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[おしどりマコさん・ケンさん] 驚く日本の「廃炉」の定義 〜 絶対に不可能な30年後の廃炉を目指してALPS汚染水投棄をやっている / 廃炉の定義まで変更しようとする廃炉推進カンパニー(後編)

 前編に引き続き、後編のおしどりマコさんの解説も知っておくべき内容がたくさんありました。ALPS汚染水の海洋投棄が始まりましたが、最初は放射能濃度の低い排水を流していても、東電はいずれ高濃度の排水を流すのではないかと懸念するのは当然です。しかし、マコさんの説明では、実は放出前のタンクの水は意外に真面目に核種を測っているのだそうです。「セシウム134、137、ストロンチウム90、炭素14、ヨウ素129など。」測っていないと批判されるのは、放出した後の海水のチェックで、放出後の「迅速測定」ではトリチウムとセシウムだけというのが問題だそうです。国はタンクを減らす方針を変え、おそらく日々発生する濃度の低い「フレッシュな」排水を薄めて放出し続けるのではないか、その理由も含めて解説されています。
 驚いたのが「廃炉」です。日本の目指す廃炉はまさしく机上の空論で、「30年後に予定している廃炉は、日本の今の法律の定義では、放射性廃棄物が一切無くなって、放射線も無くなって、放射線管理区域の規制が取れる時。一般の空間と同じ状態になる時が廃炉完了。」これを原子力規制庁と資源エネルギー庁が真顔で説明するのだそうです。日本は「ドリーム」に向かってALPS汚染水を流しているのでした。
 2020年、福島県内の様々な業種の人にALPS処理水についてのご意見を伺う場では、ほぼ全ての人が反対を表明されました。ただ一人、"反対だけれども国は海洋放出を前提で進めている。どうしても放出するのであれば福島以外に迷惑をかけられない。国は放射能による実害と、海洋放出の加害行為を認めて被害者に対してきちんと賠償、そして補償をすべきだ。断じて風評被害ではない。"という悲痛な訴えをされた方がありました。福島の人も苦しいのに他県を思い遣る潔い訴えでした。ところがメディアはそれを全く違う内容にして報道しました。こうしたことがずっと行われているのが福島第一原発です。
 またマコさんは、今、問題になっているトリチウムよりもはるかにリスクの高い核種が「ヨウ素129」だと心配されていました。ヨウ素129の濃度も今後、要チェックです。
 最後「電通に負けないように!」と、人々の拡散を期待していました。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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レイバーネットTV第192号 : 薄めても薄めてもなお汚染水〜国と東電の責任を問う
配信元)


 後半(34:00〜)は、最初に原発から6キロ地点にある請戸川河口テント広場で、磯釣りの魚の放射能を追跡調査しようとしている、吉沢さんという方の映像から。
「『福島の環境分析研究所』の分析結果を待っても検出限界以下のデータしか出てこない。自分たちで釣った魚をやる気のある先生に持っていって、独自のデータを公表する。」「なんでトリチウムとセシウムだけでOKなんだと。他の放射能を問題にされたら困るのか?」「ひとまず5年やってみて、放出は何回も続くわけだから、最初のうちは問題ないタンクを抜くだろうけど、途中からヤバいやつも抜くと思う。そうするとやっぱり出るんだと思う。粘り強くやっていく。」

この映像を受けてマコさんは、
放出する前のタンクの水は、トリチウム以外も意外に真面目に測っている。
セシウム134、137、ストロンチウム90、炭素14、ヨウ素129など

「測っていない」と言われるのは、放出した後の海水のチェックの話だと思う。
放出後の「迅速測定」をするのが、トリチウムとセシウムだけというのが問題だ。

もう一つ、吉沢さんの話で「途中からヤバいやつも抜くと思う」とあったが、
多分、5年くらいたってもヤバいやつは流さないはずだ。
なぜかというと、東電の方針が変わって「日々発生するフレッシュな汚染水」から放出することにした。今タンクに溜まっている高濃度のものではなく、できるだけ濃度の薄いものから先に捨てていく方針にした

というのも、トリチウムの半減期は12年。放っておけば、廃炉予定の30年までに2、3回はいける。
海水に混ぜなくても濃度が薄まっていくので、高濃度のものは一番最後にする。
つまり1年や2年ではタンクは全然減らない。タンクを減らすためという東電の当初の説明は不可能。
日々の汚染水の発生をゼロにできる目処はないから


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[おしどりマコさん・ケンさん] 2011年からの東電記者会見を振り返る / 情報開示請求で明らかになった電通の取材誘導・番組誘導(前編)

 2011年からずっと東電記者会見に出席し続けられている、おしどりマコさん・ケンさんの動画を取り上げました。前・後編に分けて、前編の今回は「東京電力定例会見の定点観測」「行政は電通に何をさせたか」「情報開示請求はお金がかかるか」というテーマです。
 福島第一原発事故の直後、東京電力の行う記者会見は、当然ですが国内外の記者が詰めかけました。2011年は100人以上いた取材陣は、2016年には20人前後となり、2019年にはコロナ禍を理由に東電は記者会見自体を止めようとしました。その時、マコさんは原子力規制庁に猛抗議をされ、なんとか遠隔記者会見を実現させました。そして2023年の今、ついに本業の記者はいなくなり、おしどり2人と東電2人の会見会場という状況です。雨の日も台風の日も会見に通い、東電の発言の矛盾やごまかしもマコさんが気づいて発信されることが多いです。マコさんの見た変化は図らずも東電やメディアの定点観測になっていました。
 16:00あたりからは、国や地方自治体が電通を使って何をさせてきたか、かなりダークな実態が語られました。本当の意味での福島の不安払拭ではなく、国策として放射能被害を隠蔽する「心の除染」を公金で行ってきたのが電通でした。
 34:00までをざっくり要約してみました。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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レイバーネットTV第192号 : 薄めても薄めてもなお汚染水〜国と東電の責任を問う
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(10:00〜)
東京電力定例会見の定点観測

2011年以降、記者会見に参加する記者さんがどのように減っていったか
(写真で見ていく)
2011年は、大会場に100人以上、会見も一日2回、2、3時間かけていた
2013年は、まだ大きな会場、人数もまだまだ多い。フリーランス、雑誌社もいた。
ここで、政権が変わり安倍政権になって減っていった
2016年には、20人前後の日々が続いた。
2018年は10人前後に。
2019年コロナ禍に入り、東電は記者会見を辞めようとした。小さい部屋に変わり、なおかつテーブルも減らした。マコさんが「記者会見をなくすな」と原子力規制庁で猛抗議をして、遠隔の記者会見を実現した。めちゃくちゃ小さなノートパソコンに向かって質問する形態。大きなプロジェクターでやってくれるとかと思っていたが、スピーカーも音が悪く、途切れがちだった。

会見の頻度は、2011年は月曜日から金曜日まで毎日朝昼、週10回。
2013年から月水金に減った。
今は月木週二回。夕方だけ。

2023年はついに、おしどりだけ。東電から2名で「居酒屋でもよかった?」
記者さんが来なくなって、マコさんが行かなければ東電は会見をやめる。
ALPS汚染水の海洋投棄が話題になると、一瞬、記者が増えた

(14:50〜)
「汚染水」という言葉が経産省からクレームがつくという話があったが、「海洋投棄」もダメで「海洋放出」と言うよう司会からクレームがつく。 それでも「海洋投棄」と言い続けていたら、ある日、関係者のペーパーに「おしどりマコが海洋投棄と言ったらゴングを鳴らして戦え」という文字が見えた
マコさんは速読ができるので、一瞬の原稿を読み取ることができるらしい。
東電のコバヤシテルアキ氏という方だけは、報道の自由、言論の自由を認めてくれた。

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[おしどりマコさん] IAEAが東電の汚染水放出の検証作業を行う中、配管洗浄中の作業員が高濃度の汚染水を被る事故が発生 〜 2人は身体の表面線量が下がらず入院へ

 10月25日、おしどりマコさん・ケンさんが、2011年からの東電記者会見を振り返る動画に出演されたというので、チェックしようと考えていました。ところが冒頭に、東電事故のニュースが飛び込んできました。マコさんのお知り合いを通じて、現在現役で福島第一原発で働かれている方からの情報提供があったようです。動画の内容は後日に回し、福島第一原発の事故を取り上げました。テレビの速報では"25日午前11時頃、作業員の方が配管の洗浄をしていたところ、ホースが外れ、汚染水などが飛散した。20代から40代の男性作業員5人に放射性物質が付着した。線量や汚染水の濃度は報じられていない"という概要でしたが、マコさんの得た情報では、"東芝の下請けのエイブルが事故を起こした。汚染水をぶちまけて救急車やらで大騒ぎだった。漏れた上を救急隊員が歩いて汚染水に足をつけて、汚染水を拡散していた"という状況だったようです。
 マコさんによると、今ちょうど福島第一原発にIAEAが入っていて、いつもより気をつけていたはずなのに、このような重大な事故が起こってしまったこと、そして最近このような「アホみたいなトラブルがめちゃくちゃ多い」杜撰な状況になっているそうです。"3・11から12年経ち、配管も東電自体も劣化していて、現場の方々に一番しわ寄せがくる。現場の方々に何事もないようにと願っています"と話されていました。
 その後、東電からの報道向け一斉メールで、身体の表面の放射線量が下がらない2人は、福島県立医科大学附属病院に搬送されたことが分かりました。ここでも表面線量の情報がありません。
 そして翌26日の東電の会見で、マコさんがしっかり質問をされたようです。「最も身体汚染された方は10万cpm超、ということは、サーベイメーターの検出限界を振り切れたのではないか。」「β線熱傷は、被ばくして2~3週間後に発症する、2週間の入院、経過観察というのはβ線熱傷の経過を見るのではないのか」「汚染水によるβ線熱傷の可能性の入院というのは 2011事故直後の2011/3/24以来、という理解でいいか」いずれも東電が認めましたが、マコさんの質問が無かったら、その重大さに気づけただろうか。今なお情報統制の最中です。
(まのじ)
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西田昌司氏×鳩山由紀夫氏のまさかの対談 〜 「日米同盟」という言葉に隠れた主従関係と軍事同盟

読者の方からの情報です。
 読者の方から「鳩山由紀夫西田昌司というのけぞるような顔ぶれの対談がありました。」と、思わず笑ってしまったコメント付きの投稿がありました。西田氏ご自身も「私は鳩山政権を一番口汚く批判してきた人間なんですけれども」と言い、鳩山氏も「一番厳しかったですね。」と返しています。今回の「まさかの対談」は、米軍基地移設問題を軸に戦後の日本がまだ独立を果たしていないことを双方の立場から論じておられました。
 鳩山民主党政権の時、西田議員も「沖縄の基地は最低限県外、できれば国外に移動してもらう。日本に外国の基地はいらない」という趣旨には賛同していたそうです。しかし西田氏は米軍の基地を移転した場合、それに代わる日本の防衛力増強が不可欠との立場で民主党政権に批判をしたと言います。これに対して鳩山氏は「少なくとも私は友愛という、理想主義的なことかもしれませんが、そういう精神で国をリードしないといけない。(中略)周辺諸国と極力仲良くすれば必ずしも防衛力を強化する必要はないんだ(中略)という発想」だったそうです。「中国が今まさにそうですけれども脅威だというふうに思われているけれども、もっとうまく外交姿勢をつくれば、そんなに中国を脅威にさせないような形の外交政策というものをつくれたんではないかなと思うんです。」
 「あと22年で戦後百年ですよ。戦後百年経って米軍基地がまだまだこんなに存在するような日本であっていいかどうか」という鳩山氏の問題意識について、西田氏は「『日米同盟』というのはかなり真実ではなく、要するにアメリカに占領されている形が続いているのを同盟と呼んでいるわけでね、これはやっぱり真の同盟関係じゃないですよね。むしろ主従関係であるわけですよね。」「本当は冷戦が終わった時に本当はそういうことを再編する時期だったと思いますが、あの時にそれをせずに、ますますアメリカ一番の一極支配になったから…」
 鳩山氏は「もう一つ私が気になっているのはこの『日米同盟』という言葉が(中略)同盟って普通言う場合にはこれは軍事同盟ですよね。ということはアメリカが何らかあった時には日本が助けに行くという、まさに本来日本が憲法で禁止しているはずの戦争に協力するっていうことを、ある意味で暗黙の了解として出てくるのが同盟という言葉」「昔は安保体制と言ったんですよね。」「同じようにNATOだって同盟でしょうけど、同盟という意識になりすぎると、これは我々が本来もう戦争というものはやらないんだと(中略)紛争解決のためには戦争という手段を用いないというふうに決めた日本の憲法にもとる話になるということは間違いない…。」
 日本の独立を目指す政界のクロスオーバーを予感させる対談です。
(まのじ)
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「まさかの対談が実現!十数年の時を経て再び向き合う…鳩山元総理大臣にあの時の胸中を聞いた。米軍基地移設発言の真意と政治信条の共通点」西田昌司×鳩山由紀夫 友愛対談 VOL.1
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2025年には現在の「あきたこまち」から、カドミウム低吸収性の「あきたこまちR」に切り替えられる 〜 放射線育成種の長期的な安全性は不明、やがてはゲノム編集米に置き換えられる懸念も

読者の方からの情報です。
 読者の方々から、お米の「あきたこまちR」についての投稿が相次ぎました。2023/4/14時事ブログで取り上げた情報をさらに掘り下げた専門的な情報も届いていますが、「生活防衛LABO」さんの動画が現状を簡潔にまとめて下さっていました。
 それによると、秋田県が「あきたこまち」を「あきたこまちR」への生産全面切り替えを決定したそうです。早ければ令和7年(2025年)には、全国で愛されている「あきたこまち」が食べられなくなりそうです。「あきたこまち」は"コシヒカリを母に、奥羽292号を父に"1984年に開発された秋田県特産のお米です。一方「あきたこまちR」は「コシヒカリ環1号」と「あきたこまち」を交配させ、さらに7回も「あきたこまち」を交配させたお米です。「あきたこまち」の食味とカドミウムを吸収しにくい性質を持ちます。問題は「コシヒカリ環1号」が放射線育成種ということです。これまでも遺伝子の一部をガンマ線で破壊することで、稲や麦、大豆などの品種改良(?)がすでに行われていました。この度初めて知ったのですが、美味しいと人気のお米、例えば「レイメイ」「キヌヒカリ」「どんとこい」「にこまる」「とねのめぐみ」「きぬむすめ」「つるがロマン」「ゆめひたち」「銀河のしずく」「つや姫」「雪若丸」などいくつもの品種が放射線で改良がされていました。
 これらに倣って「あきたこまちR」も安全性に問題ないとされています。けれども「あきたこまちR」はガンマ線よりもはるかに強い「重イオンビーム」を集中的に照射しており、安全性のデータは揃っていません。このお米を長期間食べた時の影響は未知数だとされています。また「放射線育成種」は「ゲノム編集」と同様、届出が必要な親から交配して生み出された品種には届出の必要がありません。「コシヒカリ環1号」は届出が必要ですが、「あきたこまちR」は不要です。さらに自家採取が禁止されていることも大問題です。農家の方や国民に選択する権利はありません。
この放射線育成種への切り替えには、国の強力なバックアップがあると言います。2018年農水省は「いずれ全ての国産のお米を放射線育成米に転換する」と決定しました。「既に(国研)農研機構や各地方自治体において、100種類以上のカドミウム低吸収性イネ品種・有望系統の育成・開発が進んでいる」のだそうです。生活防衛LABOさんは「もし、品種改良は嫌だ、できるだけ手を加えられていないお米を、ということでしたら、もうだいぶ少なくはなってきましたが、朝日や亀の尾をお勧めします。」と言っています。昔は「西は朝日、東は亀の尾」と言ったそうな。
 印鑰智哉氏は、「あきたこまちR」はゲノム編集への「トロイの木馬」ではないかと危惧されていました。放射線育成種の、カドミウムを吸収しにくい性質を保ったまま、植物の生育に必要なマンガンは吸収し易くし、さらに、ヒ素は吸収しない性質に遺伝子を改変するとなると、放射線を当てるよりも「ゲノム編集」をする方がはるかに効率が良いらしいのです。国民には、手にしたお米が品種改良していないものか、放射線育成種なのか、はたまたゲノム編集されたものなのか、知る術はないようです。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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農業の危機! 再来年、あきたこまちが食べられなくなる!!
配信元)


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放射線育種から「ゲノム編集」へ? 「コシヒカリ環1号」はトロイの木馬か
引用元)
(前略)
この2つの欠点を修正できれば、「コシヒカリ環1号」系の「あきたこまちR」などが持つマンガン不足も解決できて、ヒ素も吸収しない、カドミウムとヒ素汚染の多い地域でもそれらを吸収しない品種が完成することになる。しかし、それを実現させるためには遺伝子の特定の箇所(塩基)を破壊しなければならない。そのために用いる技術は放射線では効率が悪すぎ、TILLING法などの突然変異の技術を使う可能性もあるかもしれないが、やはり本命は「ゲノム編集」になるだろう。「コシヒカリ環1号」系の放射線育種米はそれが出てくるまでのつなぎにしかならない可能性がある。
 
 それではなぜ、その本命の品種を待たずに農水省は放射線育種米の導入を決めたのか? それは、いきなり「ゲノム編集」米を食べろといっても反発が大きくなるからだろう。放射線育種は1960年代以来からの実績がある。「昔から使われていた技術だから反発するものは少ないだろう」(しかし、「コシヒカリ環1号」で使われた放射線は重イオンビームであり、長い使用実績のあるガンマ線ではない)。「もし、批判が出たら、従来の放射線育種品種を使っている人たちが反発して、その批判を潰すだろう」。要するに放射線育種なら反発が少ないと考えたのではないか?
(以下略)
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