【第23回】 ぴょんぴょん式 ねじれの医学 ~サナダ君とわたし ~

どうか今回のお話は、食事の前後には読まないようにお願いします。

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ここで、これまで誰にも話さなかった、重要な秘密を公表します。
私がまだ、うら若き乙女であったある日、トイレに座っておりました。当然大を期待して座っていたのですが、出たはずなのにまだ残っている感じがあるのです。ふと下を見下ろすと、期待していたものとはまったく違うものが出ているのを見て、しゃがんだまま、のけ反りそうになりました。

ダークな色を期待していたのですが、なんときれいな白いものが出ているのです。それもヒモみたいに長~いものが。ギョーッ!!!これはもしかして「サナダムシ」という代物ではないか!なんで私から出るの?! そう心の中で叫びながら、トイペでつまんで引き出そうとしたとたん、プツン!と切れてしまいました。何とも、あと味の悪いエンディングでした。

サナダ君は、育ちすぎると出口からはみ出てくるそうです。でも引っ張られたことがショックだったのでしょうか。それ以来、サナダ君はすっかり怖がって外に出てこなくなりました。

 画像出典:文藝春秋


画像出典:文藝春秋

最近、「寄生虫なき病」(原題:不在による病)という面白い本に出会いました。表紙は、アメリカ鉤虫がドヤ顔している写真で、かなりのインパクトがあります。

23_02 著者は科学ジャーナリストで、重症のアレルギー疾患をもっています。彼はアレルギー性のつるっぱげになって悩んでいました。しかし寄生虫がアレルギーに効果があることを知り、アメリカ鉤虫を求めて、わざわざメキシコに出かけるところから話は始まります。

この本を読むと、寄生虫の撲滅後、いかに多くの難病が出現したかということがわかります。人類が対抗してきた寄生虫が消えたせいで、免疫系がひまになった。それで、花粉やソバなど、無害なものにまで攻撃を仕掛けだすとアレルギー疾患。自分の細胞を攻撃すれば、自己免疫疾患。というように、やっかいな病気を引き起こすようになったのです。

現在でも、未開な地域に住んでいて寄生虫に感染している人には、アレルギー疾患や自己免疫疾患がほとんど見られないこと。かつてマラリヤがはやっていた地域から、マラリアが撲滅された後に、多発性硬化症という難病が増えてきたことなど、興味深い事実が書かれています。

かみ砕いて言うとこういうことなのでしょうね。家電もなく不便だった時代、夫婦は互いに忙しく働き、夫婦げんかのひまもありませんでした。ところが何もかもが便利になり、てきとうに金持ちになってくると、主人はおんなに走り、妻は欲求不満で更年期障害になったりして、夫婦げんかが絶えません。これがアレルギーのメカニズムです。わかりやすいでしょう?

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冒頭にお話した通り、私は駆虫剤を飲まされた時代の人間にもかかわらず、運が良ければまだ、生き残ったサナダ君と共存しているはずです。ありがたいことです。

私に花粉症がほとんどないのは、君のおかげだよ、サナダクン!

(挿絵:あい∞ん)

○ 次回は5月14日(木)いよいよ最終回!!『私という超個体』の予定です。

Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

1件のコメント

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  1. オオトラ on

    サナダくんって ピョンピョン先生の知り合いか印象に残る患者さん?と思いましたが
    そーですか 寄生虫さんの事でしたか 昔藤田紘一郎さん?だつたと思いますが
    サナダ虫を苦労して育てた(お腹の中で)が 酒の飲み過ぎで死なせたとかの話を
    思い出しました 確か 自己免疫疾患 の話だつたと思います しかし引っ張ったら
    千切れて 引っ込んだ はリアルですねー 私にはその様な体験は有りませんが
    自己免疫疾患に罹患したことは無いので 居るのかな?

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