ぴょんぴょんの「ゲロゲーロのクーデター」 ~中国共産党の節目だった、2022年の第20回共産党大会

 中国共産党のことなんて、まったく知らないし、調べるつもりもありません。
 ですが、最近にわかに、習近平の失脚が騒がれているのが気になりました。
 たとえば、YouTubeの「渋谷司の中国カフェ」を見ると、習近平は中国共産党内で孤立しているように見えます。そして、その流れを加速しているのは、2022年の共産党大会で、習近平に恥をかかされた胡錦涛を含む、1942年生まれの長老3人らしい。そんな長老を支えるのは、中国共産党をも支配する人民解放軍のトップ、「ゲロゲーロ」こと、元習近平派の張又侠(ちょうゆうきょう)だそうです。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「ゲロゲーロのクーデター」 ~中国共産党の節目だった、2022年の第20回共産党大会

国家主席として3期目に入った習近平


今年の8月8日に、中国の国家主席が替わるって、ウワサだよ。(note

ウーソだ〜! 習近平は、中国憲法で禁止されていた、国家主席の「連続3選」をできるようにした。それによって、2期10年の任期満了でおさらばのはずだった習近平が、3期目の国家主席になった。ヤツは4期、5期どころか、死ぬまで国家主席でいるつもりだぞ。

習近平
Wikimedia_Commons[Public Domain]

そうだったんだ。

さらに、中国共産党の規約には書かれていないが、党大会時の年齢が67歳以下なら留任、68歳以上なら退任という、「七上八下」のルールがあってな、江沢民も胡錦涛もそれに従った。ところが習近平は、2022年の第20回共産党大会の時点で69歳だったのに、総書記にとどまった。平和外交研究所

江沢民
Author:Kremlin.ru[CC BY]

胡錦涛

自分には、法も規則も通用しないって感じだね。

習近平が国家主席として3期目に入った、2022年10月の第20回党大会。その2ヶ月後に、ゼロコロナ対策が終わった。習近平は、ゼロコロナ実験によって国民を拘束するノウハウを知った。さらにその間、江沢民派も一掃できた。あそこから、習近平の独裁体制が固まったみたいだ。

それ、竹下先生がおっしゃっていたね。習近平はロックダウンを利用して江沢民派を粛清したって。『2023年1月の共産党員メンバーと有名人たちの死亡リスト」があるのですが、掲載されている著名人の全てが上海閥(江沢民派)なのです。』(時事ブログ

憲法も変えて、永遠に国家主席のままでいられる。それに、いつでも国民を拘束できるし、宿敵の江沢民派もいなくなった。

第20回党大会の習近平の未来は、順風満帆だったんだ。


人民解放軍のトップに立った「ゲロゲーロ」


だが、重要課題もあった。たとえば軍との関係。第20回大会時の、軍の最高指導機関である「中央軍事委員会」のメンバーを見ると、

主席 習近平
副主席 張又侠(ちょうゆうきょう)
副主席 何衛東(かえいとう)
委員 李尚福(りしょうふく)
委員 劉振立 
委員 苗華(びょうが)
委員 張昇民

だが、ここにある人事は、わずか数か月で崩壊した。しかも、失脚したのは全員、習近平とつながりが深い人物だった。平和外交研究所

へえー?!

この動画によれば、去年2024年にクーデターがあったそうだ。

張又侠による中南海完全封鎖

ぜんぜん、知らなかった。

2024年7月、「3中全会」という会議中に、習近平は脳卒中で倒れて病院に運ばれた。その後、8月から10月、時期は定かじゃないが、張又侠(ちょうゆうきょう)がクーデターを起こして、人民解放軍の権力を握ったと言う。

張又侠(ちょうゆうきょう)?

さっきの人事表を見ると、軍を指導する「中央軍事委員会」で、習近平に次ぐNo.2。これがその人だよ。

張又侠(ちょうゆうきょう)

またの名を「ゲロゲーロ」♪

ブッ! クーデターで人民解放軍のトップに立った人をゲロゲーロって?

いや、言ったのはおれじゃない。下の動画の4分32秒を見ろ。「こちらが『ゲロゲーロ』ですね」って言ってるから。

いつ粛清?習近平が会議中に攻撃され挑発される。

あ、ほんとだ・・。

ゲロゲーロ、いや、張又俠(ちょうゆうきょう)は根っからの軍人で、軍内部では習近平より強い人脈を築いていた。(平和外交研究所

だから、クーデターに成功できたのか。で、習近平はどうしたの? クーデターを指くわえて見てたの?

いや、習近平も、軍権を奪還するために反撃した。人事表にも名を連ねる、忠実な部下、苗華(びょうか)と何衛東(かえいとう)にクーデターを起こさせたんだ。

何衛東
Author:中国新闻社[CC BY]

習近平も反撃したんだね。

だが、ゲロゲーロには勝てなかった。その結果、苗華(びょうか)は2024年11月に軍から解任され、今年4月には、「中央軍事委員会」政治工作部主任、全人代代表も辞めさせられた。もう一人の何衛東(かえいとう)は、台湾を管轄する中国軍東部戦区の司令官だったが、2025年3月に逮捕された後、殺されている。(YouTube

殺された・・?

もう1人、習近平の部下だった李尚福(りしょうふく)も、2024年6月に党籍を剝奪され、失脚している。この表にはいないが、いつも習近平と行動をともにしていた忠実な部下、蔡奇(さいき)も反習近平派に寝返った。(YouTube

李尚福
Author:Danial Hakim[CC BY]

蔡奇
Author:China News Service[CC BY]

どんどん、習近平派がいなくなってるね。

ゲロゲーロが、クーデターで人民解放軍を押さえたことが大きい。

でも、ゲロゲーロだってNo.2に選ばれたくらいだから、習近平派だったんでしょ?

そうなんだ。ゲロゲーロは習近平の盟友と目されていた。と言うのも、ゲロゲーロの父と習近平の父は、同じ軍で同じような地位で仲が良かった。さっき話したように、中国共産党には「七上八下」という定年ルールがあるが、2022年の党大会で、ゲロゲーロは定年を超えていたのに、「中央軍事委員会」副主席に選ばれた。

習近平の息がかかってたんだね。


ゲロゲーロと習近平のせめぎ合い


なのに、ゲロゲーロはこう発言したと言われる。「前回の党大会(第20回党大会)で、習近平の総書記再任を支持したことは間違っていた」「習近平が、反腐敗の名の下に、軍内反習近平派を粛清したことで軍を混乱させた。習近平夫人の彭麗媛(ほうれいえん)が、軍の人事権に関わるようになって、習近平の軍隊になってしまった」「習近平は、総書記、国家主席、軍事委員会主席を引退すべきだ」と。(JBpress

彭麗媛
Author:Angélica Rivera de Peña[CC BY-SA]

へええ、ゲロゲーロに何があったんだろう?

実は、ゲロゲーロの一番弟子、陸軍司令官の李橋銘(りきょうめい)が、習近平に解任された。ここから、ゲロゲーロと習近平のせめぎ合いが始まった。YouTube)これによって、失脚寸前まで追い詰められたゲロゲーロに救いの手を差し伸べたのが、1942年生まれの3元老だった。YouTube

1942年生まれと言うと、82〜3歳のお爺ちゃんだね。いったい何者?

現在、裏で中国共産党の権力を握っている、と言われる3元老とは胡錦涛(こきんとう)温家宝(おんかほう)、胡耀邦の長男・胡徳平(ことくへい)胡錦涛と胡徳平は、中国共産主義青年団(共青団)で、ともに共産党幹部になる訓練を受けた仲間。温家宝も胡耀邦つながりで、共青団寄りだ。

温家宝
Author:World Economic Forum[CC BY-SA]

胡徳平
Author:外務省[CC BY]
3元老はみな、胡耀邦つながりなんだね。

習近平政権は、胡錦涛と 胡徳平が所属した共青団に対して、風当たりが強かった。(平和外交研究所

そう言えば、大きな会議で胡錦涛が連れ出される、ウソみたいな映像を見たことあるよ。

第20回党大会の閉幕式だな。改正党規約の採択に入る直前、習近平の隣に座っていた胡錦涛が、警備員に脇をつかまれて、強制的に退出させられた。

【胡錦濤前主席】退席直前の様子明らかに “書類取り上げ…”

なんで追い出されたの?

理由は、習近平の決めた人事に、胡錦涛が文句を言ったためだ。「この会議で、いわゆる共青団派は、完全に排除され、主な役職は、全て習近平派で固められました。」(机上空間

胡錦涛の推した人たちが、リストになかったんだね。

さっきも言った通り、第20回党大会は、ゼロコロナも終わり、江沢民派も一掃して、第3期目の国家主席に選ばれた習近平は、晴れ晴れした気分だった。ところが、隣りの胡錦涛が、自分の決めた人事に文句を言っている。こいつジャマだ。だから追い出した。

そうか、今起きているのは、胡錦涛のリベンジなのか。となると、ゲロゲーロのクーデターのバックにいたのも、胡錦涛たち?

そのようだな。

でもさ、今の習近平って偽物だったよね。

ああ、そうだ。2021/12/18の時事ブログによると、「トランプ、習近平、プーチン、モディは処刑されて、もはや存在しません。」

はあ、偽物の習近平がいなくなって、ゲロゲーロが天下を取ったとしても、中国共産党は依然として安泰なんだよね。

そうゆうことかな。

じゃあ、どうなるの? 台湾侵攻は? 中国だけじゃなく世界中のデジタル監視は? 中国の世界制覇は?

変わんねえだろうな。だが、習近平より、3元老の方がマシかもな。

だったら、中国が世界制覇するとか、日本を植民地にするとか、やめてくれない?



Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)


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