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まみむのメモ(54)〈食べられる野草図鑑〉(番外編)バラ類・バラ科植物(2)
ビワ(枇杷)
時期 |
枝葉は春・夏・秋と年に3度伸長する。花期は晩秋から冬(11 - 2月)。果実ははじめ緑色で、初夏(5 - 6月)に黄橙色に熟す。 |
場所・環境 |
中国南西部の原産で、日本には古代に持ち込まれたと考えられており、中国から渡来したといわれているが、野生も確認されている。原産説についてはいろいろ議論があるが、奈良時代に記述があり古くから日本にあったのは間違いない。暖地で果樹として栽培されている。主に本州の関東地方・東海地方の沿岸、石川県以西の日本海側、四国、九州北部に自然分布する。またインドなどにも広がり、ビワを用いた様々な療法が生まれた。中国系移民がハワイに持ち込んだ他、日本からイスラエルやブラジルに広まった。トルコやレバノン、ギリシャ、イタリア南部、スペイン、フランス南部、アフリカ北部などでも栽培される。 |
花 |
花芽は主に春枝の先端に着く。花芽は純正花芽。長さ10〜20cmの円錐花序に芳香のある小さな花が100個前後つく。
花は直径約1cm、花弁は白色で5個ある。花弁の内側の下部、萼、花序には褐色の綿毛が密生する。開花のときは花弁を外側に出す。葯(おしべの花粉がつまる袋状の部分)には毛が密に生えている。長期の花期に多量の花密を蓄え、甘い芳香を放って昆虫または小鳥が来るのを待ち、花粉の媒介が行なわれる。自家受粉が可能。
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葉 |
葉は互生し、葉柄は短い。葉の形は、長さ15 - 20センチメートル (cm) 前後の広倒披針形・長楕円形・狭倒卵形で先端は尖り、基部は次第に狭くなって葉柄に続いていく。葉身は厚くて堅く、表面が凸凹しており葉脈ごとに波打つ。葉縁には波状の鋸歯がある。葉の表面は初めは毛があるが、生育するにつれて毛はなくなり光沢が出てくる。葉の裏面は、淡褐色の綿毛に覆われたままである。
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実 |
果実は花托が肥厚した偽果で、直径3 - 4 cm、長さは6 cm前後の球形から卵形、広楕円形になり、全体が薄い産毛に覆われている。果実の中には大きな赤褐色の種子が数個あり、可食できる甘い果肉部分は全体の約3割ほどである。果実の頂部には内側に曲がった萼片が残る。種子は長さ2〜3cm。なかには白い肉質の子葉が入っている。
長崎県、千葉県、鹿児島県などの温暖な地域での栽培が多いものの若干の耐寒性を持ち、寒冷地でも冬期の最低気温-10℃程度であれば生育・結実可能である。
和名ビワの語源は、実の形が楽器の琵琶に似ているからとされる。
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根 |
土壌は砂壌土がよく、根は深く張る。 |
見分けるポイント |
若枝は、淡褐色の細かい毛に覆われている。 葉の裏面にも褐色の綿毛が密生する。樹皮は灰褐色。横じわがある。 |
間違えやすい毒草 |
なし |
生え方 |
常緑広葉樹の小高木で、高さは5〜10メートル (m) ほどになる。 |
学名 |
Eriobotrya japonica |
科名・属名 |
バラ科ビワ属 |
採取方法 |
びわの葉の焼酎漬けは、冬の一番寒い「大寒」の日に摘んだ葉が生命力旺盛で良いとされている。葉の表や裏の柔毛をタワシでよく洗い取り除いて、水洗いして生のまま用いる。新芽より古い葉の方が良いとされる。
その葉を、2~3センチ幅に切って適量の水を入れて煎じる。
ビワの葉の乾燥したものを、生薬名で枇杷葉(びわよう)という。
初夏に黄橙色に熟した実を採取し生食、他に。その種子を薬用にする。 |
あく抜き |
なし |
調理法 |
果実は甘く、生食や缶詰にされる。ゼリーなどの菓子、ジャム等にも加工される。茶色い種子は、生薬の杏仁の代用として利用される。葉は薬用として重宝されてきており、ビワ茶にしたり浴湯料にする。
果実酒は、 氷砂糖とホワイトリカーだけでも作れるが、ビワは酸味が非常に少ないので、果実のほかに皮むきレモンの輪切りを加えて漬け込むとよい。また、果肉を用いずにビワの種子のみを使ったビワ種酒は、杏仁に共通する芳香を持ち、通の間で好まれる。 |
他の利用方法 |
薬用、浴湯用。 |
効能 |
ビワの葉の成分は、ブドウ糖、ショ糖、果糖、マルトース、でんぷん、デキストリン、酒石鹸、クエン酸、リンゴ酸、アミグダリン(ビタミンB17)、タンニン酸、サポニンなど。これらの成分の中で特に有効なものは、アミグダリンをはじめとするクエン酸、リンゴ酸、酒石鹸などの有機酸。有機酸はタンパク質を消化するために欠かせない成分。ビワの種には、アミグダリンという成分が葉の1300倍も含まれていると言われている。
アミグダリンは、正常細胞にとっては有益に作用するが、ガン細胞の周囲ではベータグルコシターゼ酵素の作用で、青酸とベンツアルデヒドとに分解され、強烈な複合毒素となってガン細胞だけを選んで攻撃して撲滅させてしまう。それと、ベンツアルデヒドが無害物質に中和するとき、モルヒネ以上にガンの痛みを和らげる力も持っている。
アメリカの生化学博士エルネスト・T・クレブスⅡ世は、「ガンの原因はビタミンB17の欠乏症にある。腫瘍はその防御反応があらわれるためである」として、ビタミンB17を用いたガン治療を提唱した。また、アメリカのガン治療の専門医ジョン・A・リチャードソン博士は、「ビタミンB17はすべてのガンに100%近い制御率を示した」として、250例中、248例に効果があった臨床報告を発表、医学界だけでなく一般の人達にも大きな衝撃を与えた。
びわの種はガンだけでなくぜんそく、肝硬変、糖尿病など慢性の難病にも薬効がある。摂取の仕方としてはそのまま食すが、乾燥種だとかなり堅いので、保温ポットなどで一昼夜蒸して柔らかくしたものを1日に3~10個を目安に食べる。また、砕いて粉末にして飲んでもよい。
3000年の歴史をもち古来から伝承されている仏教医学のビワの葉療法とは、緑の濃い厚手のビワの葉の光沢のある面を焦げない程度に火にあぶり、2枚合わせて10回ほどすり合わせて、1枚ずつ両手にもって熱いうちに皮膚を直接なでる。腹部やへそ下を6~7分丹念にマッサージする。これは、ビワ葉には、アミグダリンとエムルシンとが含有されていて、葉の表面を火であぶることにより、相反応して微量の青酸が発生して、それが皮膚を通して吸収されて、甚大な効果を発揮すると考えられている。アミグダリン(ビタミンB17)は、体温と共に暖められると浸透して、細胞の中にまで入っていき、炎症やガン細胞も治してしまうほどの力を発揮する。
びわ種焼酎漬けの効用
■胃のもたれ・口内炎・歯痛・歯茎の腫れ・歯槽膿漏等
2~3倍に薄めて口に含みお口くちゅくちゅします。最後に飲み込んでOK。
■のどの痛み・せき等
2~3倍に薄めてちびりちびり飲む。お酒に強い人はストレートでもOK。
■内臓の痛みや炎症等
2~3倍に薄めてちびりちびり飲む。お酒に強い人はストレートでもOK。
■水虫・切傷・やけど等
原液ではかぶれることがありますので2~3倍に薄めてガーゼに浸し湿布。
■他慢性疾患
外からの手当(患部に直接塗る)と中からの手当(飲む)で多くの方々が実行しておられるようだ。
あせもには、葉を3枚ほどちぎり、水0.5リットルで煮出し、冷めた汁で患部を洗うようにする。
打撲、捻挫には、ビワの葉約30枚を水洗いして、1センチほどに刻み、水気をとってから広口びんに入れ、ホワイトリカーを葉が浸るまで注ぎ、2~3週間おいてからこれをこし、脱脂綿に浸して患部にあてる。
咳止め、暑気あたり、胃腸病には、葉2枚をちぎり、水0.4リットルを加えて煎じ、約2分の1の量まで煮詰め、適当なときに飲む。
ビワ酒:疲労回復や食欲増進には、果実1キログラムを水洗いして、よく水気を切ってから、ホワイトリカー1.8リットルにグラニュー糖150グラムを加えて漬け込み、3~6ヶ月後に、こしてビワ酒にします。ビワ酒は、1日3回20ミリリットル程度を飲む。
ビワの葉、花は、風邪にハチミツとビワ花を適量いれて15分くらい蒸してから食べると咳がとまり、咽が痛いときには、ビワ茶に塩を入れてうがいを。
皮膚炎、火傷、水虫、捻挫、アトピーには、ビワの葉を水半量に煮詰めて、薬用アルコールに溶かして、直接性皮膚炎に効果があるとされる。ビワの葉には殺菌力があり、この煎じ液を風呂にいれたビワ湯は現代病のアトピーに悩む人にも効果があるとされる。 |
その他 |
3千年も昔から、涅槃経(ねはんきょう)などインドの古い仏典の中に、びわは大変優れた薬効を持ち生きとし生けるものの万病を治す植物として登場する。びわの樹は「大薬王樹」、びわの葉は全ての憂いを取り除く「無優扇」と名付けられていたことからも、その癒しの力の絶大さが、すでにこの頃からあまねく知られていたことがうかがわれる。
日本でも古くは奈良時代、天平2年に光明皇后がつくられた「施薬院」、これは貧しい人々や病気の人々の救済施設だが、そこでびわの葉の療法がもう行われていた。
江戸時代には「枇杷葉湯(びわようとう)」として、庶民の夏の暑気払に盛んに飲まれていた。枇杷葉湯は、ビワの葉に肉桂(にっけい)、霍香(かっこう)、莪述(がじゅつ)、呉茱萸(ごしゅゆ)、木香(もっこう)、甘草(かんぞう)の7品目を同量混ぜ合わせて、煎じて作ったもの。てんびん棒を肩に「ご存知本家天満難波(てんまんなには)橋朝田枇杷葉湯(びわようとう)・・・」と売り歩くさまは、浪花や江戸の風物詩だったようだ。
江戸時代の川柳には「枇杷と桃 葉ばかりなながら 暑気払い」という川柳があり、ビワもモモも、葉には薬効があり、実には薬効が無いことを謡っている。 |
参照サイト・文献 |
松江の花図鑑
イー薬草・ドット・コム
ウィキペディア
サプリメントハウス
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