この頃は、眼科でも、皮膚科でも、その他の科でも、何かというとすぐに合成ステロイド剤(以下ステロイド)が使われることが多くなりました。赤ちゃんにも簡単に処方されているのを見て、びっくりさせられます。
蚊に刺されたとき、ふつう放っておけば勝手に治ります。でも、免疫の弱い子供はそこから化膿して広がり、周囲が皮膚炎のように赤くなることがあります。すると親は皮膚科に連れて行きます。そこで必ず、ステロイド軟こうが出されます。このように、子供のころからステロイドのお世話になっている人はたくさんいます。その方たちは、免疫力が弱く病気にかかりやすい。しかも、ステロイドのお世話にならないと治らないような、やっかいな病気にかかります。
これはなぜでしょう? 考えてほしいのです。副腎皮質ホルモンなどのステロイドホルモンは、自分の体で産生されています。そして必要な時に必要な量だけ分泌されています。それを外部から与えたらどうなるでしょうか? 十分にあるから「作らなくていいや。」と体は判断します。怠ける癖がつくのです。そうすると、必要な時にステロイドホルモンが足りなくなって、外部から与え続けなければならなくなるのです。
私はこれを「高利貸し」「サラ金」と説明しています。「一時的には楽になるかもしれないけど、後が大変。利子が高いよ。あとで倍返しが来るよ。稼いでも稼いでも、借金に追われる体になるよ。」と言います。
ではいったい、ステロイドは体にどんな作用をもっているのでしょうか?
代表的なものは、血管の収縮作用、つまり血管を縮める作用です。
蚊に刺されて赤く腫れているとします。蚊の注入した毒素と免疫力が戦っている証です。つまり、海岸線に侵入してきた敵と、全身から集められた防衛軍が戦っている。それで血流が増えて腫れ上がるのです。でも戦いが収まれば、腫れも自然と消えます。かゆみも消えています。
ここで、最初にステロイドを塗ったとします。塗った部位の血管は収縮します。赤みもかゆみもすぐに消えます。でも、防衛軍は集まりにくい状態です。駆け付ける道路が狭くなってしまったからです。結果、いつまでも敵がそこに居座ることになります。
薬の効果が切れて、やっと血管が拡張した時には、敵は体内に侵入するチャンスを見つけるでしょう。そうなると敵は体内を巡り、今度はセンサーであるリンパ節にキャッチされます。そうすると「リンパ節が腫れた。」と言って、また病院に行きます。なにやら検査をされて、もしかしたら悪性の疑いがあるなどとおどされ、さらに自分のステロイドホルモンを減らします。ステロイドはストレス時に消費されるからです。そこで抗生物質も出されると、さらに体の負担は増えます。蚊の毒だけでなく、薬の毒も解毒しなければならなくなるからです。
次回へ続く
(挿絵:あい∞ん)
5件のコメント
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今回も分かりやすいご説明ありがとうございます。やっぱりそうかと納得納得です。
抗うつ剤なんかもその典型のような気がします。身体を怠けさせず、細胞ちゃんが自分役割をしっかり果たせるようにすることが大切ですね。
ぴょんぴょん先生、今回もとても興味深く読ませていただきました。
「高利貸し」「サラ金」という表現がぴったりですね。
ぴょんぴょん先生の文章を読んだあと、あい∞んさんのイラストを見ると、先生のお話の内容がスーッと入ってきました。イラストのすごさに感心しました。
ステロイドはサラ金・・・・・なるへそ。
ステロイドの危険性は、とてもよくわかります。
わたしも幼い頃、処方されていたので。
しかし!そこまでおっしゃってくださる方は少ないと思います。
いつも、ワンダフル♪な記事を、ありがとう♪ございます
ステロイドって本当に怖いですね。
先日、息子が皮膚科を受診したら案の定ステロイド剤の入った薬を持ち帰りました。
診察の結果を聞いて薬を使わなくても良いかな?とそのままステロイドを使わずに様子を見ていました。
ゆっくりですが少しづつ治っています。
体の持っている力を大切にしないといけないですね。
今回の記事もとても分かりやすくて勉強になりました(*^_^*)
今日は免疫疾患でステロイド治療を行い、副作用で脊柱が空洞化してしまった方と会いました。ステロイド剤の副作用は鬱なども知られています。単に病巣を広げる為に処方されている様にも思えますね。