試聴映像
映像を観る
- 時間
- 67分
- 価格
- 1.0 枚 500 円 ( 税込 550 円 )
概要
前回で中論の解説を終えた。今回から、その後の中観派の発達・発展を見ていく。年代順では、中観派が出現したあと唯識派が現れるが、後期中観派により唯識派を含めた仏教諸派が統合され、大乗仏教が完成する。従って、先に中観派の流れで大乗の完成した姿を見た後に、唯識派の思想を見ていく方が分かり易くなる。
目次
1.中観派発展の歴史(概略) (00:00:00)
中期中観派は唯識派と対決するために、ナーガルジュナの思想を論理的に説明しようとした。一方、シャーンタラクシタ(725~788年頃)に始まる後期中観派は、中観派と唯識派を統合して事実上大乗仏教を完成させた。
2.中期中観派の理解の程度 (00:06:45)
数学は論理だと誤解している人が多いのだが、数学創造の現場は全くの非論理であり、論理は最後の完成した姿である。このことを踏まえ、中期中観派がどの程度ナーガルジュナ・中論を理解していたのかを読み取っていく。また、私(以下竹下氏)が中論を読む態度・心構えについても語る。
3.中観派の分裂:背理法 (00:27:47)
ナーガルジュナの思想を論理で説明する二つの方法があったため、中観派は帰謬論証派と自立論証派の二つに分裂した。ここでは、帰謬論証派の論法、帰謬法=背理法とはどのようなものか、また、その問題点について解説する。
4.四句否定を越えようとする努力 (00:45:40)
ナーガルジュナの思想を、論理で説明しようとしたバヴィヤ(自立論証派)とブッダパーリタ(帰謬論証派)の努力は成功しなかった。この失敗の根本的な原因を解説する。その過程で、エックハルトの説教を例にとり、どんな文章も4通りに解釈できることを見る。
終わり(01:06:49)
※詳しい目次は、映像を購入してログインすると見ることができます。
参考文献
- 「中観と空Ⅰ」梶山雄一著作集 第四巻、春秋社
2件のコメント
どんな命題も4通りの解釈が可能だが、無意識レベルに到達していたマイスター・エックハルトはそれを理解していたとのこと。ベン図を用いた説明がわかりやすかったです。命題に少し言葉を補えば、4通りの解釈を区別できると思います。
大変興味深く、面白い内容の講義でした。
強烈な印象が残ったのは○大ハンバーグのCM、”はいりほー”。
背理法は、普通の人から見ても分かりにくく、疑問に感じると思います。
ご指摘の通り、今後、直観主義が数学の分野でもっと議論されるといいですね。
宗教や哲学は本当に難しいです。
言葉は多様で、命題や文章も4つに意味が分けられ、どの立場に立つかで真にも偽にもなる。
この微妙な違いを直観的に理解して、ちゃんと認識・区別できる人は明確に分かるとのこと。
哲学は、やるよりも解釈、説明することの方が難しいのではないかと思いました。
数学が論理だと誤解されているのは、テスト中心の学校教育が原因ですよね。
最終段階を経て、綺麗に論理化された完成品しか見ていないから誤解されるようですが
「魚の絵を書きなさい」と言われて「刺身」の絵を描く小学生の話を彷彿とさせました。
大変不自然なかたちで学んでいるなと感じます。
創造の現場を見せない教育は、人工知能が大きく発達する近未来では通用しないあり方ですね。