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概要
前回は、マヌ法典によってヴァルナ(カースト)制度の基礎が確立したことを見た。今回は、マヌ法典によって確立した、もう一つの重要な法・ダルマである四住期という人生の理想モデルを見ていく。
目次
1.四住期の概略 (00:00:00)
四住期とは、人生を四つの階梯(学生期・家住期・林住期・遊行期)に分け、これによって解脱へ到るとするヒンドゥーの理想的な生き方である。これを実践するのは至難の業であるが、ヒンドゥー社会に理想として定着した。
2.人生モデル作成の背景と動機 (00:10:54)
紀元前6世紀頃、祭儀によって死後天界へ行くことを望む伝統派と、苦行によって解脱を望む禁欲派の間には、相容れない価値観の対立があった。劣勢にあった伝統派は自らを上位に置き、さらに禁欲派を取り込む社会秩序の再編を急いだ。
3.マヌ法典の意図 (00:24:05)
四住期においては、一見、伝統派と禁欲派の価値観が調和しているように見えるが、家住期(家長期)が最重視されている事からも、マヌ法典作者らの本音がうかがえる。
4.伝統派(四住期)と苦行派の共存 (00:40:22)
正統派と苦行・禁欲派の価値観の対立を再考すると、この対立が勘違いに基づいてることがわかる。ここがわかれば、最初から2つの価値観は共存することもできたのだが、現代までこの勘違いは引き継がれている。
5.私(以下竹下氏を指す)の価値観 (00:50:40)
私の価値観では、悟りや解脱は大したものではなく、幸せな家庭を築いて人格・徳を磨いていけば自然に得られるものである。私の価値観・宗教観は、これまでの宗教とは全く異なり、今後の宗教シリーズの中でも繰り返し言及して、論理的な根拠も明らかにしていく。
終わり(01:01:10)
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参考文献
- 「マヌ法典 ― ヒンドゥー教世界の原型」渡瀬信之著、中公新書
- 「ヒンドゥー教―インドの聖と俗」森本達雄著、中公新書
3件のコメント
数年前に、四住期という教えがあることを知り、単純にいい教えだなという感想を持ってしまったことがあります。
背景を知ってがっかりしましたが、人間らしく生活していく中に
こそ解脱に繋がるという竹下先生のお話に希望が持てました。
結婚をして、子供を作って、ちゃんと子供を育てて、夫婦生活をちゃんと全うしなければ絶対に人格(徳目)は磨かれないとのこと。一般にはそうでしょうが、絶対にそうだとは言えません。結婚したくてもできない人は、一生人格が磨かれないのでしょうか?子供が欲しくてもできない人は、一生人格が磨かれないのでしょうか?そんなことはありません。自分の置かれた境遇で誠実に生きれば、結婚・子育ての有無に関わらず、人格は磨かれます。
竹下先生が、解脱をする事よりも、徳目を上げる事を重視する生き方を説いてます。
現世で生きて行く中で、苦難や悲しみ、失望と逃げ出したくなる事もあると思いますが、確かに天界が誰にとっても喜びに満ちた世界とは限らないですよね。
現世で、自らの不徳の為に苦しみを生み出しているなら、天界に行っても同じ事が起こるはず。
執拗に解脱にこだわり、それを目指す人達は、不幸の原因を環境(現世の在り方)に見出して、自分の内側には目を向けないのでしょうね。