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- 時間
- 85分
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- 1.0 枚 500 円 ( 税込 550 円 )
概要
前回まで如来蔵思想を説明した。今回はその発展形であり日本で花開いた最大の思想、本覚思想を紹介する。「日本仏教史(末木文美士著)」から文章を拾い、本覚思想発展の経緯や通常の解釈を見ていくと同時に、「成仏」などの言葉を明確に定義した上での私(以下竹下氏)独自の解釈も説明していく。
目次
1.謡曲「芭蕉」に見る本覚思想 (00:00:00)
金春禅竹(こんぱるぜんちく)の作と言われる謡曲「芭蕉」を取り上げ、本覚思想の重要部分である草木成仏の思想とはどのようなものかを見ていく。また、本覚思想の問題点について説明する。
2.ありのままの世界が仏の世界 (00:15:01)
中国の草木成仏論の論拠の一つを要約すると「凡夫には、この世は迷いの世界だが、完全に悟った人には、このありのままの世界が仏の世界」ということである。ここを理解するために、見る角度が変われば全く異なる見え方がするような様々な実例を挙げる。そして「人工と自然」をキーワードにして、「ありのままの自然が仏の世界」について独自の解釈を試みる。
3.私の本覚思想とは (00:43:40)
「成仏」の語を解脱の意味にとると動植物は成仏しないことになる。そこで草木成仏・本覚思想が成立するように、サーンキヤの展開図を用いて「成仏・悟り」の明確な定義を与える。
4.地球を破壊する人間の欲 (00:53:21)
前章において指摘した「人間だけが自然から離反している」という視点から、原子力技術・兵器開発の動機や危険性について語る。
5.二つの生き方 (01:10:05)
私が学者の方へ是非言いたいことは、言葉を明確に定義してから議論をして頂きたいということ。そうでないと議論は支離滅裂になる。しかし本当の理解なしに明確な定義はできない。分からないときは素直に分からないと言った方が良い。ここには生き方についての大きな問題が潜んでいる。私の講義は専門家の方に聴いてほしいと思っている。
終わり(01:25:03)
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参考文献
- 「日本仏教史 思想史としてのアプローチ」末木文美士著、新潮文庫
- 『「涅槃経」を読む ブッダ臨終の説法』田上太秀著、講談社学術文庫
4件のコメント
人工の概念が自然の概念に包含される日が早く来るといいですね。
中身の濃い講話でした。
現代の私たちと自然についてのすばらしいメッセージが盛り込まれています。
欲と自然破壊の関係。
子供たちにその欲を植えつける親や教師たち。
そのほか、人はどう生きるべきかの良い指針を提供してくださっています。
自然から孤立した人間が、万物とつながることができる(=成仏)とする本覚思想。
自然と共生した未来にするためには、この意識の構造の理解は役立ちますね。
欲の立ち位置を認識することで、欲の変化に過ぎないまがいものを相手にせず、正しいものの考え方に立ち返ることができるように。
本講話を紹介して下さった広島の匿名ご夫妻様、ありがとうございました。
素晴らしい思想なのに、本来の仏論と辻褄が合わないため ちゃんと理解されなく、異端視されてしまって残念です。