注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
(中略)
また、放射性物質を含んだ土地について、「事故により飛散した放射性物質はそれだけを取り除くことは現時点の技術では不可能で、東京電力が管理することができる状態にあるとはいえない」などと指摘し、事故に由来する放射性物質も農家などが所有しているという判断を示しました。
この裁判は当初、1審の福島地方裁判所郡山支部がどのように放射性物質を取り除けばいいのか明らかではないとして訴えを退けましたが、その後、仙台高等裁判所が審理のやり直しを命じました。
(以下略)
上払裁判長は判決理由で「土壌から放射性物質のみを除去する方法は確立されていない。原告側は訴えが認められた場合に東電がなすべき具体的な行為を特定しておらず、訴えは不適法だ」と述べた。原告側代理人の花沢俊之弁護士によると、農地の原状回復を求めた訴訟の判決は全国初。
(以下略)
農家たちは、金銭的な補償は一切求めず、農地から事故で飛散した放射性物質を取り除いて欲しいという、その一点だけを求めてきました。
(中略)
「私の住んでる農地は、日本でも美味しいお米がとれる土壌だったんです。
それが壊されたからね、土壌汚染によって。
だから、東電に原状回復してもらう。」
(中略)
今は、他の福島県の多くの農家と同様、米の多くを、名前のつかない業務用米として出荷せざるを得なくなりました。
加工品を販売する店の売り上げも伸びず、鈴木さんは何度も、倒産の危機に直面しました。
その度、つきつけられたのは、土に放射性物質があるかぎり、いくら頑張っても、原発事故の前には戻れない、という現実でした。
(以下略)
「原発から飛散した放射性物質はすでに土と同化しているため、東京電力の管理下にはなく、むしろ、農家が所有しているといえる。故に、東京電力に放射性物質を取り除くよう請求することはできない」
— 青木美希 (@aokiaoki1111) 2019年10月20日
判決に、驚きの声が上がっています。https://t.co/q3jmt2epVw
「車にスプレーを吹き付けた落書きは、既に車と同化しており、車の所有者が所有していると考えられる。故に器物破損にはあたらない」みたいな判決だな。 https://t.co/cPAymw6flZ
— ネトウヨの毒舌な伯父さんbot (@NTUY_uncle_bot) 2019年10月21日
『発電所から送られた電気はすでに家庭の電線と同化しているため、
— ぽこ🐾 (@PokoWww777) 2019年10月22日
東京電力の管理下にはなく、むしろ、家庭が所有しているといえる。
故に、東京電力に電気代を払うよう請求することはできない』
この『放射能は土と同化、農家が所有』という目がくらむ判決を出した裁判長『遠藤東路』さんのお名前で検索
— Masjp (@masjp72) 2019年10月23日
マクドナルドには、原発事故での減収を理由に7080万円も払わせている
農家よりもマック、、、
なんだか今の世を象徴。悲しい。#東京電力#マック#放射能汚染#食べて応援#上級国民 pic.twitter.com/zZn8Ypsj7j
【驚愕の判決 東電がまき散らした核毒(放射能)は農地を汚染された農家の「所有」!】この法廷写真を見ると、東電は「無罪判決」を予期したかのように出廷をボイコット?してる。舐めきったものだ!遠藤東路裁判長も憮然とした顔! 判決言い渡しを前に被告席、カラ!
— 大沼安史 (@BOOgandhi) 2019年10月21日
https://t.co/bsdtnMtSVS pic.twitter.com/gRjed6RHYn
私は遠藤東路裁判長の判決は本意ではなかった、と見ています。激烈な重圧下の「国策判決」。だから敢えて反面教師的なものにして可能性を一筋残した? お名前の「東路」、とおるとお読みするようですね。そう、フクイチ浜通りは昔「東海道」と呼ばれていました…… pic.twitter.com/WfGczeOPWh
— 大沼安史 (@BOOgandhi) 2019年10月22日
そしてこの度、やり直し裁判の判決が出ました。
福島地裁の遠藤東路裁判長は「土壌から放射性物質のみを取り除くことは不可能で、東電には管理できない。放射性物質も農家の所有」「農家が業者に委託して土を入れ替え、その費用を損害賠償請求することができる」として、当初の農家の訴えはここでも退けられました。
さすがにこの判決の内容は法律の素人が見ても異様で、東電の責任が回避できれば理屈はどうでも良いのかと呆れます。ネット上でも凄まじい非難が上がっています。
これまで慈しんできた美味しいお米を産む農地を奪われて、311以降、どれほど努力しても以前のようにお米は売れず、土地を汚染させた東電に、せめて放射性物質の無い元の状態に戻してほしいという無欲の願いは、裁判官には全く届いていないようです。
たとえ、土地を総入れ替えしても日々降り注ぐ放射性物質は再び土壌を汚染するでしょうし、たとえ基準値以下のお米を作っても、その国の基準値が100ベクレルとあっては、とても進んで買うことはできません。その現実を司法は認めた上での判断をすべきでした。
この遠藤裁判官は、原発事故で減収となったマクドナルドには、東電の責任を認めて損害賠償を命じています。ふう〜ん。
大沼安史氏は、国や東電からの激烈な重圧があったであろうと案じ、遠藤裁判長に同情的です。
圧力に抵抗する時は死をも覚悟するような世界なのでしょう。またしてもハンナ・アーレントの記したアイヒマン「悪の凡庸さ(陳腐さ)」を思い出してしまいます。