知り合いが「うつ病になった。」といって相談に来られました。
真面目な公務員で、市町村合併の時に過労になり、それ以来うつ病になったそうです。抗うつ剤かなにかを飲んだら、別人のようになってしまい、家族が心配していました。話を聞くと、悪くなったのは風邪を引いて以来だ、というのです。仕事を休めないので、市販の風邪薬を浴びるほど飲んで、がんばって仕事していたらそうなってしまったそうです。
診察すると、半年前の風邪がまだ治っていないことがわかったので、風邪の治療をすることにしました。鍼灸治療も併用していましたが、かなり早く改善して、今ではうつ病のウの字もないほどお元気になられました。
どこの病院に行ってもわからない、「全身の倦怠感」でうちに見える方もけっこうおられます。たいてい検査では何の異常も見られないので、結局心療内科に回されてしまいます。「うつ病」と診断されて、抗うつ剤や安定剤を飲んだけど、逆に気分が悪くなったのでやめたという方もいます。
そういう方を診察をしてみると、やはり、いつか引いた風邪がまだ治っていない、ということが多いです。そういえば、冬に風邪をひいて以来だるさが取れないとか、病院で風邪薬をもらって長いこと飲んでいたけど良くならなかったという人も多いです。
病院の風邪薬が風邪に効かないことくらい、今どき常識ですよね。どこの病院でも、出されるのは消炎解熱剤と抗生物質と決まっていますが、炎症を止めたら炎症は治りません。熱を下げたらウイルスは死にません。抗生物質は風邪の原因のウイルスには効きません。つまり、病院の風邪薬は風邪に効かないのです。家で寝ていた方がずっと早く治ります。
体はウイルスと戦うために、それまで蓄えてきた体力を使って、炎症を起こしたり熱を出したりしてくれているのですが、そこにさーっと水をかけて消してしまうのが消炎解熱剤なのです。しかもこの薬は、末梢の細い血管を収縮させますので、血の循環が悪くなり、さらに熱を下げますから冷え性になります。よく「冷え性」で来られる方の中に、一年中、風邪薬を飲んでせっせと熱を下げていた方がみえます。冷え性になる薬を飲んでいるのだから当たり前のことです。せっかく起こした火に水をかけてしまうのですから、体力の無駄になり疲れてしまいます。
それでも体は、けなげにも、再び熱を出すためにせっせと体力を蓄えてようやくまた熱を出す。そうするとまた薬で下げる。というようなことを繰り返しているうちに、体は消耗しきってしまい、「慢性疲労症候群」と診断される状態になります。そうなると、朝起きるのもつらい、仕事も疲れる、考えることもネガティブになる。それは大変と病院に行くと、検査では異常なし。「心療内科ですね。」と言われて行くと「うつ病」のレッテルを貼られ、抗うつ剤、安定剤を出されるというお決まりのパターンです。
まず、風邪をちゃんと治してくださいネ!
(挿絵:あい∞ん)
3件のコメント
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読ませていただいて毎回思うのですが、とてもテンポよく簡単な気取らない文章で深い知恵を書かれるのが素晴らしいです。
ぴょんぴょん先生、今日もとても簡潔で的を得た情報ありがとうございました。
かつて「うつ病」という言葉を聞くことはほとんどありませんでした。
いつの間にかこの名が大手を振って歩くようになってから、どれほどの人がどれほどの薬を投与されてきたのかを考えると空恐ろしくなってきます。
母親を連れて病院に行った時、医者は聴診器すら当てることなく、検査結果だけを教えて、あとは山のような薬の投与。あきれてものが言えませんでした。
結局金儲けしか頭にないのだと感じました。
自分の身は自分で守る、この姿勢を保ち、自分でもよく勉強することが大切だと思います。
ぴょんぴょん先生のお話は本当にありがたく思います。
次回も楽しみにしております。
検査結果だけを伝え、山のような薬を出す…あきれる…。金儲けしか頭にない…。確かに心が込もっていないように見えます。
しかし、私は、その時に関わった医療職者の資質だけの問題だけではないと考えています。
今の医療教育に問題があるのではないでしょうか?
西洋医学を主流とした医療教育では、症状を抑えることに主眼が置かれているのです。根本的治療ではないのです。現在の医療職者のほとんどは、そのような教育を受けていますので、匿名さんが言われているような治療(沢山の薬を出す)しか手だてが思いつかないのです。治療には、薬の力が全てと考えるのが主流なのです(手術や放射線も使いますが、薬抜きはあり得ません)。ほとんどの医療職者は、そのような教育を受けてきているのです。
そう考えると、もしかして医療に携わる人々も被害者なのではないかと考えたりもします。
ぴょんぴょん先生のように考えることができる医療職者は、極わずかなのです。いわば医療の世界では異端児なのです。でも、一刻も早く、現在の西洋医学のおかしさに多くの人々が気づき、医療職者が、本当の意味で目覚め正しい医療が行われることを願っています。
現在の医療に疑問を感じ、これでいいのか!と日々考えている西洋医療に携わっている端くれでした。