【第11回 アイヌと日本人】 hiropanのAfter 3.11 ~震災後に見えてきたこと~

人々の思い アイヌの歴史

旭川に来たかった理由は、そこが家具や工芸品などのモノ作りが盛んな町であったのと、アイヌ民族の資料館や博物館がいくつかあったからでした。
ネイティブ・アメリカン、アボリジニー、ポリネシアン、中国少数民族、琉球文化、そして、アイヌ。
一つ一つの文化に関して、それほど詳しいわけではありませんが、それら少数民族が持つ、独自の精神性や文化、自然と一つに結びついた奥深い智慧に、私は以前からとても興味を持っていました。彼らの文化、生き方は、ただそれそのものがとても美しく、芸術的に感じられました。しかし、そうした少数民族の歴史には、大抵、想像を超える悲しい出来事がつきまといます。「北海道」になる以前、そこにはアイヌという人々が、独自の言語と文化を持って、とても豊かに暮らしていました。開拓や文明化の名の下に、彼らの暮らしや文化もまた、一方的に軽んじられ、時に武力によって奪われ、破壊されてしまいます。

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私はアイヌの刺繍や彫刻や伝承など、文化的な美しい側面を学びたくて北海道に来たけれど、そこで受けた最も大きな衝撃は、私たち日本人が、そうした美しい文化を破壊してきた側でもあったという生々しい“歴史的事実”でした。
北海道を訪れる際は、是非アイヌと和人(日本人)の関係性の歴史についても学んでほしいと思います。アイヌ民族は、無理矢理に取り込まれた和人社会の中で、長い間、様々な偏見や差別と戦ってきました。日本人になることを強いられながら、日本人として受け入れられず、そんな中でアイヌとしての誇りやアイデンティティを保持していくことの苦しみや葛藤。私には到底語ることのできない、それを生き抜いてきた彼らにしかわからない人間的苦悩がそこに降り積もっていると感じます。

高校生の頃、私は修学旅行で二風谷のアイヌ資料館を訪れました。そこで伺った館長さんのお話からは「アイヌ民族」が受けてきた差別や苦悩、祖先達の尊い文化に対する深い愛着、失われてしまったものを遠く見つめるような悲しい眼差しと、アイヌの魂の炎を何としても絶やさんとする強い使命感が感じられました。どんなことをおっしゃっていたのか、詳しい内容は忘れてしまったのですが、あの時、アイヌ民族である館長さんの放っていたなんとも言えない独特の波動だけが、ずっと心の奥にひっかかっていました。

一つ二つ上の世代では、まだ色濃く残っていたであろうアイヌの差別問題も、私が育ってきた世代では、感じたことがありませんでした。(周りにアイヌ民族の友達がいなかったので、もしかしたら知らないだけかもしれませんが)
アイヌ民族の強制的同化政策が敷かれて久しく、アイヌと和人との境界や隔たりが、血脈だけではなく、意識的にも薄くなったこと、国際交流が盛んになり、他民族と接する機会が増えたことや、少数民族古来の文化が見直され、リスペクトされ始めた現代の社会的気風などが大きな理由と言えるのかもしれません。

しかしながら、アイヌ民族と日本の問題は、未だきちんと解決されたわけではありません。
日本人であり同時にアイヌ民族でもある彼らの内には、人にもよるのでしょうが、未だに腑に落ちていない感情や葛藤を抱えている人々も多くいると思っています。日本は、もっと日本人(和人)とアイヌの関係性の歴史にきちんと向き合い、アイヌ民族に対し、国として正式に謝罪をする必要もあるのではないでしょうか。
私はアイヌ民族ではありませんが、その文化や価値観には、共感し、学ぶべきものが沢山あると思っています。自然とともに、祈り、調和して暮らす。現代社会が見失った価値観や智慧が、アイヌ文化の中には残されています。こうした文化的、精神的遺産を現代アイヌの人々と一緒に学び、そのエッセンスを受け取り、活かすができたなら、社会にとっても、地球環境にとっても、どんなに素晴らしいことであろうかと想像しています。

Writer

hiropan

佐々木ひろこ(hiropan)

1988年、埼玉県川口市生まれ。福島県会津地方北部の自然豊かな裏磐梯(北塩原村)に育つ。2010年、東北芸術工科大学デザイン工学部プロダクトデザイン学科卒。

2011年、東日本大震災、原発事故を機に、社会の在り方と自分の生き方の方向性を見つめ直し、転換する。2012年、福島から一人旅で たまたまふらりと訪れた広島県の離島、大崎上島へ移住を決断。
現在、小さな畑で野菜や柑橘を育て、ニホンミツバチを飼いつつ、絵や文章を書きながらスロウに暮らす。

http://utsukushimaai.blog.fc2.com/ 「しましま」

3件のコメント

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  1. 本当にそうの通りですね。。。
    踏みにじられてきたアイヌ人の尊厳や文化や権利。
    だいぶ見直されてきたとは言っても、まだまだだと感じます。
    「私、○○人。」とか「私は○○の出身なの。」など、
    どんな少数派民族であったり、どんな国や地域であっても
    誇りをもって打ち明けられ、そして喜んで受け入れられる。
    そんな、みんながどうどうと生きられる時代が来ればいいな~と思います。
    そして何よりも、そういった先住民族の精神性や文化は
    私達にとって学ぶべきところが本当に多いですね。

  2. ñorita様
    いつも いつも、温かいコメントくださってほんとにありがとうございます。

    >「私、○○人。」とか「私は○○の出身なの。」など、
    どんな少数派民族であったり、どんな国や地域であっても
    誇りをもって打ち明けられ、そして喜んで受け入れられる。
    そんな、みんながどうどうと生きられる時代が来ればいいな~と思います。

    人々が精神的に自立できず、本質や本当の法則を知らないからこそ、こんなおかしなことが起こってるのでしょうかね。
    自分もいつ、マジョリティーからマイノリティー側になるかなんてわからないのに。

    また、もし、輪廻転生や、カルマの法則が当たり前の世界観として捉えられるようになったなら、戦争なんて起きないんだろうなって思っています。
    自分が昔どこの国に生まれ、次にどこの国に生まれるかわからないのにね!

  3. まいまい on

    イラスト、とっても可愛らしいですね~~

    色使いが、ほんとうに美しいです(*^_^*)

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