注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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レイバーネットTV第192号 : 薄めても薄めてもなお汚染水〜国と東電の責任を問う
配信元)
YouTube 23/10/25
(10:00〜)
東京電力定例会見の定点観測
2011年以降、記者会見に参加する記者さんがどのように減っていったか。
(写真で見ていく)
2011年は、大会場に100人以上、会見も一日2回、2、3時間かけていた。
2013年は、まだ大きな会場、人数もまだまだ多い。フリーランス、雑誌社もいた。
ここで、政権が変わり安倍政権になって減っていった。
2016年には、20人前後の日々が続いた。
2018年は10人前後に。
2019年コロナ禍に入り、東電は記者会見を辞めようとした。小さい部屋に変わり、なおかつテーブルも減らした。マコさんが「記者会見をなくすな」と原子力規制庁で猛抗議をして、遠隔の記者会見を実現した。めちゃくちゃ小さなノートパソコンに向かって質問する形態。大きなプロジェクターでやってくれるとかと思っていたが、スピーカーも音が悪く、途切れがちだった。
会見の頻度は、2011年は月曜日から金曜日まで毎日朝昼、週10回。
2013年から月水金に減った。
今は月木週二回。夕方だけ。
2023年はついに、おしどりだけ。東電から2名で「居酒屋でもよかった?」
記者さんが来なくなって、マコさんが行かなければ東電は会見をやめる。
ALPS汚染水の海洋投棄が話題になると、一瞬、記者が増えた。
(14:50〜)
「汚染水」という言葉が経産省からクレームがつくという話があったが、「海洋投棄」もダメで「海洋放出」と言うよう司会からクレームがつく。 それでも「海洋投棄」と言い続けていたら、ある日、関係者のペーパーに「おしどりマコが海洋投棄と言ったらゴングを鳴らして戦え」という文字が見えた。
マコさんは速読ができるので、一瞬の原稿を読み取ることができるらしい。
東電のコバヤシテルアキ氏という方だけは、報道の自由、言論の自由を認めてくれた。
(16:23〜)
行政は電通に何をさせていたか
これは電波にぜひ乗せたい話だ。
「たあくらたあ」という長野のミニコミ誌の野池編集長が、2018年から情報開示請求を山のようにされて、そこで出てきたことだ。ありがたいことだ。
野池氏は、伊達市の黒川祥子氏の「『心の除染』という虚構」という書籍を読んで、すぐに伊達市に電話をした。
「この心の除染というのはどこの予算で、誰がやっていたのか」
市役所「それは電通がやってました。伊達市の予算で電通が。」
そこで伊達市に開示請求をしたら、電通が何をやっていたか事業報告として出てきた。同様にして各省庁、各自治体に開示請求をかけた。電通に、風評被害払拭、不安払拭という名のいろんな事業をさせているのではないか。出てきた膨大な資料の分析チームにマコさんも入った。
2012年度「福島農林水産物安心・安全メディア発信研究会」という事業名。
福島の新聞社、テレビ、ラジオに対して、電通がニュースの報じ方をレクチャーする。
電通がTwitterをチェックしていて、「原発事故の不安」を言うものはネガティブ、「復興頑張ろう」というものはポジティブとレッテルを貼る。
「ポジティブを増やしてネガティブを減らすのが福島県のためのメディアのあり方ですよ。ポジティブをを増やすニュースをしよう。」
例えば、福島に住んで、福島で子供を育てている人の不安を言うとネガティブ。そういうニュースは減らす。
この資料を見たマコさんは、全てのツイートの発信者を調べてみたら、マコさんの取材を引用するツイートはネガティブだった。普通に取材していただけなのに。
ニュースのネガティブのトップ3は「子ども甲状腺検査」「雇用問題」「人口流出問題」。
「TOKIO」を使って桃を食べさせたらポジティブがぐっと増える。
「安全」という言葉を使うと危険を連想させるので、「おいしい」とだけ言わせる。
今でもやっている。「福島の米はおいしい」TOKIOを起用したCM広告に投じられた公金は55億円。
(23:43〜)
番組誘導の資料
電通のメディアツアー・メディアセミナーというレクチャーで介入する前と後の報道内容の変化を事業報告で上げていた。取材誘導を行うことによりポジティブな記事が増加した、報道が変化したという成果を報告している。
現場の記者がありのままの取材をしても、ネガティブとされたニュースはデスクで止められる。
電通御用達、国策御用達の学者を使って、メディア勉強会はホテルでおごちそう。
「ママ・インフルエンサーによる座談会」では、若いママでSNSのフォロワーがたくさんいる人を呼んで集めて御用学者の話を聞かせる。その内容を発信させる。「原発心配だったけど、意外と安全だった、安心だった」彼らには金銭も渡す。
ブログの内容的に唐突に原発事故のことを書いていた人がいた。しかも「放射能は問題ない」というものだったが、あれは仕込みだった。
私たちは2011年以降、何を見せられていたのか、何を隠されていたのか。
これは原発事故だけでなく、オリンピックなど国策となる様々な問題で、電通は政府の意向を隅々まで行き渡らせる役割を果たしていた。
興味深かったのは、各新聞社、各テレビ局に支払われる広告費で、読売、朝日が同額だったこと。
毎日新聞は一番少なかった。
マコさんの主観では、毎日新聞は必ず署名記事で割とフェアな感じだ。
そう言えば、内閣府の一億総活躍予算に、なぜか「放射線の不安払拭」が入っていた。
情報開示請求はお金がかかるか
「かかります。めちゃくちゃかかります。」
自治体への請求は無料だが、省庁はだいたい1件あたり200円かかる。
問題は資料が出てくる時で、紙だと1枚10円。
以前に福島県から10000ページ出てきて「あ〜〜。」
しかし情報開示請求は、いつでもどこでも誰でもできる。
そう言えば、原発事故の後、電通の風評被害払拭のための2012年の予算額は、2022年、2023年のALPS処理水での電通への額と同じだった。事故直後と同じくらいの予算が割かれている。つまりそれほど取材誘導、番組誘導を推し進めたいということだろう。
(〜34:00)
福島第一原発事故の直後、東京電力の行う記者会見は、当然ですが国内外の記者が詰めかけました。2011年は100人以上いた取材陣は、2016年には20人前後となり、2019年にはコロナ禍を理由に東電は記者会見自体を止めようとしました。その時、マコさんは原子力規制庁に猛抗議をされ、なんとか遠隔記者会見を実現させました。そして2023年の今、ついに本業の記者はいなくなり、おしどり2人と東電2人の会見会場という状況です。雨の日も台風の日も会見に通い、東電の発言の矛盾やごまかしもマコさんが気づいて発信されることが多いです。マコさんの見た変化は図らずも東電やメディアの定点観測になっていました。
16:00あたりからは、国や地方自治体が電通を使って何をさせてきたか、かなりダークな実態が語られました。本当の意味での福島の不安払拭ではなく、国策として放射能被害を隠蔽する「心の除染」を公金で行ってきたのが電通でした。
34:00までをざっくり要約してみました。