[櫻井ジャーナル 他]ロシアとの軍事衝突を避ける方向へ舵を切ったオバマ大統領だが、シリアでは不安定な状況が続く / ケリー米国務長官のロシア訪問 

竹下雅敏氏からの情報です。
 ジョン・ケリー国務長官がロシアを訪問するなど、アメリカはロシアとの関係改善に向けて、方向を転換したように見えます。櫻井ジャーナルを見ると、“オバマ政権は…ネオコン離れを明確にしてきた”と書いており、この通りではないかと思います。
オバマ政権である限りは、第三次大戦は起こらないと言って良いと思います。しかし、ネオコンは未だにロシアに対する先制核攻撃を諦めているようには見えません。この連中を地球上から排除しなければ、平和な世界はやって来ないでしょう。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

――――――――――――――――――――――――
ロシアとの軍事衝突を避ける方向へ舵を切ったオバマ大統領だが、シリアでは不安定な状況が続く
転載元より抜粋)
 アメリカのジョン・ケリー国務長官が5月12日にロシアのソチを訪問し、ウラジミル・プーチン大統領らと会談した。その際、ウクライナでの戦闘を終わらせるためにミンスク合意、つまり2月11日にベラルーシのミンスクでウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの首脳が集まって決めた停戦合意を支持する姿勢を明確にし、クリミアやドンバス(ドネツクやルガンスク/ナバロシエ)に関する作り話をすることもなかった。さらに、イランやシリアの問題も話し合ったようだ。すでにバラク・オバマ大統領はネオコン/シオニストの反対を押し切ってイランとの話し合いを進め、シリアでもオバマ政権は別の道を模索しているようで、ネオコン離れを明確にしてきたように見える。

 アメリカ/NATOやペルシャ湾岸産油国から流れてくる話には嘘が多く、状況を把握することは難しのだが、アメリカ/NATOがシリアを直接、軍事的に攻撃する計画を止めたことは確か。

 2013年9月3日、NATOによるシリア攻撃が決定的であるかのように西側で伝えられる中、地中海の中央から東へ向かって2発のミサイルが発射された。このミサイル発射はロシアの早期警戒システムがすぐに探知、明らかにされるが、ミサイルは途中で海へ落下してしまう。イスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表しているが、ジャミングなど何らかの手段で落とされたのではないかと推測する人もいる。それ以降、アメリカ政府はシリアを攻撃する姿勢を見せず、イランとの交渉に入った。

 ロシアとの軍事衝突は得策でないとオバマ大統領は考えているようだが、ネオコンは「凶人理論」や「狂犬戦術」に固執、脅せばロシアでも中国でも思い通りになると思っているようだ。ネオコンの背後には強大な利権構造が存在するが、オバマ大統領の周辺は利権を手にするより核戦争を避ける道を選んだようだ。そのネオコンに付き従っているのが日本の「エリート」である。

――――――――――――――――――――――――
ケリー米国務長官のロシア訪問 ロ米関係を正常な道筋に戻す試み
転載元)
330521

米国のケリー国務長官のソチ訪問で、長官は、当初ラヴロフ外相にみとの会談を提案していたが、後になって会談は、プーチン大統領も出席するフォーマットで行われた。米双方とも、こうした会談によって突破口が開かれるとは誰も予想していなかったが、会談は画期的なものとなった。

ウシャコフ大統領補佐官の言葉によれば、ロシア政府は、ロ米関係を正常なレールに戻す事に自分達は関心があるとの考えに立脚し、交渉を行った。米国も、ケリー国務長官のロシア訪問を、多くの困難な問題をめぐって進歩を達成するために重要なものとみなしていた。

ケリー国務長官が、前回ロシアを訪れたのは2013年5月で、その時はロ米関係を深刻に悪化させたウクライナ危機は、まだ起きていなかった。今回のソチでのロ米交渉は、4時間を超える長いものとなった。ウシャコフ大統領補佐官によれば、プーチン・ケリー会談は、米国側が強く求めたものだったとの事だ。この会談に先立ち、ラヴロフ・ケリー会談が行われたが、そこで両者は、二国間関係や国際問題を含む、幅広い問題を討議した。この会談を総括して、ラヴロフ外相は、記者団に対し「交渉は『奇跡的』になされた」と述べた。なお双方は、贈り物を交換し合った、ラヴロフ外相は、ケリー長官に(以前長官からアイダホのジャガイモをプレゼントされたのを考慮して)南ロシア・クバン地方名産のトマトとジャガイモを、長官は外相に米ロ関係の実際のポテンシャルを反映していないロシアマスコミの報道を引用したファイル、正確に言えば、自分のファイルのコピーを送った。


ウシャコフ大統領補佐官の指摘によれば、プーチン大統領は、ケリー国務長官と会談の際、ロ米関係を正常なレールに戻す事にロシアは関心を抱いているとの考えに立脚していた。ラヴロフ外相は「ロシアと米国は、両国関係に長期的な害を及ぼし得るような措置を避ける必要があるとの点で意見が一致している。ロシア及び米国政府は、見解に相違があったとしても、対話継続は目的に適っている」と考えている。
つまり会談は、友好的雰囲気の中行われた。交渉終了後、プーチン大統領がケリー長官に、地元クラスノダール地方のワインをふるまう一幕もあり、ノーネクタイの肩の張らない雰囲気の中、話が続けられたという事実も確認されている。ソチでの交渉で主なテーマの一つとなったのは、もちろん、ドンバス情勢と、ドンバス問題調整をめぐる今後の措置だった。

ケリー国務長官は、米ロ双方は、ウクライナ危機をどう調整する必要があるかという点では、多くの問題において立場が似通っているが、そのディテールにおいて意見の食い違いがある」と強調し「(ウクライナの)ポロシェンコ大統領に今回の交渉結果を話すつもりだ」と伝えた。

一方、ラヴロフ外相が述べたように、ロシアと米国は、ウクライナ問題に関するミンスク合意を遂行する必要性があるとの点では意見の一致を見た。外相は「ロ米両政府は、ソチでの交渉において、プロセスが活性化し、できる限りそれが加速化するよう、あらゆることをする事で合意した」と述べている。

ラヴロフ外相とケリー国務長官の記者会見で、米国側からキエフ当局の行動、ドネツク空港奪還プランに対する批判がなされたのは、かなり意外だったと言えるだろう。ロシア側も、キエフ当局の政策を批判したが、それは、ウクライナ政府の高官が、欧州安保協力機構(OSCE)に対し周期的に繰り返している非難についてだった。

当然、ソチではウクライナ問題ばかりが取り上げられたわけではない。交渉ではシリアやイエメン情勢、軍縮や北朝鮮問題も討議された。またケリー国務長官は「ロシアは、米国にとって国際テロリズムとの戦いにおける重要なパートナーである」と指摘し「米国とロシアは、イランの核問題解決においても、同盟国である」と述べた。

Comments are closed.