【第24回】 かんなままの子育て万華鏡  ~大いなる食の力~

子育ての中で「食」はとても大切なものだと思っています。

女性は身ごもって初めて自分の食べたものが赤ちゃんに影響するという事を実感します。 子育ては食を見直すチャンスです。

幸いなことに私は田舎で暮らしていますので、身近に新鮮な季節の野菜が溢れています。でも、安全であるかに気を配ると自ずと限られてきます。信頼できる農家さんとの出会いがあり、米、野菜、卵、調味料を届けて下さり、とても助けられています。

届いた野菜を見て献立を考えますが、それはただの野菜ではなくて個性とエネルギーに満ちています。何もしない方が一番おいしいかも・・・とキュウリ、トマト、キャベツ、ナス等をそのままの形でダイナミックに食卓に出すこともしばしばです。子ども達も喜んで食べていました。新鮮でなければできないことで一番の贅沢かもしれません。

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そして旬の食材は季節を味あわせてくれます。と同時に私の子どもの頃の思い出がよみがえる瞬間でもあります。夕飯前にお使いでせり、つくし、ワラビを摘みに行ったものです。その時の情景、出会った虫や草の匂いまで思いだします。

春は沸き立つ芽吹きの季節、秋は落ち着いた実りの季節です。そんな自然のエネルギーに会いたくなって毎年、子どもたちを連れて野山に行きました。「今年もまたありがとう」と言う気持ちと共に自然の精気までいただきます。それが漬物、佃煮、ジャムになって一年中楽しめます。

ところで我が家のもう一つの楽しみは庭に生えている雑草を摘んで天ぷらにすることでした。子ども達が食べ物の不満を言い始めたのでサバイバルごっこをすることにしたのです。食べられるものなら何でも入れちゃうカレー、断食、そのまま庭のテントで寝る、などもしました。忘れられない思い出です。

孫たちも飽食のせいか食べる感動が少ない気がします。そこで、作る段階で味見役に任命することにしました。「どう?」「何で味付けようか?」と聞き、出来上がったアツアツをこっそり「つまみ食い」させるのです。1人ずつ台所に来ては「めっちゃ、おいしい!!」と言ってテンションが上がります。

味噌作りもベビーマッサージに来ていたママ達を誘って始めましたが今年は35家族が参加しました。初めおんぶされていた子ども達が大きくなってしっかり手伝ってくれるようになり、今では家族総出の年中行事になりました。

そして、念願が叶い、知り合いの農家さんが無償で畑を貸してくださることになり、子育て中の家族と一緒に1年分の玉ねぎ、じゃがいもを作り始めました。年々参加者が増えて15家族になりました。寒い吹きさらしの畑で苗を植えて、春は草との戦いですが時々畑にロケットストーブを持ち込んでだんご汁を作って食べるのは格別です。子ども達も虫やミミズを見つけたり、群れて遊んで楽しそうです。備蓄にも貢献していると思います。

このように食は自然の中で営まれる大いなる命の繋がりですが、最近はその繋がりが見えなくなってしまいました。薬や農薬漬け、遺伝子組み換えなど人為的に形だけ整えた食べ物が氾濫しています。空腹を満たすだけの食事、片や部分追求の栄養学に囚われた食事・・・。特に子どもの味覚、心身の成長を狂わせて生命力を低下させるのが心配です。食材の命に対しても失礼なことです。

ところで、私も長年いろいろな食養講座を覗きましたが東洋医学セミナーの「アーユルヴェーダ」「食品の陰陽の総論」を受講して、鵜呑みにして混乱していた食の理論が見事に紐解かれました。

5000年以上前から生命を科学して、一人ひとり違うドーシャのバランスを整えて健康に生きていくための壮大な知恵が伝えられていることに感動しました。玄米菜食が万人にいいという事ではなく一人ひとり違うという事も納得です。

我が家にこれで終わりかという夫婦の危機が訪れた時も夫の亢進した 24_2 ピッタを抑えて体の健康、心の安定を保つために、ただひたすら修行のように心を込めて食事を作りました。というより「大いなる食の力」を借りました。思えば5年間、息もできないほど乱れる心を抑えて日常を大切にすることを教えられました。

夫婦はまさに合わせ味噌。いろいろあったけど今では熟成して・・・。時々、ベランダでろうそくを灯し、夜が更けるまで話しながら食事をするのは格別です。あのどん底の夫婦の危機の後、こんな日がこようとは・・・。そして、あとどのくらい一緒にこんな時間を過ごせるだろうかと思います。

(挿絵:あい∞ん)

Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てをして孫が6人。今は夫+愛犬で静かに暮らしているが・・・
週に2日、孫達がドッとやってくる+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。
いつの間にか専業主婦のキャリアを活かして、ベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
人生一巡り+1歳

3件のコメント

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  1. きみりんご on

    あと3話だなんて…
    『かんなまま様の子育て万華鏡』続投を強く願います❗子育て真っ最中のママ達がどんなに励まされた事か…。日々迷いながら子育てをしているママ達がどれだけ子育てのヒントを教えてもらったことか…。
    まだまだ、沢山話を聞きたいです。
    かんなまま様 いつもありがとうございます。

  2.  「それはただの野菜ではなくて個性とエネルギーに満ちています」と記された旬の食材をふんだんに使っての、かんなままさんの手料理をいただいたような、滋味豊かな読後感でした。
     
     料理の基本と言われる五味調和、それに該当しそうな私たちの生の基本が、竹下先生から学んだ「愛の5相」のような気がしました。この一話の中に「夫婦愛」「自己愛」「隣人愛」「全ての生命への愛」と、「神」という言葉は使われていませんが「『今年もまたありがとう』という気持ちと共に自然の精気までいただきます」その感謝の念の対象である「神への愛」、全てが凝縮されているように感じられたのでした。

     あい∞ん、さんの挿絵も、内容にぴったりの愛と調和に包まれているようで、深く印象に残りました。

     大満足です。ご馳走さまでした。

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