私の父は6年前大往生で亡くなりました。とても優しい父でした。
「さあ、家に帰ろうね」と、亡くなった父を連れて病院の外に出たら空に大きな月輪が出ていました。肩を落として小さくなった母を励ましたくて「ほら!お父さんの新しい門出を神様が祝福してくださっているよ!」と言って、月輪を仰ぎながら父の死を受け入れたのを思い出します。
それからちょうど2年後、娘が男の子を出産しました。まさに産む瞬間「おじいちゃんが見守ってくれている」と感じたそうです。
その孫が変なのです。まず、赤ちゃんなのに「これ、おじいちゃんの匂いじゃない?」と誰でもが言います。1歳過ぎた頃には頭がでかい、やせ形、立ち姿がおじいちゃんそっくりです。好みまでも!
そう、車が大好きなのです。それもマニアックな昔のオースチン!図書館でオースチンの絵本を見つけて手離しません。実はおじいちゃんが30代の頃初めて買った車がオースチンだったのです。長年大事にしていました。
そして、メガネ、革靴、スーツ、帽子、白の手袋、高級時計、櫛が好きなのも父と一緒です。子どもにはあり得ない趣味です。
幼稚園バスには毎日・・・櫛で髪を整えて園の帽子ではない帽子をかぶり、サングラスをかけて、白の手袋をはめて、超あやしい姿で乗るそうです。帰ってくる時もその姿とか(笑)好きな歌は藤山一郎の「丘を越えて」・・・古い!変な子!ありえない!
私の実家に行くのが好きで、父の写真にチュッとします。・・・もうここまで来たら笑っちゃいます。面白いと思って母に「この子はおじいちゃんかも」と言いました。母は喜んで「それなら父が大事にしていた時計をあげる。もう部品が無いので動かないけどね」と、孫にくれました。・・・すると、動き出したのです!!これには本当に驚きました。
最近は「昔、僕はバイクに乗って大きな荷物を乗せてお仕事してたよ。そして赤い車に乗ってたんだ」と娘に話したそうです。私が生まれる前、確かに父はバイクに乗っていたそうです。母が私を産気づいた時もこのバイクでお産婆さんを迎えに行ったとか。その後ワイン色の車に乗っていました!私も覚えています。
断定できませんけど、そういう目で見ていると孫を見る目が変わってきます。子育ても自ずと変わります。性格がよく似ているので、変なこだわりが強く出るときは「もうそろそろその執着はなくした方がいいよ」とか、お友だちに意地悪するときは「本当は優しいんだよね」・・・なんて思ってしまいます。4歳の孫というより長い歴史を持った人として接しているのです。
でも、本来はみんなそうなのかもしれません。何もわからない小さい子どもではなく何度も何度も学びに来ている同志なのかも。そしてお互いに育ちあうために出会っているのでしょう。
孫の背中を見ながら「ようこそ!又一緒に人生のダンスを踊ろうね。大好きなお父さん!」と、ひとり胸を熱くしています。
母は高齢ながらも1人で暮らしています。毎日父に話しかけているそうです。とても仲が良かった2人です。もしかして母が亡くなって次の生があるならば父と出会う予定かも・・・孫がガールフレンドを連れてきたら母だった、なあーんて!想像しただけで楽しくなります。
(挿絵:あい∞ん)
5件のコメント
【シャンティ・フーラからの注意】
コメント欄への投稿は、シャンティ・フーラのスタッフが承認したものだけが掲載されておりますが、掲載・非掲載の判断は、投稿された情報の信頼性・妥当性をもとに行っているものではありません。
かんなまま様、あい∞ん様
あい∞んさんのイラスを見ながら、かんなままさんの文章を読んでいたら、胸がいっぱいになりました。
正に、言葉を越えた何かを感じ取りました。
愛に溢れた記事とイラストありがとうございました。
義母の祥月命日だったこともあり、生きることに思いをはせました。
胸があつくなりました。
永い永ーい宇宙の歴史のなかで、今、私も家族も友人も出会ったみんな、学び合うために生きているんだなあ…。そんなことを改めて感じました。
疲れて不機嫌な子供たちに手を焼いて、義母の不機嫌にうんざりしながらも、そんな視点で出来事を見つめれば、暖かい気持ちになりますね。
それにしても、すごいエピソードですね!!
あい∞んさんのイラストにはキュンときました。
今回は、かんなままさんが育ったご家庭の雰囲気も、暖かく伝わってきました。かんなままさんのしなやかな母性と強靭さ、人を惹き付ける魅力的なお人柄は、仲の良い、愛情深いご両親によって培われたものなのでしょうね。
エヌ様
一部、個人的のプライバシーにかかわる部分を削除して公開させていただきました。
今後共宜しくお願い申し上げます。(シャンティ・フーラ)
おじいちゃんは、とてもダンディな方だったのですね。
今回の記事を読んで、とても嬉しくなりました。
実は、ちょうど今日で2歳になった妹の息子も、私たちの父が亡くなって2年くらいで生まれました。
知人が「それは生まれ変わりだね、死後1~3年の間に生まれてくる子は生まれ変わりよ。」と言いました。
みんなあまり信じてないようですが、私はそうかも、と思っています。
明るくて陽気だった父と同じように、甥も人が大好き。
赤ちゃんらしくない几帳面さ。
また車の座席に甥と姪と並んで座っているときに、身を乗り出して覗き込むように姪をいつも見ている姿は、父が、まだ子供だった妹のことを見つめていた姿にそっくりです。
お父さん、また私たちの所に生まれてきてくれたのね!
甥がようやく歩き出したころ外を歩くのが嬉しくてたまらないようで、ずっと笑いながら歩いていましたが、父は晩年長い間半身麻痺だったので、きっと元気よく歩けるのが嬉しくてたまらないんだわ、と思っていました。
かんなままさんのお孫さんのように、もしかしたら甥も、もっと色濃く特徴が出てくるかもしれませんね。楽しみです。
みなさま、
温かいコメントありがとうございます!
励まされて、何だか孫の後日談を書きたくなりました。
最近、孫が泣きじゃくって電話をかけてきました。「ばあばに聞きたいことがある」というのです。
「どうしたの?」と聞くと「ボクはじいじ(私の父)に会ったことない」「じいじがわからない」と泣くのです。
「会いたいの?」と聞くと「うん・・わあ~ん!!」と、大泣きです。
私は笑いながら「大丈夫だよ、いつもA君の傍で見守ってくれているよ。お目目には見えないけどちゃんといるよ」と話したら落ち着きました。
電話を切った後、過去と今に遊んでいた時期が過ぎ、A君がA君として生きる人生が始まったなと感じました。
孫は相変わらず夢中で恐竜を描いています。
私はその背中に「ありがとう、お父さん。よろしくね、A君」とささやきました。
さて、本当に父が孫なのか・・・実は名前を書いたカードを重ねて検知してみました。自信はありませんが深く呼吸ができます?!
どちらにしても・・・今を生きるA君の幸せを願っています。
そして、次回はそのA君の際立った個性に迫ります!(笑)