【第5回】 南インドでアーユルヴェーダ ~医師のパンチャカルマ体験~
トリートメントの日々

ここでの日程は、ほぼこんな感じでした。

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6:00      ナースが朝の薬を持って部屋に来る
6:30~     ヨガのクラスが1時間
7:30~9:00   朝食  
10:30~     メインのトリートメント約1時間、
         ときどきドクターの回診
12:00~14:00 昼食
14:00     ナースが6時の薬を部屋に持ってくる
15:00     補助的なトリートメント
17:00~、18:00~、ヨガのクラス
19:00~    夕食
21:00     回診、その後就寝

ここでの理想的な滞在期間は、3週間だそうです。1~2週間の人もいましたが、中途半端らしくて、みなさん「もっといたかった~」と言っていました。でもそれは、あくまで何も病気のない人で、重い病気のある人は、3週間でも不十分だと思います。ドクターの指示に従って、定期的にパンチャカルマを繰り返さないといけないと思います。

ここには当直を含めて、4名のドクターがいます。初日の午前中、30台後半くらいの恰幅のいい(メタボ?) Dr.カーティクの問診と診察を受けました。
10年前から鼻血が出ること。疲れると耳鳴りと不整脈が出ること。アルコール、コーヒー、紅茶に弱くなってきたこと。

Dr.「香辛料は?」
 私 「辛いカレーを食べると鼻血が出ます。」
Dr.「暑い気候は?」
 私 「真夏の日中に外で働いて、膀胱から出血したことがあります。」
Dr.「朝は何時になるとお腹がすきますか?」
 私 「11時です。」
Dr.「ピッタ!!」と言って、にやりと笑います。

「ピッタはお腹がすいたら、がまんしないで食べないといけませんよ。」
「アルコール、カフェイン、香辛料は控えてください。肉を食べるなら、体を冷やすマトンがよいでしょう。トリや牛は、消化吸収にエネルギーを要するので勧められません。豚は冷やしますが、やはりエネルギーを使います。」

次に脈診です。アーユルヴェーダの脈診というのはおもしろくて、いろいろなことがわかるそうです。漢方の名医でも脈診で、妊娠の有無や、胎児が男か女かがわかると言います。ある人は、生理が来ないので先生に相談しました。そうしたら脈診で「明日から来るよ」と言われて、実際に翌日に生理が来て、 0502先生を見直したそうです。

アーユルヴェーダの教科書には、ヴァータの脈はヘビのようにくねくねした脈、カファは白鳥の動きのように滑らかな脈、そしてなんと!ピッタは、カエルのように「ぴょんぴょん」する脈なのだそうです!
先生は私が「ぴょんぴょん」であることを知らないのに、脈を取りながら「ピッタ!」と目を輝かせながら叫びました。

「貧血とラクタ・ピッタ(出血)ですね」と言われました。ラクタというのは、7つのダートゥーのうち、食物が最初に変化するラサ(リンパ液、血漿)、の次に作られる「血液」のことです。ピッタが乱れているので、ピッタ(火)の持つ消化力で食物を消化しても、吸収してラクタにできない。つまり血が作れないので貧血になる。貧血から耳鳴り、不整脈になるということです。

「このメカニズムは、ほぼ自分が考えていた通りです」と言うと、先生はニッコリして、薬の処方とトリートメントの予定をカルテにスラスラと書き込んでいきました。

(写真:ぴょんぴょん先生|挿絵:あい∞ん)

次回は、9月10日(木)更新「トリートメントの日々つづき」の予定です。

Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

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