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今回は梶山氏の解説文を参考にしながら、大乗が目指した悟りの内容を考察する。実は、大半の経典作者を始めマイトレーヤでさえこの悟りを得ていないが、ごく少数の悟得者が残した文章から悟りの内容を推論できる。これにより小乗と大乗の悟りの違いや大乗の教義と意図の全体像が明らかになる。
前回は、金剛般若経を受け継ぎ発展させた八千頌般若経を取り上げ、彼らが世界を幻影として見ていることを説明した。今回は、説一切有部や現代物理学の世界観と比較しながら、彼らが世界を幻影として見ることの意味を、より深く掘り下げて見ていく。
即非の論理を確立し、その後の仏教の思想に決定的な影響を与えたのが前回まで説明した金剛般若経。それを発展させたのが八千頌般若経で、これが分からないと中論や般若心経を全く理解できない。独特な言葉の使い方をするので読みにくいが、真意を汲み取って読んでいく。
前回は即非の論理をもとに仏教的な功徳と世界観を説明した。私(竹下氏)は大乗仏教をほとんど認めていないのだが、即非の論理は非常に優れたものと評価している。そこで今回は、少し違った視点からこの論理を見ていき、新たな価値づけを試みる。
今回は金剛般若経の2回目で、経典のエッセンスを見る。普通に読むと支離滅裂で何を言っているか分からないが、前回説明した仏教の言葉の使い方を理解すると、おぼろげながら言わんとするところが分かってくる。主に「永遠の平安の境地」と「功徳」の2つのテーマを解説する。
金剛般若経は大乗の方向を決定づけた重要な経典である。この経典では鈴木大拙が「即非の論理」と名付けた言い回しが多用されているが、私たちの普通の言語体系とは異なっているため、何を言っているか分からない。この西洋論理とまったく違う仏教論理を理解し、「全ては幻影である」という仏教の世界観をとらえる。
前回まで説一切有部の「有」の哲学を見てきたが、今回から、その反対の「空」の哲学を説く大乗仏教に入る。大乗の難しさは、言葉の意味の不明確さにあるので、まず今回は具体例とユーモアを頻繁に交えて「空」、「有」、「無」などの意味を明確にし、そして仏陀の沈黙についての私見を述べる。
大乗は「空」をいかに理解するかにかかっているが、説一切有部は正反対の「実体」を認める哲学を展開した。従って有部の思想を理解しておくことで、逆に「空」の意味が良く分かる。このような理由から前回、前々回は難しい有部の思想を説明したが、その甲斐もあり今回は非常に分かり易いと思う。
前回は説一切有部の五位七十五法を説明した。今回は、前回よりさらに難解な「刹那滅」や「永遠の本体」などを説明していき、有部の真意を探る。次回、全体を総括することで有部の思想の概略が理解できると思う。
大乗仏教の要である空の思想は、小乗の説一切有部の理論に対する批判から生まれた。従って、空の思想を理解するには説一切有部の教義を先に見ておく必要があり、今回から3回の講義をこれにあてる。
シャンティ・フーラ 映像配信
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