[山口薫・元同志社大学大学院教授]信用創造の欺瞞を暴いたら大学をクビになりました 【後半】

 前回の続きです。
 日本にもこういう期待が出来る学者がいて嬉しく思います。日本経済を復活させるための山口氏の3つの提案は、これまで時事ブログで指摘していたことと基本的に同じだと思います。第一に中央銀行の国有化、第二に信用創造で発行したお金に担保を持たせる(裏付けのある金融システム)、第3に公共貨幣の投入(政府紙幣の発行)を提案していると思います。
 その前提として、こうした素晴らしい提案が自由に出来る社会にしなければ…と思います。ハザールマフィアが凋落してきた現在、それも可能になってきたと希望が持てます。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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元同志社大学大学院教授 無からお金を作り出す民間銀行の信用創造【NET TV ニュース.報道】国家非常事態対策委員会 2016/09/07
配信元)

18:40 

(中略) 

21:28 
司会(中略)…最後にその通貨制度、その債務貨幣システムという言葉は今のところは出てこなかったですけど、それも含めてこの解決方法として、山口先生はどんな風にお考えなのかという。この公共貨幣とか、シカゴプランとか、そういうことについてご説明いただきたいと思います。

山口薫先生:やはり経済学者は、ソーシャルドクターということで、現在、たとえば病気で苦しんでいる患者さんを見たら、医者は助けたいと思うわけですね。経済学者も同じように、今、政府自身が1000兆円の借金で苦しんでいると。それでマイナス金利を導入されて銀行も苦しんでいると。それから一般の人たちも所得が上がらないで苦しんでいると。つまり、過去20年間もGDPが500兆円のところで停滞して、全然経済成長をしなかった。こんな状態というのはあり得ないことなんです。それが現実として起こっていると。ここまで経済学者はみんな分析されるわけです。

ところが、このシステムというのは、先ほど説明させていただいたように、誰かがお金を借りに来ないと貨幣が生まれないと。お金を借りた途端に金利が発生すると。これは一般に債務貨幣システムと言われているわけですけれども、このシステム自身が作り出している問題なんですね。

ところがこのシステムがシステムとして機能しないということを言うと、それで大学の職を追われるというのが現状なんですね。そこを何とかしないと、現状を打開できないわけです。

それで当時のシカゴプランを作った経済学者、それを元にして私がマクロ経済モデルを作ったんですけれども、その考え方というのは非常に簡単なんです。今から言う3つの政策さえ実施していただければ、日本のGDPは500兆円からずっと上昇していきます。もう間違いなしに、モデルで解明しているわけですから。

そこで、じゃあ第一の処方箋は何かと言うわけです。第一の処方箋というのは、中央銀行は民間の会社なんですね。民間の会社を政府、或いは議会が所有する組織に変えると。そうすると、もし日本で日銀が議会とか政府の銀行に変わればどうなるかというわけですね。

そうすると、現在日本の政府は日銀から300兆円の国債を買ってもらって借金しているわけです。その300兆円の借金に対して、表向きは6000億円ぐらい、実際には1兆円以上の金利を我々の税金から支払っているわけです。

もし中央銀行が政府、或いは議会の元の銀行になれば、その300兆円というのは、すぐチャラにできるわけです。つまり、政府の1000兆円の借金の300兆円が、その日からすぐ消せるわけですね。これが第1番目です。


2番目の処方箋は、銀行が無からお金を作って、預金という形でお金を作って、そこで金利を徴収していると。この制度を改めて、銀行が今現在、580兆円ぐらいの預金を持っているわけですけれども、この580兆円のうち、実際に預金者が引き出しに来た時に対応できるお金というのは、240、250兆円。これは銀行が中央銀行に積んでいる予備金ですけれども、それは240、250兆円しかないわけですね。

そうすると、残った300何十兆円のお金というのは、もし今銀行が不況で、銀行が倒産するということで預金者が銀行に殺到して預金を引き出そうとしますね。そうすると、320兆円に対応する現金、通貨がないわけです。じゃあ銀行はどうしたらいいのかというと、もう仕方なく預金封鎖しかないわけですね。そういう危機がもうすでに迫っているわけです。

大統領選挙が行われる年には必ず不況になる。これはアメリカのデータから確認できるんですけれども、そうすると今年の秋、大統領選挙が行われますね。そうなってくると確実にそういうような預金取り付け騒ぎが起こってくるはずですね。じゃあそれを解消しないとけないわけです。

そうするとどうするかと言うと、第二番目の処方箋は、無から作った580兆円の預金に対する担保を銀行が持ちなさいと。240兆円の担保は中央銀行に預けている準備金を使えばいいわけですよ。残った320兆円の担保をどうやって確保するかです。そのうち銀行は現在、240、250兆円の国債を持っているわけですね。その国債を担保にして、まず預金の資産を確保すると。

そうすることによって銀行自身は国債の暴落による資産の目減り、それから金融恐慌という危機から逃れられるわけですね。一方、消費者はいつでも銀行に預金があるからということで、取り付け騒ぎは起こらなくなるわけですね。こういう風にして、銀行が無からお金を創造するというのをやめればいいというのが二番目の処方箋ですね。

次、三番目は、それでもお金は充分でないかもわからないわけです。そこで考えていただきたいのは、黒田総裁が日銀の総裁になってから、異次元の金融緩和というのを行われまして、結局、中央銀行に積み上げた銀行の預金額が、だいたい、200兆円ぐらい増えているわけです。その200兆円というのは、中央銀行の準備預金として眠っているわけです。この分は、二番目の580兆円の担保として塩漬けにするわけですね。そうすると、量的緩和で日銀が作り出した200兆円分のお金というのはなくなるわけです。

そこで、これは三番目の提案ですけれども、オリンピックが始まる2020年まで4年間ありますよね。4年間にこの200兆円のお金を政府が発行して、ヘリコプターマネーにしてばら撒けばいいというわけです。そうすると、200兆円を4で割るとだいたい年間50兆円ですよね。1人当たり40万。私は赤ちゃんからお年寄りまで条件をつけなくて、1人当たり40万円をヘリコプターマネーとして政府が予算化してばら撒けばいいと思うんですね。それによってインフラは一切起こりません。

そうすることによって、200兆円の新しい現金が流通し始めるわけですね。よく一般にばら撒きは悪いと言われるわけですけど、なぜばら撒きが悪いのかもう1回考えてもらいたいんですね。ばら撒きと言っても実際の現金を投入して経済を刺激して、それによってインフレが起こらなくて経済成長が起ころうとすると、この政策のどこが悪いのかということですね。ここの辺のことをもう1回考えていただきたい。これが三番目ですね。

まとめますと、日本銀行を国有化し、それから民間の信用創造をやめさせ、それで政府が必要ならば福祉とか経済成長に新たに公共貨幣を投入すると。この3つの政策を導入すれば、一挙に日本経済は活性化するわけです。

実際に、こういうことで、新しい貨幣改革をやろうじゃないかという国が今、世界中で広がっているわけです。これはほとんど報道されていませんけれど、例えばスイスを例に取りますと、スイスでこの貨幣改革をやろうということが、スイスには直接民主制度で10万人の署名が集まれば、それをイニシアチブとして、国民投票にかけれるという制度があるわけです。それで貨幣改革を国民投票にかけようというイニシアチブが提案されて、昨年の12月頃に10万人の署名が集まったわけです。したがって、いずれここ1年のうちにこの貨幣改革案がスイスで実際に投票にかけられます。それからリーマンショックで大損害を被って、大危機に陥ったアイスランドでも、新たにこういう貨幣改革に立脚した新しい銀行を作ろうという動きが出ています。イギリスもそうですね。それからデンマーク、オランダと、そういうヨーロッパ諸国もそうです。

それからアメリカでも、最近、バーニー・サンダースが民主党の候補を外れて残念なんですけれども、バーニー・サンダースを応援した若い世代の人たちがこぞって緑の党、グリーンパーティーの支持にまわっているわけですね。そのグリーンパーティーの政策の中に、なんと貨幣改革が入っているわけですよ。だから、もしアメリカでグリーンパーティが投票で大統領を選べるようになると、一気にアメリカでも貨幣改革が実践される。こういう状況まで来ているわけです。

ということは、繰り返しますと、今までのシステムは崩壊していると。それに代わる新しい経済理論が、シカゴプランによる貨幣改革以外にないというわけですね。だからチョイスは明らかなんですね。あとは国民の皆さんが、これをやろうじゃないかという形でサポートが広まれば、これは無血革命に相当すると思うんです。誰も血を流さない、誰も損しないんですよね。

実は、1%対99%という対立軸があるというわけですけど、実は1%の人たちも今、困っているわけですよ。だからこの貨幣改革が行われば、100%の人たちが幸せになれると私は言っているんですね。100%だけではなしに、将来世代も救えると。将来世代を20%とすると、120%のみんなが幸せになれると。こういう誰も損しないウィンウィンの政策があるということを、是非ともこの番組の皆様にも知っていただいて、ぜひともこの考え方をもう1回考え直していただいて、自分なりにやろうじゃないかと思っていただければと。

そういう意味で、今日は総裁とか和田先生とか、こういう機会を与えていただいて、非常に感謝しています。ぜひとも私もこういうことを『公共貨幣』という本で、東洋経済から昨年度出版させていただきましたので、ぜひとも、ご興味のある方はそれを読んでいただいて、賛同いただき、一緒に日本から新しい改革、このテレビはジャパンレポリューションパーティと、革命党というすごい名前の番組ですけど、ぜひともやっぱりこれは革命だけれど無血革命。誰も血を流さない、みんながしあわせになる革命だということで、やっぱりこの革命がJRPから始まっていただければと、そういう風に思って、非常に期待しております。

本日はお招きいただき、本当にありがとうございます。

32:07 

司会:ちょっとその点について、総裁の方からコメントをいただければ。

総裁:いや、全てが目から鱗で、私も非常に勉強させていただきましたし、これだけの方が同志社大学の大学院の教授として。私は中学、高校、大学と同志社でずっと学んだんだけど、こんな方は見たことがなかった。同志社大学始まって以来の中身の濃い、物事を見抜ける本物の学者だと私は思いますよ。これを誰が一体辞めさせたのかと。同志社大学側にも大きな責任がある。この行為は決して許されることではないとわしは思います。私も同志社大学交友団体連合の立場ですから、大学側にも徹底的に抗議したいと思っております。

(以下略) 

文字起こし:はちコ

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