[マスコミに載らない海外記事]ギリシャはいかにして “エコノミック・ヒットマン”の犠牲となったか

竹下雅敏氏からの情報です。
 いわゆる“米国主導の世界経済”が、これまでどのように世界を破壊し、ギリシャを含む多くの国々が犠牲になって来たかを、「エコノミック・ヒットマン」の著作で高名なジョン・パーキンズ氏が語っています。
 これを読むと、ギリシャ国民は被害者であり、彼らが負債の責任を負う必要などないことがわかります。
 重要なことは、返済を拒否し、犯罪に加担した銀行家を牢屋にぶち込み、経済を緊縮財政からかつての日本型の統制経済へと移行させ、最終的に中央銀行を国有化することなのです。
 経済の復活は理論的には容易なのですが、既得権益にしがみつく権力者を合法的に排除しながら行わなければならないので、本当に大変なのです。記事の中で、とても貴重なアドバイスがありました。“大統領たちは、実に弱い立場にあり…ある程度までしか抵抗できないのですから、最終的には、我々国民が立ち上がらなければならない”とのことです。人任せにしていたのでは、民主主義は成り立たないわけです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ギリシャはいかにして "エコノミック・ヒットマン"の犠牲となったか
転載元より抜粋)
Tyler Durden
2015年7月2日 18:00 -0400
Zero Hedge
 

ジョン・パーキンズは、彼の著名な本『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』で、国際通貨基金(IMF)や、世界銀行等の国際機関が、公式には、苦しんでいる国々や経済を“救う”と称しながら、いかにして、逆に、そうした政府を、おとり販売商法に引きずり込むかを暴露した。

彼等が味わっている経済的困難への“解決策”として、IMFや世界銀行が処方する厳しい緊縮政策を押しつける。パーキンズのような人々は、こうした停止しかけている経済から、富と資源の最後の一滴まで搾り取るよう訓練されており、現在まで、それを続けているのだ。

ミカエル・ネブラダキス: ご本で、長年どのように、いわゆる “エコノミック・ヒットマン”をしていたか書いておられます。こうしたエコノミック・ヒットマンとは一体何者で、一体何をしているのでしょう?

ジョン・パーキンズ: 基本的に、私の仕事は、我々の企業が望んでいる資源を持っている国を見つけ出すことでした。資源とは、石油の様なものであったり、あるいは市場だったり、あるいは交通システムだったりします。実に様々なものが対象です。こうした国々を見つけ出すと、我々は、そうした国々への膨大な融資を手配します、しかし資金は決して、実際にその国には入りません。そうではなく、金は、そうした国々で、発電所や幹線道路等のインフラ・プロジェクトを建設する我々の大企業に回り、極少数の裕福な連中と、我々の大企業の利益になりますが、こうしたものの株を購入する余裕がない国民の大半の利益にはならず、現在、ギリシャが負っているものと良く似た驚異的負債という、膨大な負債を抱えた形で取り残される。

[彼等が]その負債で束縛されてしまうやいなや、
通常、IMFの形で、我々は再度登場し、現在のギリシャの場合、それはIMFとEU [欧州連合]で、その国に対して、とんでもない要求をするのです。増税し、支出を削減し、電力会社や、水道や、交通システム等の公共事業を民間企業に売らせ、民営化し、基本的に、我々の、大企業や、IMFや、ギリシャの場合には、EUの奴隷ににします。基本的に、世界銀行、IMF、EU等の機関は、私が“コーポレートクラシー(大企業支配)”と呼ぶ大企業の道具なのです。

こうした投資は、経済を成長させる発電システムの様なものに対して行われます。こうした巨大なインフラ・プロジェクトに投資すると、経済成長はしますが、そうした成長の大半は、裕福な人々が更に益々裕福になるのを反映しているだけなのです。

ミカエル・ネブラダキス: 標的にされた国々が、負債をもったら一体何が起きるのでしょう?

ジョン・パーキンズ: そうした国々が、電気・ガスなどの公益法人や、上水・下水、あるいは、学校、交通システムや、刑務所までも、大企業に売り渡す政策を採用するように言い張るのです。民営化、民営化。彼らの領土に、軍事基地を建設するのを認めさせます。こうした国々は、私が、コーポレートクラシー(大企業支配)というものの、使用人と化するのです。それは大企業帝国で、彼等は、中国等、世界中の国々で、政策のかなりの部分を、相当支配しています。

私はギリシャをずっと注目してきました。ギリシャのテレビに出ました。ギリシャの映画会社が“エコノミック・ヒットマンの謝罪”というドキュメンタリーを制作したのです。アイスランドと、アイルランドでも、かなりの時間を過ごしました。アイスランド国民に、負債は返済しないと国民投票する様、奨励支援をする為、アイスランドに招かれ、私は実際、返済しないよう勧め、彼等は「反対」投票し、その結果、アイスランドは現在、他のヨーロッパの国々と比較して、経済的に非常に良くやっています。

ギリシャの場合、私の反応は“ギリシャは、やられた”というものでした。それには全く何の疑念もありません。今国民は、指導者達が、その多くは、大銀行とぐるになって、おかした失敗に対し、賠償するよう要求されているのです。連中は、こうしたいわゆる“間違い”で大変な金額の金を儲け、そして今、間違いをしていない国民が賠償するよう要求されているのです。これは世界中どこでも一緒です。


ミカエル・ネブラダキス: ギリシャでは、多くの人々がギリシャをだめにした、国民がだめにしたという雰囲気があります...

ジョン・パーキンズ: その通りです。当たり前のことで、驚くにあたりません。人々に、自分達のせいだと思い込ませ、自分達は劣っていると思わせるのです。コーポレートクラシー(大企業支配)は、その点、信じられない程たけています。この場合、ギリシャ国民に向けられて、“あなた方は怠惰だ。あなた方は正しいことをしなかった。正しい政策に従わなかった”と言っているわけです。実際には、ギリシャにこういう没落の道を進むよう奨励した金融界こそ大いに責任を問われるべきなのです。

理解しなければならないことがあります。世界的に、中流階級は弱体化しています。それは誰にとっても長期的な利益にもならないことを認識する必要があるのです。中流階級は市場なのです。そしてもし、中流階級がギリシャなり、アメリカ合州国なり、世界的なりで、弱体化し続ければ、究極的に、各企業が、つけを払うことになります。顧客がいなくなるのです。ヘンリー・フォードはかつてこう言いました。“わが社の労働者全員が、フォード自動車を買いにゆくのに十分な賃金を支払いたい。” これは非常によい政策です。賢明です。この緊縮策は、逆方向に動いており、愚劣な政策です。

ミカエル・ネブラダキス: 自分達が同様な状況にある事に気がついたエクアドルや他の国々の国民達は、最終的に一体どのように抵抗したのですか?

ジョン・パーキンズ: エクアドルは、かなり立派な大統領、ラファエル・コレアを選びました。彼はアメリカ合州国の大学で経済学の博士号を得ています。彼は制度を理解しており、私がエコノミック・ヒットマンで、国が、CIAとアメリカの支配下にあった軍事政権によって支配されていた頃に、エクアドルがこれらの債務を背負いこんだことを彼は理解していました。軍事政権が、この膨大な債務を抱え込み、エクアドルは巨額の負債を負ったのです。国民はこれには同意していませんでした。ラファエル・コレアが民主的に選出された際、彼は即座にこう言いました。“我々はこうした債務は返済しない。国民が借金をしたわけではない。あるいは、IMFが債務を返済べき、あるいは、もちろんマイアミかどこかに引っ越し、とうの昔に消え去っているが、軍事政権が債務を返済すべき、あるいはジョン・パーキンズや、他のエコノミック・ヒットマン達が債務を返済すべきだが、国民が返済すべきではない。”

それ以来、彼は交渉を続けて、債務を減らしており、“債務の一部は返済する用意がある”と言っています。非常に賢明な動きでした。彼は、実に多くの大統領達と同様、もし、体制に対して余りに激しく抵抗すると、もしエコノミック・ヒットマンが不満で、思い通りにならなくなると、ジャッカルがやってきて、指導者を暗殺するか、クーデターで打倒するということを認識していなければなりません。

これらの大統領達は、実に弱い立場にあり、指導者は、ある程度までしか抵抗できないのですから、最終的には、我々国民が立ち上がらなければならないということを、我々は自覚しなければなりません。現在、多くの国々で、指導者達は単に弱い立場ではすまないのです。指導者を倒すのに、もはや銃弾は不要です。スキャンダル、性的不祥事や麻薬スキャンダルで、指導者を引きずり下ろせるのです。これら指導者達は、自分達が極めて脆弱な立場にあることを十分理解しています。それゆえ、我々国民は、自らの権利の為に、本当に立ち上がる義務があるのです。

ミカエル・ネブラダキス: 緊縮策のスパイラルから脱出し、成長の道と、ずっと前向きな見通しに戻るために、実施された国民投票以外に、他にどの様な手段があるのでしょう?

ジョン・パーキンズ: お金を、人々を仕事に就かせるような計画に投資することと、問題を引き起こした銀行家達の一部を裁判にかけ、人々の士気を高揚させることもあります。経済にとって重要なのは、雇用を増して、可処分所得を取り戻して、国民が自国に、商品に、サービスに投資できる様にすることです。

ミカエル・ネブラダキス: 最後に、過去三年間ギリシャで実施されてきた緊縮政策の極めて過酷な結果を味わい続け、切り抜けなければならないギリシャ国民に、どのようなメッセージを頂けますか?

ジョン・パーキンズ: ギリシャの歴史を生かして頂きたいと思います。あなた方は誇り高い、強い国、戦士の国です。戦士の神話は、ある程度、ギリシャに由来しますが、民主主義もそうなのです! ギリシャ国民には、立ち上がるようお勧めしたいと思います。こうした債務は返済しないように。

緊縮策は金持ちの為にしかなりません。庶民、中流階級の為にはなりません。中流階級を増やしましょう。雇用を取り戻しましょう。ギリシャ庶民の可処分所得を取り戻しましょう。そのために戦いましょう。それを実現させましょう。権利のために立ち上がりましょう。戦士と、民主主義の指導者としての歴史を尊重し、世界に示してください!

記事原文のurl: http://www.zerohedge.com/news/2015-07-02/how-greece-has-fallen-victim-economic-hit-men

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