原因との声明を出していましたが、その後に対空ミサイルの攻撃によるものとみられる機体の破損画像がSNSを通じて拡散、ウクライナ軍のドローンを迎撃するために発射されたロシア軍の地対空ミサイルによる誤射との見方が強まっていました。
 こうした経緯はあるものの、今回のアゼルバイジャン政府の対応にロシアは困惑しています。ツイートの金子吉友氏は、「裏ではアゼルバイジャンをロシアから引き離し関係を強化したいトルコが動いているという話さえ出てきていますね。」と言っています。
 “続きはこちらから”の櫻井ジャーナルによれば、RANDコーポレーションが2019年に出した報告書で、ロシアを抑え込む手段として「アルメニアとアゼルバイジャン間の緊張関係の活用」を挙げているとのことです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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【時事ネタ】グローバリストの仕掛け⁈アゼルバイジャンに異変!〜7/2水曜版です🫡‼️
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ぴょんぴょんの「呪われた兵士」 ~ナチス・共産主義に抵抗するために戦った市民たち

 ポーランドの新大統領、ナヴロツキ氏について調べていた時に、気になったことがあります。
 ナヴロツキ氏は歴史学者で、これまでに「第二次世界大戦博物館」館長、「国家記憶研究所」所長を務めた経歴があります。そんなナヴロツキ氏が、「『呪われた兵士』をポーランドの国民的英雄と称し、彼らを記念する『国家記憶の日』を制定した〈法と正義党〉を称賛した」というのです。(Wikipedia
 「呪われた兵士」って何?
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「呪われた兵士」 ~ナチス・共産主義に抵抗するために戦った市民たち

最後の「呪われた兵士」と呼ばれるジョゼフ・フランチャク


むか〜し、むかし、「呪われた兵士」という一団がおったそうじゃ。

へえ? 今日は暑いから怪談かな?

いや、これは、「呪われた」と言っても怪談じゃない。実際に起きた話じゃ。

なあんだ、で、どんな話?

1963年、共産党支配下のポーランドの話だ。ある農家の納屋を、軍事警察が取り囲んでいた。中にいるヤツに、投降するよう呼びかけている。だが、中のヤツは「地元の農民だ」と言って出てこない。身分証明書の提示を求めると、そいつが発砲したので、銃撃戦が始まった。そして、そいつは死んだ。彼は、最後の「呪われた兵士」と呼ばれる、ジョゼフ・フランチャク(1918年 – 1963年)だった。Wikipedia

ジョゼフ・フランチャク
Wikimedia_Commons[Public Domain]

カッコいいなあ。ポーランド版ラスト・サムライだね。

そう、45年の生涯のうち、24年間を抵抗運動の戦士として生きたフランチャクの人生は、まるで映画を見るようだ。

どんな一生だったの?

フランチャクは憲兵学校を卒業して、ポーランド軍に入隊した。その後、ナチスの捕虜になったが、脱走してAKに入隊した。

AKって何?

ポーランド語で「アーミア・クロヨーヴァ(Armia Krajowa)」、略してAK。日本語では「国内軍」「地下軍」、英語では「Home Army(ホーム・アーミー)」とも呼ばれる。

Author:Topory[CC BY-SA]

ポーランド軍に戻ったんじゃないの?

ポーランド軍はとっくに国外に出て、連合国側について戦ってたの。

ええ?! 国を見捨てたってこと?

う〜ん、しかたない、最初っから話してやるか。

お願いします。

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ぴょんぴょんの「ナチスと共産党の狭間で」 ~第一次世界大戦で100年ぶりに独立したポーランドは、第二次世界大戦で生贄にされた

 毎度のことですが、記事を書くたびに「ここまでの人生、ほんと何も知らずに生きてきたなあ」と実感します。特に、前回のポーランド大統領選挙の話で、ポーランドについて、ほとんど何も知らないことに気づかされました。
 そこで、ポーランドについて調べ始めたのですが、いやいや、ポーランドの歴史は複雑で。第一次世界大戦以降ですら、一朝一夕で理解できるようなものではない。
 そうか、だからこれまで、なんとなくポーランドを避けて来たのか。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「ナチスと共産党の狭間で」 ~第一次世界大戦で100年ぶりに独立したポーランドは、第二次世界大戦で生贄にされた

ナチスとソ連で2分割されていた


なあなあ、無間地獄と焦熱地獄、どっちがいい?

ええっ? いきなり、何?! どっちもイヤに決まってるやん。

じゃあ、ナチスと共産党の支配、どっちがいい?

もお、同じような質問しないでよ! どっちもイヤに決まってるやん。

すまんすまん。ポーランドが追い込まれた状況を考えたら、そんな疑問が湧いてくるんだ。

ポーランド、無間地獄と焦熱地獄の選択を迫られたの?

いや、実際には選択どころか、両方から攻められた。西からはナチス・ドイツ、東からはソ連、そしてあっという間に、ナチスと共産党で2分割された。

うわあ〜〜!

2009年のポーランド国家記憶研究所(IPN)の推計によると、ドイツ占領下で死亡したポーランド市民は562万〜582万人、ソ連占領下で死亡したポーランド市民は15万人、シベリアなどへ 強制送還されたのは32万人と推定されている。Wikipedia

あれ? ソ連占領下の死者は、ドイツとケタがちがう。

ソ連もひどかったが、ドイツよりましだったそうだ。実際、ドイツの支配地域から、ソ連の支配地域に逃げてくる難民も多かったと言う。

それでも、無間地獄と焦熱地獄の差だよね。

実際には、ソ連の支配地域は産業が発展し、失業も解消され、生活水準は改善され、多くのサービスが無料または低料金で利用でき、貧困層や技術教育を受けた人々はポーランド統治下よりも恵まれていたそうだ。Wikipedia


う〜ん、でも、ソ連にも言論弾圧があるでしょ? 共産党を批判したら逮捕されて拷問でしょ? やっぱ、どっちも地獄じゃん。

たしかになあ。

そう言えば、ポーランドのイメージって暗いよね。アウシュビッツがあるのもポーランドだし。戦場のピアニスト」も、第二次世界大戦中のポーランドが舞台の、怖くて悲しい映画だったし。


だが、現在のポーランドはちっとも暗くない。EUにもNATOにも加盟していて、人口が3800万人以上でEU内で5位。GDPもEU内で5位か6位につけている。しかも、高い生活水準、安全、経済的自由、大学教育の無償化、充実した医療制度。Wikipedia

うわあ、大学がタダ?

教育を重視しているのがわかるよな。

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ぴょんぴょんの「ポーランド大統領選挙」 ~次期大統領、歴史学者のナヴロツキ氏とは?

 6月1日のポーランド大統領選の決選投票で、ポーランド・ファースト、移民反対、LGBTQ反対、親キリスト教、親NATO、トランプ支持を掲げる、歴史学者カロル・ナヴロツキ氏が、親EUのワルシャワ市長ラファウ・チャスコフスキー氏に、僅差で勝利しました。ナヴロツキ氏は、2025年8月6日付けで、ポーランド大統領に就任する予定です。
 ポーランドでは首相が実権を握っていますが、大統領にも軍統帥権、法案拒否権、赦免権などの権限があります。親EUでLGBTQに寛容な現職トゥスク首相も、思い通りの改革はさせてもらえないでしょう。
 実はナヴロツキ氏、かつてソ連がポーランドに建てた、468基の赤軍記念碑を破壊したことで、ロシアから指名手配されています。いったい、どんな人なのでしょうか?
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「ポーランド大統領選挙」 ~次期大統領、歴史学者のナヴロツキ氏とは?

決選投票の投票率は72.8%だった


6月1日に、ポーランド大統領選の決選投票があった。

なんか今年は、大統領選挙が多いね。

第1回目の投票は5月18日で、最大政党で現職トゥスク首相が代表を務める、「市民プラットホーム(PO)」所属のチャスコフスキー(53歳)がトップに立った。

チャスコフスキー
Author:Adrian Tync[CC BY-SA]

チャイコフスキーみたいな名前だ。

2位は、第1野党の「法と正義(PiS)」の支持を受けた、無所属のナヴロツキ(42歳)。1回目の得票率は、チャスコフスキーが31.36%、ナヴロツキは29.54%だった・・が。

まさか、ルーマニアみたいに逆転したとか?

実は、そうなのよ。6月1日の決選投票の得票率は、ナヴロツキ50.9%、チャスコフスキー49.1%で、ナヴロツキ氏の逆転勝利となった。Wikipedia

まるで、ルーマニアの大統領選挙みたい。それも、僅差での勝利? またまた不正選挙だったとか?

いや、こっちは不正じゃなさそうだ。なんと、決選投票の投票率は72.8%。共産主義崩壊以降のポーランド大統領選の決選投票で最高、というほど注目の選挙だったが、国民は選挙結果について騒いでいないようだ。YAHOO!ニュース

72.8%?! どうやったら、そんな投票率になれるの?

それだけ、ポーランド国民が政治に関心を持っているってことだな。

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ロシア連邦内の5つの戦略空軍基地を標的とした組織的な長距離ドローン攻撃「クモの巣作戦」を実施したウクライナ 〜 軽率な行動によるウクライナの短期的勝利

竹下雅敏氏からの情報です。
 ロシアとウクライナによる高官級の直接協議が2日、トルコのイスタンブールで1時間余りにわたって行われたのですが、この前日、ウクライナはロシア連邦内の5つの戦略空軍基地を標的とした組織的な長距離ドローン攻撃「クモの巣作戦」を実施し、ウクライナ保安庁は戦略爆撃機など41機を破壊したと発表しました。
 ロシア国防省によると、攻撃を受けたのは国内の5つの州にある軍用飛行場で、北方艦隊のあるムルマンスク州イルクーツク州では、攻撃により航空機の一部が炎上したとのことです。
 イルクーツク州はウクライナ国境から4500キロ以上離れており、ドローン攻撃の射程外のはずですが、「クモの巣作戦」では移動式の木造の小屋の屋根にドローンを隠して敵基地のすぐ近くまでトラックで運び、そこから遠隔操作で飛び立ち、ロシアの軍用機を狙ったということです。
 ロシア深部に侵入した無人機攻撃は世界的な軍事的関心を引き起こしています。今回のウクライナの作戦は「航空史に残る驚くべき出来事」であり、“たった数千万円の予算で数千億円分の、核拡散防止条約によって管理された爆撃機が吹き飛んだ”ことになります。
 「なぜロシアは爆撃機を無防備のままにしていたのか?」という疑問については、“2010年に署名され、2026年2月4日まで延長された新戦略兵器削減条約(START)には、核兵器を搭載した重爆撃機を含む戦略攻撃兵器の検証に関する規定が含まれている。この条約は、相手国による監視を可能にするため、これらの爆撃機を衛星画像などの国家技術検証手段(NTM)で視認可能な場所に配備することを義務付けている。”ということです。
 マイケル・フリン元陸軍中将は、“核条約の義務により、攻撃を受けた爆撃機は視界の良い場所にいなければなりませんでした。ゼレンスキー大統領はそれを逆手に取りました。…世界の指導者たちは、ウクライナが今まさに実行したような作戦が世界に与える影響を認識する必要がある。…これは大胆な行動ではなく、軽率な行動だった。ウクライナの短期的な勝利は、世界の長期的な損失になりかねない。”とツイートしています。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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Атака Украины на аэродромы России. Операция Паутина
配信元)
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ウクライナが無人機攻撃 ロシア軍の爆撃機など破壊 ロシアも過去最多の無人機などで攻撃
引用元)
ウクライナメディアは、ウクライナ保安庁がロシア各地の軍用飛行場に無人機で攻撃を行い、ロシア軍の戦略爆撃機など41機を破壊したと伝えました。
(中略)
ウクライナ保安庁「クモの巣作戦」詳細発表
ウクライナの保安庁は2日、「クモの巣作戦」の詳細について発表しました。

この中で、ロシアの4つの軍用飛行場に同時に無人機による攻撃を仕掛け、A50早期警戒管制機やTU95戦略爆撃機、TU160超音速戦略爆撃機など、41の機体に打撃を与えたとしています。

そのうえで、ロシアの主要な軍用飛行場にある戦略的巡航ミサイルを搭載できる機体の34%に被害を与えたとして、「敵の航空戦力への壊滅的な打撃だ」と強調しました。

また、攻撃に使われたのは、FPV無人機と呼ばれる無人機に備え付けたカメラの映像をみながら操作できるものだとしています。

保安庁によりますと、FPV無人機と移動式の木造住宅をそれぞれロシア国内に輸送し、その後、木造住宅の屋根に無人機を隠してトラックに積んだということです。

そして攻撃の際には、屋根を遠隔操作で開けて無人機が標的に向かったとし、極めて複雑な作戦だったとしています。
(以下略)

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