どうか今回のお話は、食事の前後には読まないようにお願いします。
ここで、これまで誰にも話さなかった、重要な秘密を公表します。
私がまだ、うら若き乙女であったある日、トイレに座っておりました。当然大を期待して座っていたのですが、出たはずなのにまだ残っている感じがあるのです。ふと下を見下ろすと、期待していたものとはまったく違うものが出ているのを見て、しゃがんだまま、のけ反りそうになりました。
ダークな色を期待していたのですが、なんときれいな白いものが出ているのです。それもヒモみたいに長~いものが。ギョーッ!!!これはもしかして「サナダムシ」という代物ではないか!なんで私から出るの?! そう心の中で叫びながら、トイペでつまんで引き出そうとしたとたん、プツン!と切れてしまいました。何とも、あと味の悪いエンディングでした。
サナダ君は、育ちすぎると出口からはみ出てくるそうです。でも引っ張られたことがショックだったのでしょうか。それ以来、サナダ君はすっかり怖がって外に出てこなくなりました。
最近、「寄生虫なき病」(原題:不在による病)という面白い本に出会いました。表紙は、アメリカ鉤虫がドヤ顔している写真で、かなりのインパクトがあります。
著者は科学ジャーナリストで、重症のアレルギー疾患をもっています。彼はアレルギー性のつるっぱげになって悩んでいました。しかし寄生虫がアレルギーに効果があることを知り、アメリカ鉤虫を求めて、わざわざメキシコに出かけるところから話は始まります。
この本を読むと、寄生虫の撲滅後、いかに多くの難病が出現したかということがわかります。人類が対抗してきた寄生虫が消えたせいで、免疫系がひまになった。それで、花粉やソバなど、無害なものにまで攻撃を仕掛けだすとアレルギー疾患。自分の細胞を攻撃すれば、自己免疫疾患。というように、やっかいな病気を引き起こすようになったのです。
現在でも、未開な地域に住んでいて寄生虫に感染している人には、アレルギー疾患や自己免疫疾患がほとんど見られないこと。かつてマラリヤがはやっていた地域から、マラリアが撲滅された後に、多発性硬化症という難病が増えてきたことなど、興味深い事実が書かれています。
かみ砕いて言うとこういうことなのでしょうね。家電もなく不便だった時代、夫婦は互いに忙しく働き、夫婦げんかのひまもありませんでした。ところが何もかもが便利になり、てきとうに金持ちになってくると、主人はおんなに走り、妻は欲求不満で更年期障害になったりして、夫婦げんかが絶えません。これがアレルギーのメカニズムです。わかりやすいでしょう?
冒頭にお話した通り、私は駆虫剤を飲まされた時代の人間にもかかわらず、運が良ければまだ、生き残ったサナダ君と共存しているはずです。ありがたいことです。
私に花粉症がほとんどないのは、君のおかげだよ、サナダクン!
(挿絵:あい∞ん)
○ 次回は5月14日(木)いよいよ最終回!!『私という超個体』の予定です。
1件のコメント
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サナダくんって ピョンピョン先生の知り合いか印象に残る患者さん?と思いましたが
そーですか 寄生虫さんの事でしたか 昔藤田紘一郎さん?だつたと思いますが
サナダ虫を苦労して育てた(お腹の中で)が 酒の飲み過ぎで死なせたとかの話を
思い出しました 確か 自己免疫疾患 の話だつたと思います しかし引っ張ったら
千切れて 引っ込んだ はリアルですねー 私にはその様な体験は有りませんが
自己免疫疾患に罹患したことは無いので 居るのかな?