【第22回 空き家】 hiropanのAfter 3.11 ~震災後に見えてきたこと~

家との出会い

私達が草地に座って話していたところに偶然通りがかった男性は、みほさんが近所にあると言っていた「空き家」を管理されている方、その人でした。
空き家の話が出て30分と経たないうち、その方が正にそこを通りかかったのは、とても絶妙なタイミングでした。

すかさず、みほさんがその男性(後に私のミツバチの師匠となるKさん)に、事情を説明して下さり、私達は早速その家を見せていただくことになりました。

案内された家は、みほさんの家から歩いて1分ほどのところにありました。つくりは少し変わっていて、表の道路に面したところにまず倉庫があって、すぐ隣りはみかん畑があり、みかん畑と、倉庫に挟まれた、人一人がやっと通れるほどの細くて、急な坂道を、みかんの枝をくぐるようにして降りて行くと母屋がありました。

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表からのちょっと急斜面なアプローチ。耕作放棄されたみかんがゴロゴロ。

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母屋の正面(道路とは反対側)には小さな日本庭園風の庭があり、真ん中には、立派なもみじと、小さな庭にしては少し大きめなコンクリートで出来た空っぽの池が、家にかなり接近する形で作られており、家と池の間のちょっと細めな通路を通って庭をつっきると、一番奥手に玄関がありました。

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母屋と庭の正面には、細い道が通っていて、つい30年程前まで、このあたりではその道が唯一の生活道路だったのだそうです。(玄関までのアプローチが少し変わっているのはそのため。)その小道は、草木の間を抜けてずっと向こうの方まで続いているようでした。
元々の家主の方が大工さんだったのだそうで、この家はその方がご自身でところどころ増改築を繰り返しながら建てられたと伺いました。
築50年程と思われる平屋のその家は、空き家になって7年程経つと言いますが、サッシも真新しく、畳もきれいで、雨漏りの痕跡も、ほとんど目立った傷みもなく、少し掃除をすればすぐに住めそうな程状態の良いものでした。

間取りは、ふすまで仕切れる、3畳と、6畳、8畳の和室に、広めの台所と、トイレ、洗面所があって、玄関入ってすぐの南向きの広めな縁側が素敵でした。

ふすまを開けると広々。

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手作り感溢れる洗面所!(何故か穴が空いてる。)

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縁側の窓から見える景色(竹やぶと、ちょこっと海)

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広めなキッチン!

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畳の部屋の真ん中には、なぜかロッキングチェアがおかれていて、聞くと、その椅子も、家具も、いくつかは自由に使って良いとのことでした。
決して大きな家ではないけれど、一人で暮らすには十分すぎるぐらい贅沢な広さでした。

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母屋正面の小道(旧メイン道路)を少し歩いて行ったところには、柿の木、キューウィフルーツの蔓棚、枇杷の大木に、調度良い広さの段々畑までついていました。
また、この辺りは日当たりが良く、おいしいみかんがつくれる反面、昔は夏の水不足が悩みの種だったのだそうで、倉庫の地下には雨水を貯めるタンクがあり、手作りのパイプラインが下の畑までしっかりと引かれていました。そこには私が理想としたこと以上のものが揃っているようでした!

・・・一番気になったのは家賃ですが、どんなに素晴らしい家でも、もし家賃が高ければ、諦めざるを得ませんでした。
「ちょっと持ち主と相談してくる。」と言ってその場を離れられたKさんが、戻ってきて提示された金額は、「1万円」。
普通、街では信じられないような好条件でしたが、その時の私はまだ島に来て2日目で、家探しの経験もほとんどなかったため、「島や田舎はどこもそんなもんなのかな~」ぐらいに思っていました。
現在、私は島に住んで2年半が過ぎましたが、どうやらそのような条件の空き家は、この島でも滅多に見つけることができない奇跡的な物件であったようだというのが、徐々に理解できてきました。島の空き家バンクでは、例え安い家賃で借りられても、水回りや雨漏りの修繕など、かなりの手入れや改装を要する物件や、家主が亡くなったり、出て行って、そのまま、物が置きっぱなしになっている状態で、貸出に出ている物件も珍しくないと、人からは聞いています。
特にここ1、2年では、島への移住者や移住希望者がどんどん増えてきていて、空き家探しも競争率が高くなってきているようです。

しかし、そんなことは何も知らず、その時の私は、あまりに急な展開に頭がまったくついて行けず、正直、かなり戸惑っていました。移住先を探しに来たとはいえ、いざ家が見つかって、「住む!」という段階になると、急にいろいろな心配が頭の中を駆け巡りはじめ、不安に、心がぐらぐらと揺らいでしまいました。

Writer

hiropan

佐々木ひろこ(hiropan)

1988年、埼玉県川口市生まれ。福島県会津地方北部の自然豊かな裏磐梯(北塩原村)に育つ。2010年、東北芸術工科大学デザイン工学部プロダクトデザイン学科卒。

2011年、東日本大震災、原発事故を機に、社会の在り方と自分の生き方の方向性を見つめ直し、転換する。2012年、福島から一人旅で たまたまふらりと訪れた広島県の離島、大崎上島へ移住を決断。
現在、小さな畑で野菜や柑橘を育て、ニホンミツバチを飼いつつ、絵や文章を書きながらスロウに暮らす。

http://utsukushimaai.blog.fc2.com/ 「しましま」

4件のコメント

  1. 大崎上島に住みなさいね。としっかり導かれた様子がよく分かりました。
    すごい流れだったのですね。
    お家とその周辺の絵がとても分かりやすくて可愛い(*^_^*)

    レポートも楽しみです♪

  2. 牛サマディー on

    ぴよこと3の『そうすると不思議なことが起こり始め、本当に助けてくれる人が現れます。神の導きに従ってすっと動いていくと、「あれ、親切な人がいっぱいいるね」という形で物事が起こり、…』
    の部分を思い出しました。
    まさにこの言葉を体現されてるな~~!と思いました。
    それにしても1万円!!??!!?!?! にはビックリです。

    私もレポート楽しみです。

  3. 月の子様

    >すごい流れだったのですね。

    えぇ。それは・・・正しく怒涛のようでした。( ゚ ρ ゚ )ボー

    牛サマディー様

    そう、正にそれを地で行ってしまいました。
    嘘でしょ?!って・・・思われそうなことですが、現実に身を持って体験&体感してしまいました。
    人生って、オモシローーーイ!!!(・∀・)

    レポート、私も楽しみです。(あれ?)

  4. ñorita on

    まさに!hiropanさんのために用意されていたような家ですね!
    イラストやたくさん写真があって、お宅を訪問した気分になりました♪

    でも、畳の部屋のロッキングチェアの後ろに人影が・・・
    一瞬気が止まってしまいました(・・?

    ついでに。。。
    私もレポート楽しみです♪

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