もうびっくりしました。
「ナディチャートができて効果を試したいと思っていたところです。普通の家だと家族の要望や制限があるからやりにくいけれど、そのような建物なら好都合です。」との事でした。
こちらとしては願ってもないことで、嬉しさと同時に気が引き締まったのを覚えています。それからは「絶対に先生の設計通りに作る!」というのが私の命題になりました。
問題は建設業者です。でも、幸いなことに作るいきさつをお話しして賛同してくれた業者さんでした。「そういう家なら自分も作りたいと思っていた。解体して出たキッチンもある。間伐材もある。壁は珪藻土より効果があるという某メーカーのタイルのモニターになって使わせてもらおう」などの提案をしてくれていたのです。
そして、先生とのやり取りが始まりました。
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前略
今回はログハウスの耐久性に関する注意点を指摘したいと思います。
ログハウスは高温多湿の日本の風土に合わないため様々な工夫が必要となります。ログは、木を縦ではなく横に使うので、木の繊維の方向に逆らうため、水切れが悪くなります。
そこで少しでも水切れをよくするために、少なくとも雨の当たる側の部分だけでもカンナがけをするべきなのですが、現実には業者は電動カンナだけで済ましてしまいます。電動カンナは木に紙ヤスリをかけるようなものなので、木の表面に細かい繊維状の物が残り、これが水切りを悪くします。
よりカビが生えやすくなるのです。しかし現代の建築家の実情を考えると手抜きだとばかり非難できない部分があるのです。
大工はまず、カンナの刃をとぐところからしなければならないわけですが、忙しい現代では、この時間が取れない。
そこで仕方なく、替え刃式カンナを使うのだが、1本の柱を仕上げようとすると、替え刃は1枚800円するので、大工さんの時間給すら出ないわけです。替え刃の代金は大工持ちなので、生活のために電動カンナを使わざるを得ないわけです。
(今の若い大工は、電動カンナが良くないということすら分かっていない)
よい仕事をしたいと思っている大工ほど、このことはつらいことだと思うのです。現代は、万事がこの調子なので、家の寿命は20年から30年というとてもひどい物になっています。
本当はこういう部分こそ、時間とお金(手間賃)をかけるべきだと思うのですが、安ければ良い。早ければ良いという現代の感覚には合わないのかも知れません。
しかし、少しの手間を惜しんで20年しかもたないボロ建築に何千万円もかける感覚は、私には理解し難いものがあります。おそらくこれは、人々が建築の実情を知らないためだと思うのです。私は誠実な仕事をするというのは、こういう部分で手を抜かないと言うことだと思うのです。
たとえば、宮大工はとてもよい仕事をするのですが、彼らは柱の上下の方向までもきちんと揃えています。すなわち、柱の幹の部分であった方をきちんと下にして使うのです。それだけでなく、南側を向いていた方をきちんと南側に揃えて使うのです。
こんなことは、どうでもよいように思われるでしょうが、実は、柱を逆さにして使うと、本当に気の流れが悪くなり、健康によくないのです。
宮大工はこういったことを現代に受け継いでいると思うのですが、彼らがもはや存続出来ないほどに現代の建築は混乱していると言えるかも知れません。
なお、小さな家は在来工法です。はじめ在来工法で業者に頼んでいたのでログハウスに替えることができませんでした。竹下先生にお聞きしたところ、このままで良いとのことでした。
第3話へ続きます!
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