里山社屋主義(6) 木の皮むいています / 昔ながらの家作り

木の皮むいています
大工さんから「てごうにきてください」とお呼びがかかり、行ってきました。広島県の田舎以外に住んでいる人には何のこっちゃですね。「てごうにいく」=手伝いに行く、という意味です。

おおせつかった仕事は、木の皮むき。機械で取りきれなかった部分を手で取ります:

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手に持っている道具はこんなの。名前は「皮むき」そのまんまです:

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しゅ〜こ、しゅ〜こ。するりと削れるのが、中々気持ち良いです。重たい木をどっこいせと転がして裏返し、もう片側もむきます。

表面の荒皮はカンタンにむけるのですが、その内側にある「甘皮」という茶色い部分まできれいに削り取るのは中々難しい。1本あたり30〜40分かかったかもしれません。

時々ご指導に入る大工さんがむいたのがこちら。しかも速い:

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素人がむくとこうなります:

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これは1階の天井に見える部材でして、スタッフのみんなには上を見るときは目をつぶってもらおうと思っております。



昔ながらの家作り

昔は家を建てるのは一大事。施主が酒を持って大工さんの所に手伝いに行っていたそうです。(手伝うことは木の皮むきや塗料塗りなど) また、大工さん自身が山へ行って「この木がええね」と自ら山に立っている木を選んでいたそうです。

日本の昔ながらの人情あふれる家の作り方。今私達はその片鱗だけでも再現しているのかもしれません。

木はヨーロッパあたりから輸入、工場で貼り合わせて狂いの無い集成材を作り、プレカット工場で機械が加工。現場ではこれを組み立てるだけ。効率、商業利益、自由な間取り設計、木が割れる音や隙間にクレームを言うような顧客の声…を優先した結果が木造住宅づくりの主流になっているようです。里山資本主義」が問題提起している通り、これは豊かさだろうか?…と思ってしまうのです。

今でも各地方には、木材業をしながら地元の木で家を建てている会社、地物を使いながら伝統構法を守り継いでいる工務店が幾つも残っています。経営が本当に大変な時代ですが、いずれ価値観の大転換が起こり、本来の家の作り方を残しておいてよかったと思う日がくるはず。その時まで、頑張ってほしいと思います。

(スタッフ・白井薫)

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