福島第一原発2号機から取り出されたわずか3gの「デブリ」、核燃料は全体で880トンで先が見えない廃炉作業 〜 原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)はなぜ石棺方式にしないのか

 11月2日、東電は福島第一原発2号機から少量の核燃料デブリを取り出したと報じられていました。2011年の事故後初めて得られたわずか3グラムのデブリを分析して、今後の取り出し工法を検討するそうです。しかし、1号機から3号機の格納容器にはあわせて880トンのデブリが存在し、それらを全て取り出すには「楽観的に見ても170年かかる」との指摘があります。本格的な廃炉作業にかかる前の試験的な「耳かき一杯」でニュースになる程ですから先は見えてきません。
 おしどりマコさんが東電会見のレポートをされていました。「強引に『デブリ取り出し完了!』となってるけど 実は、20cm離隔で0.2mSv/hと、めちゃくちゃ線量が低いのです 建屋内の線量より低いし なんだったら構内の瓦礫の方が線量が高い デブリじゃ無くてガレキ片の可能性が高いんですけどね」「線量が高すぎると扱えないので、24mSv/h以下のものを取り出す、という計画が まさかの線量低すぎで、え?本当にそれデブリ?状態なのです」という大事な指摘をされています。東電はなんとしても「デブリです!」と言いたいようです。デブリでないと困ることがあるのでしょうか。
 放射線量が高すぎて扱えないようなものを、わざわざ取り出してどう処理するつもりなのかナゾですが、燃料デブリの取り出しを計画したのは「(政府出資の)原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)」でした。チェルノブイリの前例のある石棺方式を取らず、先の見えない廃炉作業にNDFを通じた巨額の公金が東電に延々と流れ続けています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)



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福島第一原発デブリ、取り出し完了まで「170年」 米国参考に試算
引用元)
 東京電力福島第一原発の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し作業は、出だしからトラブルが続いている。政府と東電は2051年までに廃炉を終える目標を掲げるが、早稲田大の松岡俊二教授(環境経済・政策学)はすべての燃料デブリを取り出すには「楽観的に見ても170年かかる」と指摘する。
(中略)
 ――今の体制はどんな問題がありますか。

 (政府出資の)原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が廃炉の「技術戦略プラン」を作っていることが大きな問題です。戦略は組織にとって最も大事なものだし、イチエフ(福島第一原発)の廃炉では技術戦略プランが最も大事。なぜなら、戦略が廃炉のあり方、東電の組織のあり方を決めるからです。自分の戦略を他人に決めてもらうなんて、あり得ないことですよ。

東電と国、NDFの「もたれ合い構造」
 ――振り返れば、2号機から燃料デブリの取り出しを始める、という計画を5年前に示したのもNDFでした
(以下略)

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