【第2回 帰郷】 hiropanのAfter 3.11 ~震災後に見えてきたこと~

フクシマに帰る

震災後、私は福島に帰る決断をしました。
冷静に考えれば、山形に残った方がまだ安全であったでしょうし、そこから直接遠くへ逃げることもできたはずです。でも、その時の私は、「とにかく福島に一旦帰る」ということで頭がいっぱいでした。
事故直後は、放射能に対する情報も氾濫し、地元の汚染状況のはっきりした詳細もつかめずにいました。私自身、そのあまりに異様な状況に、とても冷静ではいられなかったと思います。

インターネットから積極的に情報を集め、心ある人たちの真剣な訴えや、信頼に値する多くの情報も得ていました。現在この国が置かれている状況、政府があまりにも重大な情報を隠していること。それまで聞いたこともなかった単語や数値の意味を一生懸命飲み下しながら、今回の事故が、どれほど大変な事態なのかということも知りました。
しかし、そのときの私は、そういった情報を得ても尚、福島をあきらめることができませんでした。自然が豊かで、本当に美しいところなのです。

after311_02_01

私は3-7種体癖ですから、数字や文章だけでは納得できない性質だというのも、相まっていたのだと思います。危険だとはわかっていても、とにかく一度福島に戻り、自分の目で見て状況を知りたいと思いました。
「明日死んでも悔いのないように」という言葉が、常に鳴り響いて自分を動かしていました。

私の両親は、福島で飲食店を経営しています。社会に出ていろいろな経験を積んだら、いつかは帰ってきて、店を継いでカフェをやろうと考えていました。原発事故後、地元に帰ってきて、真っ先に気になったのは、やはり、空気や、食品等を通した内部被曝の問題でした。

自ら望んで帰ってきたものの、やはり得体の知れない“放射能”に対する警戒心や不安で、体はとても緊張しました。
ある日、知人にガイガーカウンターを借りて、家の中や周囲、雨樋や、畑の空間線量を測定して回りました。室内では平均毎時0.12マイクロシーベルト、畑や草むらでは、0.8~1マイクロシーベルト。(2011年測定時)

0.44マイクロシーベルト

(雨樋付近 2011.6.25撮影)

0.14マイクロシーベルト

(室内薪ストーブ付近 2013.12.24 撮影)

ウクライナ製のガイガーカウンターから、けたたましいアラーム音が鳴り響くたび、焦りと、不安、悲しみで目の前が暗くなりました。目を背けたくても、背けるわけにいかない現実を突きつけられた瞬間でした。

しかし、そういった数値を高いとみるか、低いと見るかも、人により変わってきてしまいます。福島県内では、他にもっと高いところがいくらでもあるので、ここに示した数値は、もしかしたらあまり高くはないと考える人が、福島には結構多いかもしれません。

原発事故から3年経った今でも、福島県内での放射能に対する適切な教育や、認識はほとんど成されていないのが現状です。国は、だんまりをきめこんだまま、甲状腺癌などの病気と放射能との因果関係は証明できないなど、あらゆる責任から逃れようと必死です。あやふやな日本語表現を駆使して、多くの国民を騙しています。そしてもしも健康を損なったとしても、それはあくまで「自己責任」だと、この国は言いたいのだなと思います。国のそういったあまりに無責任で不誠実な対応に、何よりも大きな危機感を感じています。

Writer

hiropan

佐々木ひろこ(hiropan)

1988年、埼玉県川口市生まれ。福島県会津地方北部の自然豊かな裏磐梯(北塩原村)に育つ。2010年、東北芸術工科大学デザイン工学部プロダクトデザイン学科卒。

2011年、東日本大震災、原発事故を機に、社会の在り方と自分の生き方の方向性を見つめ直し、転換する。2012年、福島から一人旅で たまたまふらりと訪れた広島県の離島、大崎上島へ移住を決断。
現在、小さな畑で野菜や柑橘を育て、ニホンミツバチを飼いつつ、絵や文章を書きながらスロウに暮らす。

http://utsukushimaai.blog.fc2.com/ 「しましま」

11件のコメント

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  1. 連載第2回目心待ちにしていて8日が来るのを楽しみにしていました。

    hiropanさんのイラストはとってもかわいくて次にどんなイラストがのるんだろう?とワクワクしてしまいました。

    311の事は多くの方が自分には直接関係ないと思っておられるように感じます。
    真剣に向き合うほど冷や汗が出てくるような状況なのに・・・。

    震災の事は辛い体験だったのに生の声を書いてくださってありがとうございます。

    大崎上島でのスローライフ良いですね。
    若いのにしっかりと現実を見ながら伸び伸びと生きておられる姿はみなさんの大きな励みだと思います。

    これからも連載楽しみにしていますね(#^.^#)

  2. 「After 3.11」第一回から、とても興味深く読ませて頂いております。
    福島から遠く離れた島へ一人転居されたことは知っていましたが、

    そこに至るまでの体験や心の変化など、どんなふうだったのか・・・
    知りたいと思っておりました。
    実際に体験された方にとってもは辛いことばかりだと思いますが、
    公開して頂きありがとうございます!

    hiropanさんの福島の故郷、本当に美しいところですね。
    大勢の人々の人生を狂わせたのもありますが、
    こんな綺麗な自然にも迷惑をかけてしまったことを思うと
    改めて申し訳ない気持ちになってきます。。。

    どんな展開になっていくのか、次回の記事も楽しみにしておりますね!

  3. まいまい on

    ひろぱんちゃんのリアルな実体験はとても貴重なものだと思います。とても大切なことを公開してくださり、ありがとうございます。
    そして企画してくださったシャンティフーラのみなさま、ほんとうにありがとうございます。

  4. 自分がもし、ひろぱんさんと同じ立場に立たされたら、その時どういう行動をとるのだろう。
    勇気を持って、一歩踏み出せるのか。
    そんなことを考えながら読ませていただいてます。
    ひろぱんさん、半年間の長丁場でたいへんだと思いますが、
    ガンバルダ!応援しています!

  5. ぴょんぴょん on

    危険を承知で現地に帰り、実際に自分の目で確かめる。
    すごく地に足の着いた方だと思いました。
    文章もしっとりとしていて読みやすく、前回のイラストもとてもかわいかったです。
    これは貴重な手記ですので、ぜひ一冊の本にしていただき多くの方に読ませたいと思います。

  6. 月の子様 ñorita様 はちコ様 まいまい様 arakabu様
    コメントありがとうございます!
    公開までは、どのような反応があるのか、少しどきどきでしたが、皆様の温かいコメント、励ましのお言葉をいただいて、とてもうれしくて、また、ホッとしています。
    少しシビアな内容になってしまう部分もありますが、絵や写真を通し、少しでも、皆さんに楽しんでいただけるものが書いていけたらと思っています!半年間、どうぞよろしくお願いいたします♪

  7. こんにちは。初めてひろぱんさんのお顔拝見できて嬉しいです(*^o^*)

    書くにあたって苦しみを伴う事とおもうのに公開してくださる事、感謝します。
    連載応援しています。

    島の生活も時々拝見してますよ〜。
    とっても綺麗‼

  8. ぴょんぴょん様 
    「読みやすい」と感じて頂けてよかったです!
    時間をあけて、何度も読み返し、編集したかいがありました。
    引き続きどうぞよろしくおねがいいたします。

    せい様
    >書くにあたって苦しみを伴う事とおもうのに公開してくださる事、感謝します。

    いえ、苦しみというものは不思議なほど感じないのです。
    失ったものは大きくても、それを乗り越えて得たものはもっと大きかったからだと思います。
    応援ありがとうございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!

  9.    ひろぱん様

    第一回目の優しい絵と文章に和みつつ、楽しく拝見させて頂いています。
    原発事故をきっかけに、今後の自身の生き方について、生と死を直視しながら必死で受け入れていった様子が、伝わってきました。不安も大きかった事と思いますが、自分で調べたうえで、福島に帰る決断をされたこと、その勇気!素晴らしいと思いました。
    それだけ、福島の土地を、そこで出会った人たちを愛されているのですね。
    でもでも、どうぞお体は大切に。大崎上島のきれいな空気、新鮮な海の風、豊かな土に癒されて、元気に過ごされているみたいで良かったです。
    今後の記事も楽しみにしています。

    • りママ様
      優しいお言葉、ありがとうございます。
      楽しんで頂けてよかったです。^^
      福島に帰ったこと、それが「勇気」だったのかどうか?
      恐らく私は、単に現実を受け入れたくなかったのだと思います。

      私にとって、そして多くの人達にとって本当に勇気のいることとは、まさにその「現実を受け入れること」だったに違いありません。

      次回以降も、(しばらくシビアな内容が続きますが)楽しんでいただけますように。

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