ぴょんぴょんの「新たなグルジア?」 ~NATOはルーマニアにヨーロッパ最大の基地を建設中

 2024年11月24日、ルーマニアで行われた大統領選挙で、ウクライナへの武器支援の停止を訴えるカリン・ジョルジェスク氏が、得票率でトップに立ちました。大あわてしたのが、EU・NATO・アメリカ。彼らが働きかけたのでしょう、12月8日に予定されていた、1位と2位の決選投票は、その2日前に憲法裁判所からストップがかかり、選挙自体が無かったことにされてしまいました。理由は、ロシアの介入があったというのです。
 読者の方から頂いた資料を参考に、ルーマニアの事情を調べてみました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「新たなグルジア?」 ~NATOはルーマニアにヨーロッパ最大の基地を建設中

第1回投票後、衝撃に包まれたルーマニア


〈新たなグルジア? 西側諸国は、ルーマニアで対ロシア第二戦線を開こうとしている。 ルーマニアの大統領候補ジョルジェスク氏は、ルーマニアはウクライナでの第三次世界大戦の「入り口」で、EUはNATOを「掌握」しようとしていると述べた。〉

2024年11月24日の大統領選挙の第1回投票後、東欧の国ルーマニアは衝撃に包まれた。

何があったの?

すべての世論調査で本命とされていた、左派グローバリストでユーロ狂信者である(現職)首相が3位になって、選挙戦から脱落したこと。もっと衝撃的だったのは、国連を「悪魔的」と呼んだEU懐疑主義者であるカリン・ジョルジェスク(Călin Georgescu)氏が大勝したことだった。GATEWAY PUNDIT

わーお! 嵐の予感だ〜!!

本来ならこの後の12月8日、1位、2位の最終決戦投票が行われるはずだった。ところが2日前の12月6日、ルーマニアの憲法裁判所が、投票結果を無効とし、大統領選は、一からやり直すことになったんだ。

ええ〜?!!不正選挙だったとか?

あの、例のヤツ、ロシアの介入があったとかいう。

はあ〜、またか〜。グルジアとおんなじ〜!

ジョルジェスクの選挙運動ではブロガーへの報酬、テレグラムを通じたTikTokの管理に、ロシアの資金が使われていたと言う。ここらへんの事情は、ニキータ氏の動画がわかりやすい。

【時事ネタ】目立たないように仕込まれたトランプ氏への負の遺産〜1/15水曜版です🫡‼️


ニキータ氏 「このように、既得権益者の思う通りにことが運ばなくなると、ロシアが介入したという説が浮上するのが、特に今の欧州諸国ではパターン化してしまっています。」(YouTube 7:08~)

まったく、その通り。

ニキータ氏「おとなりのモルドバでも、昨年の大統領選挙やEU加盟の賛否を問う国民投票で、ロシアが反対勢力へ資金提供した、という偽情報が出回りました。しかし、選挙結果が、彼らの思い通りになってからは、ロシア介入説はまったく聞かれなくなった。今回のルーマニアでも同じことが起きたようだ。」(YouTube 6:14~)

はあ〜、わかりやす〜。


悪と手を組んだルーマニア政府


選挙結果の無効が決定された翌日の12月7日、ジョルジェスクは国民にメッセージを送っている。

「今日、ルーマニアの腐敗したシステムはその素顔をさらけ出した。悪魔と契約を結んだのだ。私、カリン・ジョルジェスクの盟約はただ一つ、ルーマニア国民と神との盟約だけだ

この動画で、ジョルジェスクはこう言っている。

親愛なる皆さん、今はクリスマスの真っ只中で、今日12月6日は聖ニコラスの日です。(中略)...今日の憲法裁判所の決定は、単なる伝説上の論争、以上の意味を持っています。これは事実上、国家による公式なストライキです。ルールは昏睡状態にあり、政治的命令に従属する正義は、事実、その本質を失っています。もはや正義ではなく、統制です。(中略)...私たちが、ルーマニア国民の運命と権利を握っている、勇敢な国民であることを示す時が来たのです。民主主義は攻撃を受けています。(中略)...事実、ルーマニアの腐敗した体制が、今日、その正体を現しました。すなわち、悪と手を組んだのです。(中略)...今日という日は、この国の歴史における新しいページの始まりに過ぎません。誇り高く、団結した、美しく、強く、勇敢な人々によって書かれるページです。勝利は神のものであり、私たちは、神の意志が成就されるための手段に過ぎません。ありがとうございました。

おっしゃる通り! ルーマニア政府は「悪と手を組んだ」。


もみ消されてしまったジョルジェスク氏の勝利


ところがだ! 12月21日になって突然、ルーマニア国税庁が、ロシアの介入はなかったと発表した。

なんだってー?!

ジョルジェスクの選挙活動費は、ロシアからじゃなくて、連立を組む政権与党「国民自由党(NLP)」から提供されたことがわかったんだ。

なんだ〜、やっぱ、濡れ衣だったんだ。でも、良くほんとのことを発表してくれたね。これでやっと、決選投票だ。

と、思ったら、おおまちがい! 1月8日、ルーマニア与党連合は、新たな大統領選挙を5月4日に実施し、決選投票が必要な場合は5月18日に実施すると発表した。ニキータ氏「結局、ジョルジェスクの勝利はもみ消されてしまったのです。」YouTube 9:12~)

にゃんだって〜!?

これまで静観してきた国民も、ついにブチ切れた。1月13日(月曜日)首都ブカレストで、決選投票の実施を求める大規模な抗議集会が開催され、10万人規模が集まった。

〈今日、私はいつも以上にルーマニア人であることを誇りに思う。 戦いは終わっていない。〉

こんなにたくさん!! 月曜日なのに? もしかして祝日?

いや、ルーマニアの祝日を調べたら、1月13日は祝日じゃない。

おばあちゃんもルーマニアの国旗を被って、がんばってる!

〈ルーマニアでは大統領選挙の再開を求める抗議デモが連日続いている。 ルーマニアの裁判所は、民族主義者のカリン・ジョルジェスク候補が第2ラウンドで勝利するのを阻止するため、大統領選挙を無効とした。〉

なんか、かわいいね。勇気をもらうよ。

だが、西側の主要メディアは、このデモを一切無視。ニキータ氏「西側メディアは、グルジアでは、反政府デモの参加者を応援する報道をしていましたが、ここルーマニアでは手のひらをコロッと返したように、無視しています。まったくひどい報道姿勢ですが、これが自由や民主主義を叫ぶ西側メディアの本質だと、もう、私はあきらめています。」(YouTube


ジョルジェスクという人物


わかるわかる。ところで、ジョルジェスク氏って、どんな人なの?

ハンガリーのオルバン首相、スロバキアのフィツォ首相と並び評される人物だ。

と言うことは、変わり者?

ウィキペディアには、こう書かれている。「ルーマニアの極右政治家、農学者、著名な陰謀論者」。

陰謀論者!?

ジョルジェスクは、人類の月面着陸を信じていないとか、炭酸ジュースに入れられたナノチップが体内で作動するとか、気候変動は「世界的な詐欺」で「現実とは何の関係もない」と言ったりする。Wikipedia

いいねえ、陰謀論者、大好き!

とまあ、こんな怪しい言動の一方で、EUとNATOには批判的だ。2004年にNATOに加盟、2007年にEUに加盟しているルーマニア。ルーマニアに設置されたNATOのミサイル防衛システムを、ジョルジェスクは「外交の恥」と批判した。また、EUとNATOはルーマニアの利益にならない、ウクライナ戦争はアメリカの防衛企業に操られていると言う。RT

まともだ〜!

本人は親ロシア派じゃないと言うが、ロシアのウクライナ侵攻直後に、プーチンのことを「自国を愛する男だ」と言ったり、ウクライナを「でっちあげられた国家」と言ったり、物議をかもしている。THE HILL

きっと、アメリカに目をつけられてる。

しかし、変わってるよなあ、これが、選挙のキャンペーン動画だと?

〈ルーマニアの大統領選挙で「極右の親ロシア民族主義者」が勝利したという。 彼はこのように選挙キャンペーンを行った:〉

ジョルジェスクさんの寒中水泳シーン?! ブツブツ言いながら泳いでるけど、なんて言ってるの?

「私は自分の免疫系を信用している。なぜなら、私は創造主である神を完全に信頼し、信仰しているから。私の免疫は、私の存在における自主性の一部だ。免疫は自然の中でしか育まれず、鍛えられない。ここに現実があり、研究室にはない情報がある。だからこそ私は寒くないのだ。寒さを感じない。しかし、その力の中で、私は生き、自由を感じている。」

うっはー!カッけー!

コロナの流行時も、免疫力で治ると言い張ったらしい。

ところで、最後に出てくる言葉「Fii tu cel care alege pentru tine」は選挙スローガン?

「自分自身で選ぶ」という意味だ。


EUやアメリカがジョルジェスク氏を嫌がる理由


あ〜あ、国民が「自分自身で選んだ」ジョルジェスクさんは、大統領にならせてもらえないとは・・。なんでEUやアメリカは、ジョルジェスクさんが大統領になることを嫌がってるの?

大統領に選出されたら、ウクライナへの軍事援助を打ち切ると公約した候補者を、容認できるか?

そりゃ、嫌われても当然だね。

だが、問題は他にもある。ジョルジェスクは、ヨーロッパ最大のNATO基地がルーマニアで建設されていることに反対している。

そんなのができるんだ?

ああ、黒海沿岸のコンスタンツァ市に、ルーマニアの国際空港がある。ここは、ルーマニア空軍基地も兼ねていて、1999年からは米軍も利用している。問題は、今ここを、ヨーロッパ最大のNATO基地にするための拡張工事が行なわれていることだ。(Wikipedia

〈9人の判事が、ルーマニアの選挙で当選した反戦派のカリン・ジョルジェスクの再出馬を禁じた。一方、NATOはルーマニア領内に巨大な基地を建設中だ。〉

なんで、これが問題なの?

この地図を見てみろ。赤いポッチが工事中のNATO基地だ。ここから黒海に出れば、ウクライナのオデッサやクリミアも目と鼻の先。意味がわかるか?

YouTube 11:43〜)

うわ、ロシアを意識してる!

その通り。ロシア外務省「ルーマニアの空軍基地の拡張は、NATOが東ヨーロッパと黒海地域の無制限の軍事化を続けていることの、さらなる証拠だ。これらはすべて、NATO同盟国が、わが国と衝突する可能性に備えることを目的としている。」(INVESTIGATORIA)ニキータ氏「ジョルジェスクは、このNATO基地が将来的に、ロシアに対する攻撃に使用される可能性があるとし、ルーマニアは戦争に追い込まれていると指摘。」(YouTube 12:18〜)

NATOが守ってくれると思ったから、NATOに加盟したのに。こんな基地ができたら、いつ戦争に巻き込まれるかわからない。

また、タマホイ氏引用記事によれば、ここは、アメリカがウクライナへ武器輸送する経由地にもなっている。パキスタンに武器を保管するアメリカは、1970年代のムジャーヒディーン、アルカイダ、ISISへ武器輸送するために、パキスタン➡トルコ経由のルートを使った。昨今のウクライナ戦争では、パキスタン➡ルーマニア➡ウクライナのルートで武器を送っている。だが、万が一、ジョルジェスクが大統領になったら?

ルーマニア経由のルートが使えなくなる。ウクライナに武器を送れなくなる。

そうなったら、ウクライナ戦争が終わってしまう。アメリカも、そうはさせじと必死よ。

はあ〜、国民が賢くなって、選挙で正しい人を選べば、国は変わると思ってた。だけど、せっかく選ばれても、ルーマニアみたいなことがあるのか。ぼくたちは無力だ。どうしたらいいんだ? わからなくなったよ。

まあまあ、そんなに落ち込むな。状況はどんどん変わっていくよ。

そうかなあ?

まあ、お口直しにルーマニアの伝統舞踊「ホラ」でも見よう。ジョルジェスクはこのダンスを、「ルーマニアが一致団結で勝利する未来を暗示している」と言ったそうだ。(X

Romanian traditional dance (Hora din Moldova)-1

いいね〜! 明るい気持ちになってきた。

今は、ルーマニア国民の団結が、EU・NATO・アメリカの圧力に勝つことを祈ろう。


Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)


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