【第9回】 南インドでアーユルヴェーダ ~医師のパンチャカルマ体験~
大好き!シローダーラ

今回、いっしょに入院していた方たちの中に、ずっと入眠剤を飲み続けてきたKさんがいました。インドに来てからも、薬を飲まないと眠れないといいます。それがある日、Kさんの顔つきが別人のように変わったことに気づきました。もともと目鼻立ちがハッキリした方でしたが、さらに目がパッチリして、表情が生き生きとしてきれいになっているのです。「何かしたの?」と聞くと、午前中にシローダーラを受けたというのです。その後Kさんは、入眠剤なしで眠れるようになったそうです。
また、Hさんも頭痛で苦しんでいましたが、シローダーラを受けた翌日にはすっかりよくなって、晴れ晴れとした顔で現れました。

私が初めてシローダーラを受けたのは、バリ島でした。そのときは、意識不明になるくらいこんこんと眠って、このまま起こさないでほしいと思ったくらいでした。そばに人がいると緊張する私が、あれほど深く眠ってしまうなんてありえないことでした。

ところが、日本でシローダーラを体験した時、施術中に「眠らせてはいけない」ことを知りました。眠って意識がないと効果が落ちるので、眠らせないようにするそうです。それでも施術後に、「今日は眠っていましたね」と言われたことがあります。自分ではずっと意識があったのですが、体は眠っていたらしい。そういう体験は初めてしました。

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インドでは4日間、シローダーラを受けました。
まず、服を着たままで台の上にあおむけになって寝ます。目隠しをされ、その後は約1時間、額の上を左右にゆっくりと移動していく、生温かいオイルの感触を感じるだけです。オイルの流れは眉間の1点にとどまることなく、絶えず行ったり来たりしています。しかも日本のオイルよりも濃厚で、まるで額の生え際を、指でゆっくりとなぞられているような感覚でした。

気になったのは、インドではそれほど静寂にはこだわらないことでした。1日目のシローダーラでは、インド歌謡曲を流しながらやってくれました。でもその日は、音に気を取られてオイルの感覚に集中できませんでした。
翌日から、音はいらないと言って、静寂の中で受けました。そうしたらやはり、意識がすごく深く入って、裏側にストッと入りそうになりました。

シローダーラは脳のマッサージだ、とも言われます。頭蓋骨の中にある脳は、マッサージできませんが、ごま油が骨を通過して、脳にまで到達するとしたらすごいことです。わざわざ頭蓋骨に穴開けて、手術なんかしなくても良くなるかもしれません。

日本では、シローダーラ後の3日間は、シャンプーしてはいけないと言われました。しかし、ここでは終わったらすぐに、バケツ1杯の薬液で髪を洗い流し、そのあとシャンプーするように言われます。すぐに洗わせるのは、シーツが汚れるからかもしれません。
09_02 私はなるべく長くオイルを残しておくために、すぐに髪を洗わず、ベッドが汚れないように気をつけながら横たわっていました。この方が、脳にオイルがしみ込む時間が長くなるので、良いように思いました。

受けた後は、頭の疲れがとれてスッキリした気分になります。そして鏡を見ると、自分の目の輝きが違うのに驚きます。それは他の人も気づくほどです。

不眠症や頭痛、精神的な問題のある方、体癖が上下型の方、頭脳労働の方にはぜひお勧めしたいトリートメントです。

(挿絵:あい∞ん)

次回は、10月8日(木)更新「プラスの医学とマイナスの医学」の予定です。

Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声 jijiblog_nejireigaku_banner7

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