試聴映像
- 1. テーマ:ストア派の概要とプラトン以前の哲学
- 2. 万物の根源(アルケー)が何であるか
- 3. アルケーはプシューケーと未分離一体
- 4. 共感できるストア派の宇宙観
- 5. 神智学を本当に理解するために…
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概要
この宗教学講座では、まず馴染み深い旧約聖書、新約聖書から入った。これらは当時流行っていた密教、ミトラ教というギリシャの哲学が大きく影響していたことがわかった。そこでプラトン、アリストテレスまで戻り、前回まで講義した中で、彼らはミトラ教を基本にして自分の宗教、哲学を構築したことがわかった。今回は更に一番最初の部分の自然哲学者と言われるタレスの辺りまで遡り、そこから原子論、そしてミトラ教の哲学化という意味合いで非常に有名なストア派の哲学をこれから数回解説する。
目次
1.ストア派という学派について (00:00:00)
ストア派というのは、非常に実践を重んじた学派である。資料がほとんどなく断片しか残っていないため、有用な本もあまりなく困る分野である。断片を頼りにストア派の体系を論じているものもあるが、ほとんど本質を捉えているとは言えない。それは論じている人々が、ストア派が明らかにミトラ教のズルワーン主義を母体にして哲学化しているのに、ミトラ教を理解せずにストア派だけの理解に終っているからだと言える。
2.ギリシャの哲学者の根源についての概念 (00:08:05)
ギリシャの哲学者たちは根源アルケーを、水、空気、火、四元素、数、原子といろいろに考えた。この中の火に関しては、拝火教であるゾロアスター教と繋がるが、これを神智学は受け継いでいる。そしてパルメニデスの言説の理解のためにサーンキヤ哲学の概念を使って考察してみると、概念的にではあるが、アルケーは自性プラクリティに相当することがわかる。
3.ゼノンの逆説 (00:18:46)
ゼノンはパルメニデスの弟子であるので、存在の不動ということを説き、運動と生成の世界は虚構であるとした。「アキレスと亀」のパラドックスは、「そもそも時間や空間や運動をどのように考えるべきか」という問いかけの1つだと考える。具体的に身近な例をあげなら、ゼノンの本質的で面白い論理を読み解き、独自の解説を加える。
4.原子論 (00:45:07)
原子論は、テクノロジーによってコントロール・制御出来る技術を基にしてこの世界を説明している現代科学の世界観とまさに同じであり、そこに善悪、正義、不正義などは存在しない。完全な充実体だとする原子の成り立ちはクォークの理論で簡単に覆るものである。こうした思想は、物であるから善も悪もないという堕落した方向に進んでしまう。
5.古代原子論の「物」的自然観とプラトンの自然観 (01:05:46)
古代原子論の「物」的自然観とは、数値化できる分野だけの、宇宙のほんの一部の記述でしかないと言える。それは抽象的で作為的な見方で、善悪、価値という側面、或は生命とか魂、心という側面が完全に抜けてしまったものである。それに対しプラトンは、原子論と同様に数学的記述によって説明をしながらも、その後に決定的に違った概念を導き出す。
6.ストア派の宇宙観、宇宙論、存在の階層 (01:28:07)
ストア派の自然観は自然イコール神である。またロゴスと質料からなるとする二元論を説くがその一方は女性原理の質料、もう一方は男性原理の質料であり、両方ともが質料という非常に面白い哲学である。そして宇宙は1つのもので万有は繋がっているとし、それら万有を宇宙の細胞のように捉えていた。さらにこの宇宙論を読み解いていくと、後にポイマンドレースに繋がって行く部分や、後に神智学が借りてきているとわかる部分がある。
終わり(01:42:45)
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11件のコメント
「アキレスと亀」のお話が、こういうことを伝えてくれていたなんて、、驚きです。。
仕事のやり方に対する指南は、必見です。
外にばっかり目や意識を持っていくことによって、自分の内側をないがしろにしてしまい結果どうなるか。。うーん。。
「霊気に満ちた森」と共に暮らし、人間が誤った行いをすれば森から霊気がなくなり、孤独を感じ反省する。そしてまた霊気が戻る。なるほど昔の人々はこのように暮らしていたのですね、素晴らしいと思います。そしてどこか懐かしい気がします。それで「もののけ姫」の森は美しいのですね。
う~ん、なるほどなぁ~!!!
管理、管理ですね。
せめて子供たちに好きなものから食べさせてあげて~。
内の自然を取り戻しましょう。
アキレスのパラドックスの、反証をひとつ考えました。
①歩くのが速い者と遅い者が同じ道を歩くと、有限な時間の内に速い者は遅い者を追い越す。
②アキレスは有限な時間と無限の時間をすり替えている。
③従ってアキレスのパラドックスは偽の命題である。Q.E.D
これでどうだあぁぁぁアキレス! 失礼しました。
今 夫源病というのが流行っていますが、私も夫からの支配に悩んでおりまして、それは世界が
管理社会ということの産物なのだとわかりましたら、夫への嫌悪感がすこし薄まりました。
ありがとうございます。
話の展開が凄すぎます。現代の科学者が「スゴク閉じられた世界で物事を考えている」という私の日常的社会(主に会社)では、とても話せないような事が非常にわかりやすく説明されました。(はやく、このような話が普通にできるようにしていきたいで〜す)
アキレスと亀や境界の話は、漫才などのネタになりそうな話でした。
また、子供の頃から、時間について何か違和感をもっていたのですが、今回の講義で違和感の緒が見つかりそうな気がしました。
現代は「測れるないもの」まで無理に作為的に測り、数値化してしまう傾向はやはり異常というか偏った見方なのだと思いました。
内的世界の破壊が、外的世界の破壊を引き起こしているのはまさにその通りと思いました。
自分の内的世界を返してほしいけれど、今まだそれを持っている人たちを助けることが必須ですね。
精霊たちが守る、霊気に満ちた自然が消えた・・森からエルフたちが去っていく、指輪物語の場面が思い出されました。
面白かったです!
先週、クリスチャンの方にキリスト教えは他の宗教の寄せ集めでは?と聞くと、いや、その反対で他の宗教がすべてキリスト教からの影響を受けている。との答が返ってきたので何も言えなくなってしまいました。
ですので、もう一度、映像配信を再度、確認して私からもなにか言えるようになれば・・・と思ったりしました。
量子力学のカメラ(があるとして、)で撮ると アキレスも亀も ポワ〜ンと消えてしまう。というお話には笑ってしまいました。
完全に一致しないと聞くと、なぜかホッとします。
気づいたら追い越していた・・・なんて面白いです。
プラトン哲学における善のイデアをアルケー=自性(プラクリティ)と解釈したのが面白いと思いました。こう解釈すると、プラトン哲学は非常に包括的なものになりますね。
いつもありがとうございます。
映画「もののけ姫」の中の森を見たとき、あまりに美しく言葉にならないものを感じましたが、
とても大切なものだったと再び思い起こさせていただきました。
外側の世界が破壊のない、精霊の守りで満たされた場所としてあるように、内なる自然に従って
生きようと思います。
ありとキリギリスの、違った、カメとアキレスの話が、分からない。ので、必死に聞きました。
東洋医学セミナーって、もしかしたら、7から始まっているのかしらと、感じる部分がありました。好きな事から始めるのですね。関心を持ったところから始めるのですね。イヤなものは結局は・・万歳!また、新しいことを発見するのには、論理は使えないですね、特に生命・・の部分は、必見です。笑えなかった所は、紀元前435年ごろの「原子論」が、今の科学の授業に使われている!おいおい!紀元前だよ、進んでないのね、っと思ってると、進んでないのではなくて、都合よく止めてしまってたんだ。と感じました。話が進むうちに、今朝の時事ブログのホメオパシーレメディーに、繋がっている?と、感じる部分もあります。途中、「ズルワーン」って、何か思い出せなかったのです。次は「ズルワーン」で詳しい内容の説明をして下さるとの事。思い出せないままだけど、心がはやります。