【第2回】 南インドでアーユルヴェーダ ~医師のパンチャカルマ体験~
日本からインドまで

今回の旅は、朝7時に福岡空港を出発し、成田で乗り換えて、約7時間後にシンガポール空港に到着しました。そこからインド、コーチン行きの飛行機に乗りかえたのが、日本時間で夜の10時ごろ。

ところが、出発の遅れで50分も機内で待たされました。インド英語のアナウンスは、何言ってんのかわかんないし、何で遅れているのか、到着は何時になるのか、さっぱり状況がつかめません。 02_01 周囲は待つことになれた、気の長いインド人ばかりで、イライラしているのは自分だけのようでした。

すし詰めのボーイング737の客席では、足を組むこともままならないくらい狭くて、となりの女性は気分悪そうに臥せっているし、わけのわからないインドのにおい?はするし、狭い通路をスチュワーデスたちが、怒ったようにドカドカ行き来しているし・・・まさにこれこそ、「苦行」でした。

病気の人が、アーユルヴェーダの治療を受けるためにインドに行くとしたら、果たしてこの移動時間に耐えられるかしら、と思いました。私は元気でしたが、それでもかなりの忍耐と労力を使いました。本物の病気で具合が悪い人には、この距離はちょっときついかもしれません。もちろんお金があれば、ビジネスクラスや直行便を使って、労力と時間を節約することもできるでしょうが。

4時間のフライトの後、深夜11時過ぎ(日本では2時ごろ)に、ついにコーチン空港に着陸しました!と安心したのもつかの間、次に待っていたのは入国審査の長蛇の列でした。
当然、私は「外国人」の列に並ぶわけですが、待てど暮らせど前に進まない。これがインドかあ~(ため息)、深夜だというのに、みんな早く帰りたくないんかい?というほど、のんびりまったり仕事をされている様子で、このままだと朝になりそうです。スピードの7種、火の要素のピッタの私には、とうていがまんができないー!

しかし、となりに何列もある「インド居住者」の列はがらがらで、審査官たちはヒマそうにしているのです。そこには、「外国人」も並んでいるのに、すんなり通されていきます。移ろうかどうしようか。でも、もし順番が来ても「ノー」と言われれば、ふたたび「外国人」の最後尾に並び直さなければならないでしょう。

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とにかく早くここを出たいー!という思いから、「インド居住者」の列に並んでみることにしました。結果的には、ずいぶん早く出ることができましたが。
しかし、今こうして冷静にみると、「正直」に違反しちゃったなあ~とまずい気分になります。それよりも、一刻も早く列を飛び出して、外に逃げだしたい気分でした。なんとか踏みとどまれたのは、もう一人の自分が、「おいこら!これを、治すためにインドに来ているんじゃないか! どおどお・・」と言ってくれたおかげです。ふだんの平和な日常生活では、こういう極限状態の自分にお目にかかる機会がないので、「本性見たり!」のできごとでした。

さてそれから1か月後、私は羽田空港の税関にいました。何列かあって、人が並んで順番を待っていました。私の前にいた女性は、大きなスーツケースを引きずりながら、早そうな列を探して、あっちこっちにうろうろしています。それを見ながら、私はひとりニヤニヤしていました。誰かさんみたい・・と。
インドに行って、ちょっとは変われたかなあ~?

(挿絵:あい∞ん)

Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

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