第1話からの続きです。
ケニア三日目の早朝、首都ナイロビから車で8時間程離れた所にあるボランティアワーク地、キスムへと車で向かいました。車中、沢山の素晴らしい景色に出会えました。どの景色もとにかく広大で、本当に目を奪われました。(後半の二枚は復路で撮ったものです)
途中、珍・出来事がありました。
あと30分もすれば、キスムに着くだろうという時のことです。突然、道路沿いに立っていたポリスから、車にストップがかけられました。そこは、警察署の目の前でした。わたしたちの車は、スピードオーバーで引っかかってしまったのです。実際に、スピードは尋常なく速かったので、捕まったのには一同納得していました。
ドライバーはポリスと何やら話をしているのですが、お互い笑いながらトークをしています。本当に不思議な光景でした。自分を捕えた警官と、まるで親友のようにトークをエンジョイする…こ、これが、アフリカンクオリティーなのかああああ!!!!と、私の胸は密かに感動で高鳴りました。
そしてドライバーは私たちに向かって満面の笑みで「Wait jast a moment(ちょっと待っててね)」というセリフを吐き、署へと消えていきました。
書類を書かされたり、罰金の支払を終えればすぐに戻って来るだろう、日本人メンバーの誰もがそう思っていました。しかし30分…1時間…、全く戻ってくる気配がありません。どうやらドライバーは、警察と交渉をしているようだと分りました。スピード違反したクセに、罰金は意地でも払いたくないんだと粘りに粘る姿、ここでもまた私はアフリカンクオリティーに魅せられました。
私たちはアフリカを、完全に甘く見ていました。アフリカでいうa moment、これは3時間のことでした。
予定時間より大分遅れて、ワーク地の村へ到着しました。
ここは桃源郷だ、と思いました。あまりの自然の美しさに、心から感動しました。
特に印象的に感じたのは、赤土とたくさんの巨石です。
そしてこの村は、ガス、水道、電気、コンクリートなどという、現代文明にとって欠かすことのできないインフラが全く整備されていない、超ド級の田舎でした。
更に驚いたことに、私たちが滞在した家は壁と床が土で固められて出来ており、木造ですらありませんでした。窓ガラスは、ありません。村のほとんどがこのような造りの家でした。
この狭い部屋に、夜は5人の男子が寝ました。隣の更に狭い部屋では4人の女子がぎゅうぎゅう詰めになっていました。上から掛かっているのは蚊帳で、マラリア等に罹らない為に寝る際に使います。
私は予防接種、予防薬、虫除けスプレーのどれも全く使いませんでしたが、ありがたいことに一度も体調を崩すことはありませんでした。昨年の夏、ラオスの田舎で嘔吐・下痢・高熱の三重苦で酷い目にあった思い出があるので、本当に本当に良かったです(笑)
下の写真は、昼寝をしてるとき誰かに撮られたものです。
この家は全員が外出する時と夜寝る時以外は常にドアが開いていたので、近所の子供達や動物たちは何のためらいもなく自由に出入りしてきました。もちろん金庫もないのでパスポートやお金の入ったバッグもそのまま置いていましたが、盗まれることはありませんでした。
こんな村で、私たちの2週間の生活は始まりました。
第3話へ続きます!
9件のコメント
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アフリカの壮大な大地、そしておおらかなアフリカンクオリティと、感動が伝わります!
牛くん、レポートをありがとう。
早速、備蓄させていただきます。
それにしてもあの蚊帳では、普通に蚊に刺されそうな気もしますが?
やはり蚊もアフリカンクオリティなのでしょうね。
>フィロソーマ さん
夜寝るときにはもっとちゃんと張るのですが、やはりそれでも刺されることはありましたね。特に蚊が蚊帳に侵入してきたら、蚊を蚊帳に閉じ込めたことになってしまうので(笑)、余計刺されてしまいます。
しかも蚊の音がうるさくてなかなか寝れないのに、電気がないから暗くて追い出せないという…
マラリア等にかかることはなく、ただ痒いだけなので大した問題ではありませんでした。
牛さん、はじめまして!楽しく読ませて頂いてますよ。
若いのに落ち着いた雰囲気、そしてキラキラした感性が伝わります。
報道などではアフリカは、貧困からくる治安の悪さでよく知られています。ナイロビもそうですよね。
でも、美しい大地とそこに住む美しい人々をイメージして幼い頃から憧れてきました。
実際に行く夢は叶いませんでしたが、牛さんの感性を通してアフリカの様々な面を知るのを楽しみにしています。
”a moment”の感覚に違いに驚きました!3時間ですか!!
アフリカは赤土なのですね。
日本では見れない、広大な風景の写真をありがとうございます。
蚊帳は必須だと思いますが暑くなかったですか?
私が住んでいる地域の方はムカデ除けに蚊帳を使っておられます。
私は蚊帳は持っていないので、ひたすら刺さないでと祈って過ごしております。笑
部屋の中にトリさんが入ってきている~!
若いときでないと、こんなワイルドで貴重な体験はできませんよね。
雄大な自然の中で、かつての住人たちはのんびりと豊かな生活を送っていたことでしょう。
アフリカの人々や動物たちに、その豊かさを早く返してあげたいと願います。
旅先のハプニングって、結構、面白いですよね。だって、事に遭遇した時、ついつい自分の感覚で物事を捉えてしまいがちですから。
あの白い束ねたネットを見て、私は最初、「何だろう・・・」と思いました。とっさに閃いたのが、虫よけだと思ったんです。街灯なんかの明るさに引きずられて、虫がたくさん集まってきますでしょう? それを除ける為のネットだと思ったんです。でも、それにしては束ねるほど長い。「う~~~~~~~ん、なんか変だなぁ~~~」と思って、更に先を読み進んでいったら、なんと、蚊帳だと分かり、「そういう事だったのかぁ~~~~~」と思い、思わず自分で自分を笑ってしまいました。
そもそも蚊帳って、お部屋の四方の天井から吊るすものかと思っていました。・・・と言っても、電気器具を守るより、人間を守る方が先ですよね。うふふふふふ・・・。楽しかったです。素敵なレポートをありがとうございました。明日も楽しみに待っています。
「あっ!」と思いました。あれ、電気器具ではなさそうですね。今、気づきました!
>なつみ さん
はじめまして、コメントありがとうございます。ナイロビは世界で2番目に危険な都市だと聞きます。そうかと思えば美しい大地、人々、動物達の存在があり、様々な面があるんだということは確かに感じました。私もなつみさんと同じく、昔からアフリカの素晴らしい自然や人々に憧れがあったので、今回行くことが出来て非常に良かったと思っています。
>月の子
そうなんです、予想はしてましたが時間間隔が全然違いました。ボランティアワークも、予定より1~2時間遅く始まるのがスタンダードでしたからね~。それで終わる時間はキッチリ守られるという(笑)
蚊帳のせいで暑い、ということはなかったです。毛布は全く掛けずに寝ました。
>ぴょんぴょん さん
トリさん&猫さんは部屋の中が大好きでした。個人的にはウェルカムだったのですが、毎回追い出されてちと可哀想でしたね~。しかし彼らは、そんな追い出しを物ともせずに突入し続けてくるので面白かったです。
そうですね、世界中の人々がのんびりと暮らせる世界がいいですね(^^)
>Michiyoさん
この村は電気が通ってないので、天井には電球がないのです(゚∀゚)
なので夕食の時間は、暗闇の中でロウソクの灯りがポツンと光っているだけでした。暗い中で黙々と食べる夕食は、なんとも独特な雰囲気でした。
牛君、すごい!!!
第一話の内容が余りにもショックだったので、この第二話でホッとしました。
それにしても、あれ本当に蚊帳なのと思ってしまいました。
蚊帳の中に閉じ込めた蚊と戦う?!
やはりアフリカには行けそうにありません。