中国軍機レーダー照射事件の違法性 ~中国のJ15戦闘機によって日本のF15戦闘機が事実上「ロックオン」された

竹下雅敏氏からの情報です。
 12月6日に中国の空母「遼寧」がミサイル駆逐艦3隻と共に沖縄本島と宮古島の間を通過しました。「遼寧」からJ15戦闘機が飛び立ったため、対領空侵犯措置として航空自衛隊のF15戦闘機を緊急発進させました。この時、中国軍機が自衛隊機にレーダーを照射したことが問題になっています。
 中国側は「事前通告」したとして音声を公開しました。「私たちの編隊は計画通り艦載機の飛行訓練を行います」との事前通告に対し、自衛隊側は「中国の101艦へ、こちらは日本の116艦です。メッセージを受け取りました」と応答しています。
 この件について中国共産党系の国際紙『環球時報』は、「2度にわたり日本側に明確な通報を行った」「中国が提示した鉄の証拠は再び日本の嘘を打ち破った」と主張しています。
 自衛隊制服組トップの内倉浩昭統合幕僚長は、日本の防空識別圏内で「対領空侵犯措置を適切に行うことは当然」と述べ、「自衛隊機が中国の航空機の安全な飛行を深刻に阻害したとの中国側の指摘は当たらない」と反論しています。
 軍事の素人には、今一つ何が問題なのかが良く分からない事件ですが、冒頭の動画でオオカミ少佐が明快に解説しています。まず、「対領空侵犯措置」(1分39秒)と「防空識別圏」(2分32秒)の説明があり、“防空識別圏は日本のように公海に囲まれている国であれば、ほとんどが公海上に設定されており、公海およびその上空は自由航行権が認められているので、どの国の航空機や船舶であっても自由に航行する権利を持ちます。…中国海軍は日本の領海に入っていませんし、艦載機も日本領空に侵入したりはしていませんので合法です。(2分50秒)”と話しています。
 では、何が問題なのかというと「危険な行為をした(6分34秒)」ことで、“安全上問題があるならば接近しないよう無線等で警告を出せば済む話ですが、いずれの国にも航行の自由のある公海及びその上空で、実力行使に及んだのがマズイのです。(6分39秒)”と言っています。
 要は、中国のJ15戦闘機によって日本のF15戦闘機が、事実上「ロックオン」されたということのようです。
 “人間に例えるなら銃口を相手に向け、あとは引き金を引きさえすれば弾丸が相手に命中する状態。非常に危険な行為なので、国によっては火器管制用レーダーの照射を先制攻撃とみなし、自らを守るために反撃してもよいという交戦規定を定めているほど。海上で他国の艦艇や航空機と遭遇した際に、軍事衝突を避けるためのルールを海上衝突回避規範=CUESと言い、このCUESは中国を含めた21か国が採択しています。その中で避けるべき危険な行為に、この火器管制用レーダーを向けることも含まれているので、平時に他国の船や航空機に照射してはいけません(8分1秒)。…こんなことは中国としても百も承知でしょうが、先制攻撃とみなされてもおかしくないほど危険な火器管制用レーダー照射をやったという核心部分から、少しでも話題をそらすために次から次へと無茶なことを言って話題をそらしているにすぎません。(15分51秒)”と説明しています。
(竹下雅敏)
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【元海上自衛隊幹部が解説】中国軍機レーダー照射【航空自衛隊】
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