ロシア連邦内の5つの戦略空軍基地を標的とした組織的な長距離ドローン攻撃「クモの巣作戦」を実施したウクライナ 〜 軽率な行動によるウクライナの短期的勝利

竹下雅敏氏からの情報です。
 ロシアとウクライナによる高官級の直接協議が2日、トルコのイスタンブールで1時間余りにわたって行われたのですが、この前日、ウクライナはロシア連邦内の5つの戦略空軍基地を標的とした組織的な長距離ドローン攻撃「クモの巣作戦」を実施し、ウクライナ保安庁は戦略爆撃機など41機を破壊したと発表しました。
 ロシア国防省によると、攻撃を受けたのは国内の5つの州にある軍用飛行場で、北方艦隊のあるムルマンスク州イルクーツク州では、攻撃により航空機の一部が炎上したとのことです。
 イルクーツク州はウクライナ国境から4500キロ以上離れており、ドローン攻撃の射程外のはずですが、「クモの巣作戦」では移動式の木造の小屋の屋根にドローンを隠して敵基地のすぐ近くまでトラックで運び、そこから遠隔操作で飛び立ち、ロシアの軍用機を狙ったということです。
 ロシア深部に侵入した無人機攻撃は世界的な軍事的関心を引き起こしています。今回のウクライナの作戦は「航空史に残る驚くべき出来事」であり、“たった数千万円の予算で数千億円分の、核拡散防止条約によって管理された爆撃機が吹き飛んだ”ことになります。
 「なぜロシアは爆撃機を無防備のままにしていたのか?」という疑問については、“2010年に署名され、2026年2月4日まで延長された新戦略兵器削減条約(START)には、核兵器を搭載した重爆撃機を含む戦略攻撃兵器の検証に関する規定が含まれている。この条約は、相手国による監視を可能にするため、これらの爆撃機を衛星画像などの国家技術検証手段(NTM)で視認可能な場所に配備することを義務付けている。”ということです。
 マイケル・フリン元陸軍中将は、“核条約の義務により、攻撃を受けた爆撃機は視界の良い場所にいなければなりませんでした。ゼレンスキー大統領はそれを逆手に取りました。…世界の指導者たちは、ウクライナが今まさに実行したような作戦が世界に与える影響を認識する必要がある。…これは大胆な行動ではなく、軽率な行動だった。ウクライナの短期的な勝利は、世界の長期的な損失になりかねない。”とツイートしています。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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Атака Украины на аэродромы России. Операция Паутина
配信元)
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ウクライナが無人機攻撃 ロシア軍の爆撃機など破壊 ロシアも過去最多の無人機などで攻撃
引用元)
ウクライナメディアは、ウクライナ保安庁がロシア各地の軍用飛行場に無人機で攻撃を行い、ロシア軍の戦略爆撃機など41機を破壊したと伝えました。
(中略)
ウクライナ保安庁「クモの巣作戦」詳細発表
ウクライナの保安庁は2日、「クモの巣作戦」の詳細について発表しました。

この中で、ロシアの4つの軍用飛行場に同時に無人機による攻撃を仕掛け、A50早期警戒管制機やTU95戦略爆撃機、TU160超音速戦略爆撃機など、41の機体に打撃を与えたとしています。

そのうえで、ロシアの主要な軍用飛行場にある戦略的巡航ミサイルを搭載できる機体の34%に被害を与えたとして、「敵の航空戦力への壊滅的な打撃だ」と強調しました。

また、攻撃に使われたのは、FPV無人機と呼ばれる無人機に備え付けたカメラの映像をみながら操作できるものだとしています。

保安庁によりますと、FPV無人機と移動式の木造住宅をそれぞれロシア国内に輸送し、その後、木造住宅の屋根に無人機を隠してトラックに積んだということです。

そして攻撃の際には、屋根を遠隔操作で開けて無人機が標的に向かったとし、極めて複雑な作戦だったとしています。
(以下略)

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キエフがロシアの5つの地域の軍用飛行場を攻撃 - 国防省
転載元)
軍は、複数の航空機が損傷し、攻撃の実行犯の一部が拘束されていると発表した。

FILE PHOTO. © Sputnik / Vitaly Nevar

ロシア国防省は日曜日、ロシア全土の軍用飛行場が一連の神風ドローンによる攻撃を受けたと発表し、キエフの責任を問うた。攻撃のほとんどは撃退されたが、物的損害が発生したものもあると付け加えた。

国防省によると、標的となった飛行場は、ロシア北部のムルマンスク州、中央ロシアのイヴァノヴォ州とリャザン州、シベリアのイルクーツク州、極東のアムール州にある。攻撃はすべて一人称視点(PFV)の神風ドローンが使用され、一部は飛行場の近隣地域から発射されたという。

国防省は、攻撃の実行犯の一部が拘束されたと発表し、逮捕者の人数や身元は明らかにしなかった。ロシア軍はまた、これらの攻撃の最終的な責任は「キエフ政権」にあると述べ、これを「テロ攻撃」と表現した。

ロシア国防省によると、イヴァノヴォ州、リャザン州、アムール州では攻撃は撃退され、被害や死傷者は出なかった。ムルマンスク州とイルクーツク州では、攻撃により航空機の一部が炎上したと軍は発表した。ロシア国防省のデータによると、いずれの事件でも死傷者は報告されていない。

ウクライナメディアは、今回の攻撃は「スパイダーウェブ」というコードネームで呼ばれる「歴史的な」作戦の一環だと主張している。報道によると、今回の攻撃は1年半以上前から準備されており、ロシアの「戦略航空」を標的としていたという。

ウクライナのチャンネル24は、国内治安機関(SBU)のヴァシリー・マルユク長官が、ロシア軍の飛行場5カ所の地図とされるものを見ている写真を公開した。この写真はSBU自身が公開したものだと報道されている。

日曜日の早朝、シベリアで最初のドローン攻撃が報告され、標的はイルクーツク州の軍事施設だった。イゴール・コブゼフ知事によると、発射地点は速やかに「封鎖」され、「民間人の生命や健康への脅威はなかった」と当局者は付け加えた。

ウクライナは、紛争終結に向けた外交努力が続いているにもかかわらず、ここ数週間、ロシアへのドローン攻撃を大幅にエスカレートさせている。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は以前、これらの攻撃は和平プロセスを妨害する試みだと述べている。

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