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韓国ユン大統領の「戒厳令事件」2つの解説 〜 IWJ記事のダグラス・マクレガー退役大佐による解説、和田春樹教授による「良好な日韓関係」の理由、両者とも韓国国民の意思表示を評価

 韓国の戒厳令事件について、IWJの興味深い記事がありました。ダグラス・マクレガー退役大佐が、YouTube番組『ナポリターノ判事 自由を裁く』で語った内容を紹介していました。IWJ会員サイトでは、マクレガー大佐の解説の翻訳が読めます。
 マクレガー大佐によると、ユン大統領は「そもそも、米国が韓国を支配下に置き続けるための努力として、2022年の大統領選挙でCIAが選んだのだ」ということです。ユン大統領がKCIA、旧統一教会と近い人物であることを考えると辻褄が合います。岸田前首相も韓鶴子にアゴで使われていたようですから、日韓関係が良好だったのも頷けます。ユン大統領とキム元国防長官は北朝鮮に対して強硬派で、北朝鮮と韓国を対立させることで韓国の支配を強化しようとする米国の意図にかなった「分断政策」を進めましたが、結果的に「韓国の国民に受け入れられず、(中略)先月11月には、支持が17%、不支持が74%」という危うい状況を招きました。マクレガー大佐は「韓国は、ウクライナの二の舞になるつもりはない。韓国国民はこれ(戒厳令)に立ち向かい、阻止した」と評価しています。
 またSputnik日本による、和田春樹名誉教授へのインタビューが、よく分からなかった韓国情勢の理解を助けてくれました。ネット上ではユン大統領が日韓関係を改善したという見解がしばしば見られますが、そこには徴用工に対する日本の賠償問題があったそうです。大法院の判決では「これを実行するために日本の会社の資産を差し押さえて競売に付して、そこからお金を払うことになっていた」。しかしそれを実行すると日韓関係が悪化するため、前政権の時から回避する政策を検討していたそうです。ユン大統領は、韓国側で財団を作って「立て替え弁済」をするという方法を取れば、日本側からの協力も得られると考えていたところ、期待に反して日本側は「全く何もしない、助けていない(お金を出さない)」。それで韓国国民は「ユン政権は日本に屈服している」と反発したようです。ユン大統領夫人のスキャンダルも加わり、大統領と議会が「非常に険悪」になり、夏頃から退陣論が出ていたようです。「韓国においては民主主義というのは定着しています。強権的な軍事独裁政治は許さないという訓練を経てきている国民ですから。」と言っています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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日刊IWJガイド・非会員版「『韓国の戒厳令事件は米政府とソウル大使・米軍ができる限りの支援を行っていた証拠が数多くある!』とダグラス・マクレガー大佐が暴露!」2024.12.12号~No.4402
引用元)
(前略)
 マクレガー大佐は、「米国では、韓国を、本質的には米国の帝国的利益と影響力の軍事的植民地」として扱われている、と述べ、「韓国の戒厳令事件を米政府とソウル大使・米軍が待ち、できる限りの支援を行っていた証拠が数多くある」と重大な「暴露」を行いました

 その上で、「そもそも、米国が韓国を支配下に置き続けるための努力として、2022年の大統領選挙でCIAが(従米派の)ユン大統領を選んだのだ」とまで断言しました。
(中略)

 マクレガー大佐の告発には、今回、韓国で起きた戒厳令事件の、これまで指摘されてこなかった本質が露わになっているように思われます。

 11日、非常戒厳令を起草した、韓国の金容鉉(キム・ヨンヒョン)元国防長官が、拘留中に自殺を図った、というニュースが飛び込んできました。11日付『ロイター』などが報じています。

 キム元国防長官は、10日遅くに逮捕され、11日に自殺を図ったと、韓国当局は発表しています。

 キム元国防長官は、ユン大統領とは高校時代から交流があり、ユン大統領の首席補佐官は、「最高司令官の意図を誰よりも理解している」人物だと評しています。

 キム元国防長官は、北朝鮮に対しては強硬派であり、「国防長官としての初の演説では、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の政権が挑発行為を行えば「恐ろしい代償」を払い、「最終的には終焉を迎えることになるだろう」と警告しました。
(中略)

 ユン大統領とキム元国防長官が押し進めた、北朝鮮に対する強硬政策「分断政治」は、韓国の国民に受け入れられず、韓国ギャラップによると、先月11月には、支持が17%、不支持が74%と追い詰められてもいました

 「分断政治」の背景に、何があったのか。

 そこに北朝鮮と韓国の対立を強め、韓国の支配を強化しようとする米国の意図が働いていたのではないか。マクレガー大佐は、戒厳令を阻止した韓国国民について、「韓国は、ウクライナの二の舞になるつもりはない。韓国国民はこれに立ち向かい、阻止した」と称賛を送っています
(以下略)
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配信元)

「非常戒厳」を宣言するという賭けに出た尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の実情 ~ウクライナ戦争での「対ロシア制裁」のブーメラン効果

竹下雅敏氏からの情報です。
 NHKの速報によると、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾を求める議案の採決は「事実上、否決される見通しとなった」とのことです。
 議案の可決には、与党から少なくとも8人の賛成が必要ですが、与党「国民の力」は国会での採決で、党として反対する方針を決め、採決を前にほとんどの議員が議場から退出したということです。
 大統領夫人の金 建希(キム・ゴンヒ)氏には様々な疑惑がある(4分25秒)ということなので、「整形疑惑かな?」と思いましたが、“特に厳しい追求を受けることとなったのが、高級ブランドバックを受け取った収賄疑惑と株価操作に関与した疑惑です(4分45秒)”とのことです。
 夫人のスキャンダルもありますが、韓国の議会は定数300に対し最大野党「共に民主党」が170議席を有していることから、尹錫悦大統領は現実問題として国家の運営が困難な状況に追い込まれていました。
 こうした状況を打破するために、「非常戒厳」を宣言するという賭けに出たのだと思いますが、見事に失敗したということではないでしょうか。
 フランスでは、2025年度の社会保障に関する予算案を強行採択したことで、ミシェル・バルニエ首相の内閣不信任決議案が可決。バルニエ内閣は発足からわずか3カ月で崩壊することになりました。
 ドイツも先月、低迷するドイツ経済の活性化策についての意見の相違からオラフ・ショルツ首相の率いる与党連合が崩壊し、ショルツ政権は下院(連邦議会)で過半数割れになりました。
 これらの出来事は、ウクライナ戦争での「対ロシア制裁」のブーメラン効果によるものです。
 “続きはこちらから”の櫻井ジャーナルには、“アメリカ政府の好戦的な政策に従って彼(尹錫悦大統領)は中国やロシアとの関係を悪化させていくのだが、必然的に韓国経済は悪化。その結果、国民の支持率は 20%を切った”とあります。
 そうした尹錫悦政権を支えていたのはアメリカの好戦派であり、引用元では「韓国の現政権が倒れることはジョー・バイデン政権を支えてきたネオコンにとって大きなダメージ」だとしています。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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「もう私たちの大統領ではない」…“戒厳令”で揺れる韓国 尹錫悦大統領らを“内乱罪”で刑事告発・捜査へ 突然の“戒厳令”の背景に夫人疑惑も【news23】|TBS NEWS DIG
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韓国の戒厳令は実は囮で、真の目的は選挙不正を令状なしで捜査する為だった ~不正選挙疑惑の強制捜査に軍を利用する意図とは

竹下雅敏氏からの情報です。
 12月3日の22時20分頃に韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が戒厳令を布告、その後6時間で解除されました。無理筋の戒厳令に対し、韓国最大野党「共に民主党」は大統領に辞任を要求し、応じない場合は「直ちに弾劾手続きに入る」と声明を発表しました。
 ところが現在、「韓国の戒厳令は実は囮で、真の目的は選挙不正を令状なしで捜査する為だった」という驚くべき展開になっています。
 冒頭の動画をご覧ください。韓国のニュース番組SBSで放送された内容です。“3日の夜、尹錫悦大統領の緊急戒厳宣言と同時に、戒厳軍が最も早く侵入したのは、中央選挙管理委員会でした。…夜間の担当者5名の携帯電話を押収しました。…非常戒厳を進言した金容賢(キム・ヨンヒョン)前国防部長官は、SNSのメッセンジャーインタビューに応じ、その理由を明かしました。金前長官は「選挙管理委員会に関連する不正選挙疑惑を捜査する必要性を判断したため」と答えました。つまり、捜査機関ではない軍を利用して不正選挙疑惑を強制捜査しようとする意図があったということです。”と報じています。
 ハンギョレ新聞も金前長官は、「多くの国民が不正選挙疑惑を持っており、この疑惑を解消するために必要な措置を取った」と語ったと報じています。
 不正選挙疑惑の強制捜査に軍を利用する意図については、こちらのツイートに次のような記述があります。
 “韓国の尹錫悦政権が中央選挙管理委員会(NEC)のサーバーを分析した結果、「コンピューター操作」による選挙不正があったことを確認したことが初めて明らかになった。2020年4月15日の総選挙後に広まった選挙結果を操作した「コンピューター操作」論争が、単なる疑惑ではなく現実であると国家によって確認された。憲政史上初の認定となる。…検察が捜査を行うには、裁判所から捜索令状を取得する必要がある。しかし、検察が令状を請求しても裁判所がそれを阻止する可能性があると懸念されていた。現行制度では、最高裁の判事や各級の裁判官が選挙委員会委員長や地方選挙委員会の委員長を務めており、裁判官が選挙不正疑惑に巻き込まれている。これまで、選挙不正を主張する多数の訴訟は、裁判所によって一貫して却下されてきた。しかし、戒厳令下では、裁判所の令状なしで捜索・押収を行うことができる。”ということです。
 軍が押収した中央選挙管理委員会の夜間の担当者5名の携帯電話から、不正選挙の証拠が出てきた場合には、国を二分する混乱が起こりそうです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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※全文はツイッターをクリックしてご覧ください
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韓国前国防相「不正選挙捜査が目的」 非常戒厳宣布直後に中央選管へ戒厳軍300人出動…選管トップ「情報流出なかった」
引用元)
韓国の中央選挙管理委員会は5日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の非常戒厳発動直後、約300人の戒厳軍兵士が京畿道の果川中央選管庁舎、水原選挙研修院、そしてソウル冠岳庁舎に出動したことを明らかにした。今回の非常戒厳事態で、国会以外に戒厳軍が出動した国家機関は選管だけだ。金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防長官は同日、メディアに送った見解文で、戒厳軍を選管に送った理由を「不正選挙疑惑関連捜査の必要性を判断するため」と述べた。ただし、選管は「情報流出などの被害はなかった」との見方を示した。
(中略)
戒厳軍は、水原選挙研修院に約130人、ソウル冠岳庁舎にも約50人を出動させたという。 ただし、この2カ所では庁舎に進入しなかったとのことだ。選管に投入された戒厳軍は合計約300人で、国会内に入ってきた戒厳軍(280人)より多かった。
(中略)
金竜顕前長官は戒厳軍に選管出動を指示した理由について「多くの国民が不正選挙疑惑を提起しているのを受け、今後の捜査の可否を判断するため、システムと施設の確保が必要だと判断した」と述べた。その上で「これを確保する過程で国会の戒厳解除要求決議があったので撤収した」と言った。保守派の一部で取り沙汰されている「選管不正選挙説」の真偽を確認するための措置だったという意味だ。これまで一部の保守団体やユーチューバーたちは今年4月10日の国会議員総選挙で不正選挙があったと主張し、選管の捜査を求めていた。
(以下略)

韓国で「非常戒厳」宣布、6時間後には解除宣言 〜 過去の流血の戒厳令を覚えている市民が国会に結集し軍部隊と対峙 / 日本における緊急事態条項への懸念が高まる

 12月3日夜遅くに読者の方から「韓国で戒厳令が出た」という情報が届きました。1987年に韓国が民主化されて以降、初めての「非常戒厳」の宣布だそうです。ユン大統領は戒厳令の目的について「北朝鮮に従う勢力を撲滅し、憲政秩序を守る」と発表し、戒厳司令部は全ての政治活動を禁じ、メディアは軍の検閲下に置かれることになります。国会議員の議事堂への立ち入りも直ちに禁止されました
 韓国の憲法では「国会が在籍議員過半数の賛成で戒厳の解除を要求する時には、大統領はこれを解除しなければならない」と規定されているため、歴史的に戒厳令と国会封鎖はセットになっているそうです。国会議員や多数の市民が「死ぬ覚悟で」軍と対峙するために国会前に集結し、「国会議事堂に入ろうとする軍隊と、建物入口で軍の侵入を阻止しようとする市民と衝突している」映像をSputnik日本が伝えていました。またソウルにおられた布施祐仁氏が現地の熱気を伝えておられました。日付が変わった深夜、国会で「非常戒厳解除」の決議案が可決され、ユン大統領の非常戒厳解除の表明が伝えられると市民の歓声が湧き上がりました。
ユン大統領に戒厳令を進言した国防相は辞任を表明し、ユン大統領も弾劾の対象になる見込みです。
 韓国で44年過ごした外交官の町田貢・元駐韓国日本公使によると、「今回の非常戒厳はかつての戒厳令とあまりに違う」「過去の戒厳令は、国内が騒乱状態になり、警察力で抑え込めなくなった際に、軍を投入するために布告」され、街中に軍部隊が戦車とともに配置されたそうです。今回混乱していたのは国会に限られており、少数与党のユン政権は、過半数の野党から何度も弾劾訴求案を受け、予算案をめぐる攻防が続いていました。「尹(ユン)氏は検事出身で、正義があれば力で抑え込んでも構わないと考えたのだと思います。非常戒厳を敷けば、野党がひるみ、国会内での秩序が取り戻せると考えたのでしょう。」しかし戒厳令には与党内の反発もあり、戒厳軍も「あんまりやる気がなかった模様」で、6時間後には収束しました。
 「TAKETAKA」さんの動画は、光州事件を含む軍事政権史が実写も生々しくまとめられていました。
 この騒動を受けて、「日本だったら」と投げかける投稿が多く見られました。「権力者はこのように恣意的に『非常事態』を作り出せる。緊急事態条項ができたら日本も同じ。」今回の戒厳令が「政権維持や反対勢力の抑圧のツール」として使用されたように「日本も憲法改正で緊急事態条項を創設すると、こうなる可能性が出てくる。」という懸念でした。戒厳令が敷かれると、SNSも遮断されます。その時、私たちは「死ぬ覚悟で」自由や言論を守ることができるでしょうか。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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Bappa Shota氏がペシャワール会の中村哲氏の偉業を紹介 ~「個人的には、この人こそが真のノーベル平和賞にふさわしい」

竹下雅敏氏からの情報です。
 Bappa Shota氏のアフガニスタン編の最後は、ペシャワール会の中村哲氏の偉業を紹介するものでした。
 “1984年、国際医療NGOの医師として中村さんは、パキスタンの都市ペシャワールに派遣されたが、そこで出会った人々は故郷に帰っても医師も診療所もない、戦乱の続く隣国アフガニスタンから逃れた難民たちだった(2分57秒)。…1991年、アフガニスタンに診療所を開設し、医療活動を始めた…貧困が原因で栄養失調の子どもたちが一日に何百人の患者が訪れる小さな診療所だったそうで、現在は中村さんと共に診療所を立ち上げた方が、貧しい人を見捨てないという志のもと、無料で治療を行っているみたいです(3分28秒)。…国民の90%以上が貧困。海外からの経済制裁や医療システムの崩壊などの様々な理由がある中、特に国民を苦しめてきたのが長年続いている干ばつによる水不足。枯れた農地に作物が育たず、農業国のアフガニスタンでは、過去国民の3分の1の1100万人が食料不足に陥り、600万人以上が飢餓に直面していた(9分57秒)。…この状況を打開すべく、中村さんは白衣を脱ぎ、大規模な用水路の建設を決意する(10分50秒)。…中村さんが目をつけたのが、干ばつの中でも枯れることがなかったアフガニスタン有数の大河クナール川。中村さんが考えた計画は、クナール川を出発点に用水路を作り、乾燥地帯に水を送って最終目的地ガンベリ砂漠を目指すというもの。完成すれば乾き切った農地に緑を蘇らせることができる計画であったが、土木技術に全く無知だった医師の中村さんは、ゼロから河川工学を学び水路の計画を練り上げた(11分18秒)。…2003年、用水路の建設がスタート。日本からのボランティアが建設に参加、建設費用はすべて日本のNGO団体からの寄付金で賄われ、働いた人々には日当が支給された。干ばつのために農業ができない人々にとって家族を養うための唯一の支えとなったみたいです。2010年、7年の月日を経て全長25.5kmに及ぶ水路は終着点のガンベリ砂漠に到着し、用水路が完成した(11分56秒)”と説明しています。
 「個人的には、この人こそが真のノーベル平和賞にふさわしい」というのは、多くの日本人が同意すると思います 
(竹下雅敏)
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世界最貧国で飢餓者600万人を救った日本人を訪れてみた
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