次期首相は「EUの忠実なしもべ」

負けちゃったね。

ああ、負けた。

しょんぼりだね。

しかし、ハンガリー国民の選択だから、文句言えねえだろ。

でも、プーチンはじめ、スロバキアのフィコ首相、チェコのバビシュ首相、セルビアのヴチッチ大統領は、強力なリーダーを失ってショックだろう。

自分たちも、いつ消されるかわからん運命だ。で、
次期首相は、どんなヤツだ?
ペーテル・マジャール。「EUの忠実なしもべ」って感じだね。
1981年生まれの45歳。弁護士。多国籍企業のハンガリー投資を支援し、国営企業の役職についていた。
もともとオルバーン支持だったのが、2024年2月、政権の腐敗を批判し始め、政府関係職をすべて辞め、同年の欧州議会選挙で「ティサ党」を立ち上げた。それがいきなり、「与党フィデス」に次ぐ
第二の政党に踊り出て、わずか数か月で、オルバーンの最大のライバルになった。(
YAHOO!ニュース)
ペテル・マジャールがハンガリーの選挙で勝利し、長年のナショナリスト指導者ヴィクトル・オルバーンを破りました。ブダペストでの勝利演説で、マジャールは自党がオルバーンを倒し、「祖国を取り戻した」ことへの成功を祝いました。

クンクン、臭う、臭う。総選挙の2年前にオルバーンを裏切って、新しい政党を立ち上げて、いきなり野党のトップに踊り出た?
マジャール氏は、EUとの関係を修復し、ロシアのエネルギーに頼らないことを約束しているだから、親EU・反ロシアの誰かから、引っこ抜かれたんだろうね。

たぶん、カネも相当積まれてるな。

でも、国民がマジャール氏を支持した気持ちも少しわかる。マジャール氏が「ティサ党」を立ち上げた2024年頃から、ハンガリー経済が悪化したからね。

へえ? オルバーンがうまくやってるかと思ってた。

原因があるんだよ。EUの重要な意思決定には「全会一致」が必要だ。でも、
EU加盟国には「拒否権」があって、一国でも「拒否権」を発動したら、その法案は通らない。EUの望む、ウクライナへの500億ユーロ(約9兆円)規模の支援、対ロシア制裁の追加パッケージ、ウクライナ支援のための軍事資金の拠出などは、オルバーンが「拒否権」を発動したために、実現できていないんだ。(
YAHOO!ニュース)

ええやないか、やれ、やれ、もっとやれ!
そこでEUは制裁として、2022年以降、ハンガリーがもらえるはずの約200億ユーロを凍結してしまったんだよ。(
RT)

なるほどな。しかし、そこまでして、EUの言いなりにならなかったオルバーンはスゴい。

でもね、
ハンガリー国民は不満たらたらだよ。そんな時に彗星のごとく現れたのが、白馬に乗った、若くてイケメンの
マジャール氏だよ。

グッドなタイミングですこと!
マジャール氏は公約で、汚職の取り締まりを強化し、一部の国有化企業も民営化して、外国投資家に「予測可能な」環境を整備し、住宅、医療、教育、鉄道への資金投入、巨額の公共支出をすると言う。でも、その費用として、EUが凍結した援助金をもらう必要があると言う。(
RT)
つまりは、EUの言いなりになりましょう、と。

さらに、マジャール氏は、
ロシア産石油・ガスへの依存を終わらせることも公約している。オルバーンが、ロシアからのエネルギー輸入を断固として継続したおかげで、これまで、ハンガリーの家計の光熱費は、EUで最も低く抑えられていたのにね。これが実行されたら、光熱費は3倍になると言われている。(
RT)

アチャー!! 今みたいに石油がヤバい時に、それをやるか?
オルバーン大統領の業績

たしかにオルバーンは、5期に渡る長期政権で、好き放題やったかもしれない。身内を儲けさせたかもしれない。でも、いいこともいっぱいやってきたんだ。
オルバーンは、どんなことをしてきたんだ?

彼
が首相になる前、ハンガリーは大変だった。1989年、共産党一党体制から転換すると、
国営企業が民営化されて、ほとんど外国資本に食い尽くされた上に、借金まみれになった。2008年には金融危機に陥って、IMFとEUに助けを求めることになった。

ハンガリーがEUに加盟したのはいつだ?

2004年。ちなみにNATOに加盟したのは1999年。

泣きついた先がIMFとEUじゃ、ますますひどくなったろう?

ふつうはそうだね。だけど、ハンガリーにはオルバーンがいた。1990年代の民営化と、IMFが要求する厳しい緊縮措置を、ハンガリーの主権に対する侮辱と見なした
オルバーンは、2010年、2度めの首相の座につくと、銀行、通信、エネルギー、民間年金基金を国有化した。そして、外貨建て住宅ローンを、ハンガリー・フォリント建てに転換させた。さらに、移民より、国内人口の増加を優先し、生活保護受給者を大規模な公共事業プロジェクトに雇用させた。(
RT)

やりおるな!

EUの制約下でも、
着々と財政を改善し、債務を返済し、企業を外国人からハンガリー人の手に取り戻した。2013年、ハンガリーはIMFの借金を完済し、金融危機以来初めて、財政黒字を記録した、GDPは増加し、失業率は低下し、平均賃金は4倍に上がり、2014年には、EUで最も急成長した国となった。(
RT)

すげえな、オルバーン!

もちろん、オルバーンの政策も良かったんだろうけど、その頃はEUからの援助資金に助けられていたからね。(
YAHOO!ニュース)

それが今もらえなくて、アップアップしている。
オルバーンの主な業績をまとめたら、こんなにたくさんあるよ。
1⃣移民・難民対策:オルバーン「民族が混ざりすぎると問題が起こる」「移民は毒」
2⃣少子高齢化対策:移民に頼らない人口増加を目指す。第3子出産以降の所得税免除、不妊治療の無償化。子ども2人以上の家庭に補助金支給(2012年)。子ども1人以上の家庭に補助金支給(2015年)。結婚し出産を控えた夫婦に1000万フォリント(約410万円)を無利子で貸す(2019年)。子どもを4人産むと母親の所得税(15%)が免除(2020年)。
3⃣反LGBT:2021年、未成年者を対象とした教材に、同性愛や性転換についての描写を禁止。
4⃣ロシア・中国との接近:プーチン大統領と長年親密な関係。一帯一路に賛同。中国の援助でハンガリーとギリシャを結ぶ「ブダペスト・ベオグラード・スコピエ・アテネ鉄道」を建設。アジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟。
5⃣ロシアによるウクライナ侵攻:戦争への関与を否定、軍や兵器の提供はしない。
6⃣ウクライナとの対立:ウクライナへの融資に反対。
7⃣ジョージ・ソロス攻撃:2018年「ストップ・ソロス法」成立。

う〜ん、わずか16年で、ここまでできるとは。

たしかに、手腕もすごいけど、
やり方もワンマンだったね。16年間で、彼は裁判所、メディア、選挙制度を、与党に有利に変えてきた。「民主主義の破壊」と批判されると、オルバーンは、「これは新しい民主主義だ」「非自由主義的民主主義」だと言い返した。「つまり自由や多様性より国家のまとまりや多数派の意思を重視する政治モデルとして提示する。この政治モデルは欧米の一部の政治勢力の間で『長期政権を維持する仕組み』として手引きになっているという。」(
YAHOO!ニュース)

たしかに、トップがまともなら、「非自由主義的民主主義」もアリかもな。

でもね、EUも困っている。EUとオルバーンが食い違う点は、
1⃣ロシアとの関係▶オルバーンは、外交を通じたロシアとの関係正常化を望む
2⃣ウクライナを介した西側の代理戦争▶交渉による迅速な終結を望む
3⃣ゼレンスキー政権への資金提供▶腐敗したゼレンスキー政権との相互依存の解消を望む

どれも、オルバーンの方がまともだが?

でも、
ハンガリーの隣国、ウクライナはおもしろくない。
オルバーンが反対するせいで、EUから来るはずの「9兆円」も来ないしな。
だから、ゼレンスキーはオルバーンに脅しをかけた。たとえば、ハンガリー軍内の「自分たちの仲間」に、オルバーンの住所を渡すぞ、とか。(
RT)

マフィアだな。

そしたら
その後、こんなことが起きた。ウクライナに運ぶ「通貨と金」を輸送していた2台の装甲輸送車が、ハンガリー国内を通行中、ハンガリーの対テロ部隊に止められて、ウクライナ人7名が逮捕され、4000万ドル、3500万ユーロ、約9キログラムの金が押収された。拘束された人間はウクライナに戻されたが、現金と金、そして輸送車両はハンガリーに残されている。(
RT)

よくやった!!

ハンガリー経由でウクライナに送られた通貨と金の総額は、今年に入って2ヶ月で、9億ドル以上、4億2000万ユーロ以上、金146キログラム 。

差し押さえた金額はほんの一部か。しかし、
そんなカネ、どこから来るんだ?
ハンガリーのシジャルト外相によれば、マフィアから来ていると。(
RT)
なるほど、臓器売買、人身売買、武器密輸の代金か。しかし、陸路で運ぶとは、勇気があるというか不用心というか。

空路も使えないほど、ウクライナがボロボロってことだよ。その後、
ウクライナは報復として、ロシアからハンガリー・スロバキアに石油を送る「ドルジュバ(友情)」パイプラインを遮断した。(
RT)
ドルジュバパイプライン
🛢️ ゼレンスキー大統領 @ZelenskyyUa は、私たちを脅迫するために友情パイプラインを停止しました。再稼働には技術的な障害はありません。私たちは皆それを知っています。石油はハンガリーのものです。それが流れなければ、ブリュッセルからの支援も流れません。それだけのことです。

子どものケンカかよ!
選挙前に起きていた事件

さて、ここから、
選挙前に起きた事件について話すよ。これが、選挙結果を左右することになったからね。

へえ、何があったんだ?
選挙の3週間前、3月22日、ハンガリーのシジャルト外相とロシアのラブロフ外相の電話の盗聴記録が、ポリティコとワシントン・ポストで掲載された。(
Forbes)
シジャルト外相
ラブロフ外相

なんだと??
その会話の中で、シジャルト外相はラブロフ外相に、ウクライナに関するEUの協議内容を話していて、EUの内部文書を提供すると申し出ていた。(
RT)

それが悪いのか?
ロシアと密通している、と取られたんだよ。敏感に反応したのが、対立候補のペテル・マジャール。彼は、シジャルト外相 は「ハンガリーと欧州を裏切った」と非難した上に、自身の率いる「ティサ党」が勝利したら、外相 を反逆罪で「終身刑」に処すとまで言った。(
RT)

う〜ん、あらかじめ知ってたような反応だなあ。
問題は、この盗聴事件に、サボルチ・パニという、ハンガリー人の野党系ジャーナリストが関わっていたことだ。

なんだと?

別のリークによると、
EU加盟国の諜報機関(ポーランドと言われている)に、シジャルト外相の電話番号を教えたのは、彼だったんだ。(
RT)

なんで、一介のジャーナリストが、政府閣僚の電話番号を知ってる?
パニは、野党「ティサ党」の核心メンバーと親しいんだよ。(
RT)

野党議員が、外相の電話番号を、外国の諜報機関に教えた? 由々しきことじゃないか? 国家反逆罪だろ?

でもね、
この事件によって起きたことの方が深刻なんだ。直ちに動いたのがEU。「ハンガリー政府はロシアとつながっている」ということで、EUは、「迅速対応メカニズム」というSNSの監視・検閲システムを発動したんだ。

選挙まであと3週間というタイミングで?

ドンピシャでしょ? ちなみに、
この計画の中心的役割を果たしたパニは、「Vsquare」というメディアのハンガリー支部長。「Vsquare」のホームページを見ると、米国務省の国家民主主義基金(NED)、米国国際開発庁(USAID)、米国ドイツ・マーシャル基金、EUが支援する2つのジャーナリズム基金から資金提供を受けている。ここは、2014年のマイダン革命の時も一役買ったそうだよ。パニが、元米国国際開発庁(USAID)長官サマンサ・パワーと一緒に写ってる写真もある。一番右がパニ。
※英文全文はツイッターをクリックしてご覧ください
!!一度スパイ、常にスパイ!!
「調査」ジャーナリストのサボルチ・パニ、ハンガリーのロシア疑惑の背後にある男は、常にハンガリーの国民政府を転覆し、その代わりに親ブリュッセル、親ウクライナの政府を樹立しようとする者たちの側に現れるようです。 偶然でしょうか?

ハンガリー国民で、オルバーンを応援していた皆さん!あなたがたの今のお気持ちを、お察しします。日本に高市首相が誕生したときのぼくたちと、似たような痛みを感じておられると推察します。これから、どん底に向かっていくジェットコースターから、振り落とされないように、お互いガンバリましょう!!

・・・おれたちのジェットコースターは、ちょっとスピードが上がっただけで、方向も傾斜もこれまでとほとんど変わらないが、
ハンガリーは180度の方向転換だから、大変だろうなあ〜。
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
たとえばハンガリー。EUの異端児と呼ばれようと、EUからの補助金を凍結されようと、LGBTQや移民から国を守り、ロシア制裁にもウクライナ支援にも断固反対してきたヴィクトル・オルバーン氏。これまで暗殺されなかったのが不思議なくらい、やりたい放題、アンチEU・親ロシアの姿勢を貫いてきました。
しかし、ハンガリーが「EUの対ウクライナ支援」に抵抗し続けるか、その圧力に屈するかを問われた、4月12日の総選挙で、オルバーンは敗北しました。
(外務省の公式サイトの表記に合わせて、「オルバン」ではなく「オルバーン」としました。)(参考:ロシア・トゥデイ(RT))