雪が深々と降ってきました。いつの間にか庭も真っ白です。
「赤ちゃんが生まれる!」と感じて部屋に暖房を入れました。
朝方の5時ごろ電話があり「陣痛が始まったので今から向かいます」とのこと。やっぱり!いよいよ友人のお産が始まります。
助産師さんと友人家族がそろい、あわただしく出産準備が始まりました。水中出産のために用意していた浴槽にお湯をはり、部屋の照明を暗くしました。温かい部屋でお父さんと3人のお姉ちゃん、私と子ども達が見守り、小児科医の夫が待機する中、友人は大きなおなかを抱きながら浴槽に入りました。
陣痛がおさまっている時はおしゃべりをしたり赤ちゃんに歌を歌ったりして待ちました。だんだん陣痛が強くなりました。不思議な事に皆が同じ呼吸になり、助産師さんの誘導の中、赤ちゃんが見事に回転して生まれてきました。
すぐにお母さんの胸に抱かれた赤ちゃん!赤ちゃんは少し泣いただけで落ち着いています。感動が部屋中に広がりました。ちょうど朝日が部屋に差し込み、窓の外は真っ白な銀世界でまぶしく輝いていました。ひときわ静かで神聖な朝でした。
臍帯の拍動が止まり、お父さんがハサミで切りました。後産の間、私が赤ちゃんの産着を着せる役目をいただいていました。「ようこそ、赤ちゃん!おめでとう!」と、心から歓迎とお祝いの気持ちを伝えました。
3人のお姉ちゃん達も1人ずつ抱かせてもらいました。私の子ども達も学校をお休みして素敵な体験をさせてもらいました。みんな感動で無口です。
それからお母さんの懐に抱かれて安心したようにおっぱいをくわえたまま眠った赤ちゃん。張りつめた緊張と安堵、歓喜と祝福、雪景色と神聖な朝日・・・本当に言葉では言い表せないほど美しい出産でした。
それから1週間。友人家族はこの部屋でゆっくりすごして家に帰っていきました。
これはまさに、私がしたくて叶わなかったお産でした。
私は第1子を妊娠した時、まだあまり知られていなかったラマーズ法を学び出産に備えていました。でも直前で急展開、無念の帝王切開になりました。その後カナダに行き、訴訟の国でお産したことでどの病院でも自然分娩を拒否され、結果的に4人とも帝王切開になりました。だから4人目の時は早産の危機で子宮破裂しそうになり「大丈夫、大丈夫」とおなかの赤ちゃんに祈り続けたのです。
このことは全て必要な試練だったのだろうと収めていた時に、友人が「4人目の子を是非水中出産したい。赤ちゃんの家を貸してもらえないか」と相談に来たのです。
何かあっても小児科だから安心だし、経験豊かな助産師さんもいるという事でした。夫と相談して引き受けることにしました。私の「自然分娩したかった!」という夢がこんな形で実現するなんて思ってもいませんでした。
まるで私がお産するような気持ちでその時を待ちました。
・・・やがて、雪が降り始め、赤ちゃんが生まれるのを感じました。
今、その子は素敵な高校生になっています。
その子のお姉ちゃんはそのお産を体験して助産師の道を選びました。
うちの子ども達もお産はこんなに祝福されて神聖なものなのだというイメージができたのではないかと思います。現に娘も素晴らしいお産をすることができました。
これは神様が私に下さったとても素晴らしいプレゼントだと思っています。
(挿絵:あい∞ん)
3件のコメント
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感動しました!!!
これから出産される方々も、かんなままさまのところで、出産されたらいいのではないかな~~~\(^^)/と感じました!
まいまいさんの書かれているように本当に感動しました!
赤ちゃんに会えるあの瞬間を思い出しました。
私は普通の産院でのお産でしたがこれからは自然な自宅出産が増えていくのでしょうね。
あい~んさんの絵から幸せ感があふれていてキラキラ・・・きれいです。
かんなまま様
かんなままさんのご友人はとても幸せな方ですね。
助産師さん、ままさんの御主人、ご友人家族、みなさんが揃って出産に立ち会われ、最高の出産を経験されたのですから。
知り合いの娘さんがこの春助産師の道を歩み始められたことを聞き及び、素晴らしいお仕事なのだと改めて思いました。
あい○○さんのイラストのママの涙、宝石のようですね。