【第6回】 南インドでアーユルヴェーダ ~医師のパンチャカルマ体験~
トリートメントの日々 つづき

その日の午前中から、Dhanyamladhara(全身のオイルマッサージのあと、発酵させた薬液を全身にかける)というトリートメントが始まりました。
女性セラピストが部屋まで迎えに来て、トリートメントの部屋に案内されました。

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そこは台所を改造したような部屋で、まんなかに1本の大木を削って作った、大きな木製のベッドがあります。黒光りしているのは、長年にわたって使われたオイルがしみ込んだためでしょう。周囲に少し低くなった溝が掘られていて、液体がそこを伝って下に落ちるように作ってあるところなどは、まるで解剖台に見えました。シローダーラ用に、頭部には円形のくぼみも掘られています。部屋は少しうす暗く、BGMにはインドの歌謡曲が流れています。

まず裸足になって、小さな祭壇の前で一緒にマントラを唱えます。 それからふんどし一丁になって、木のベッドに上向きに休みます。木は適度にひんやりして気持ち良いのですが、骨が当たると痛い人は布を敷いてくれます。
左右に一人ずつ女性セラピストが立って、全身に温かいオイルを塗ってマッサージしていきます。二人の呼吸が合っているとき、左右がシンクロしてとても気持ちよく感じます。

0601 上半身、下半身、裏表をくまなくマッサージしたら、今度は「じょうご」のようなもので、白く濁った温かい液体をかけていきます。これまで経験したことのないような心地よさに、「もっともっと~」と言いたくなります。こんなふうに体をいたわったことは、これまでなかったなあ~と思いながら、感謝しながら身をゆだねる心地よさ。
薬液の風呂に入れば簡単なのでは?と思いますが、 この「注ぐ」と言うことに、余分なピッタを洗い流す意味があるのかもしれません。

体位を変えるとき、台から降りるとき、何度も「Don’t hurry (急がないで)」と言われてしまいました。私の動作が、速すぎるのです。これまで、どれほど自分に「急ぐ」ことを要求してきたのかを気づかされました。

「私は女性だから、女性のセラピストですね。男性の場合は男性のセラピストですか?」と聞くと、「もちろん、そうです」 当たり前のことですけど、男性のセラピストたちもいます。日本では、男性セラピストはいるのでしょうか。

0602 最後に かんたんに体を拭き、綿の浴衣のようなものをはおって外に出ると、日差しがまぶしい。やわらかい川風にふかれて、ヤシの葉のそよぐ音を聞きながら、ゆったりと流れる広い川をながめている。 なんて気持ちの良い瞬間でしょう。何かを流しきったあとの、すっきりしたさわやかな気分。心臓のざわめきが減ったような気がします。

このトリートメントの7日目に、セラピストたちがいたずらっぽい表情で、「体重を計ってみて」と言います。「このトリートメントをするとむくみがとれて、体重が減るんだから」 そして体重を計ってみて、びっくり!思わず目を疑いました。思っていたよりも5キロ減っているではありませんか!おやつなしが良かったのか、消化のいい食事のおかげか、ヨガが良いのか、あのマッサージの威力なのでしょうか。ただし、インドの体重計だから当てにならないかも、と帰国してから計り直しましたが、たった1キロ戻っていただけでした。ちなみに減量目的で来られる方には、このトリートメントがなされるそうです。 気持ちいいし、やせるし、すごいよね!

(挿絵:あい∞ん)

次回は、9月17日(木)更新「パンチャカルマの実際」の予定です。

Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声 jijiblog_nejireigaku_banner7

1件のコメント

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  1. メープルEY on

    ぴょんぴょん先生、今回の記事は一段と面白かったです。

    まるで自分がトリートメントを受けているような心地良さを感じました。
    あい○○んさんのイラストがまたその雰囲気をよく伝えておられました。

    ただ、BGMがインドの歌謡曲というところでは、ひっくり返りそうになりました。
    どう考えても、施術にはあっていないような気がするのですが。。。
    自分の好きな音楽に変えてもらうことができれば、もう最高でしょうね。

    インドの体重計のお話、大笑いしてしまいました。
    すべてにおいて「気にしない、気にしない」という考え方はある意味いいのかもしれませんね。

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