インフレ高騰時の生き残り方:その1 / ベネズエラ脱出者への独自取材

翻訳チームからの情報です。
 翻訳者のYutikaさんにベネズエラの経済状況をリサーチしていただき、「インフレ高騰時の生き残り方」というタイトルで記事を書いていただきました。今回はその第1弾です。
 "続きはこちらから"以降には、同じく翻訳者で、アルゼンチン在住のふくちゃんさんに、実際にベネズエラからアルゼンチンに移住されてきた方にインタビューしていただいております。
 アベノミクスで大量に円を刷っている現在、日本がベネズエラのようなインフレに陥る危険性はあり得ると思います。そうなると現在のベネズエラのように食料の調達も難しくなり、治安も悪化すると思います。また石油が調達出来ない場合の日本の食料自給率は1パーセントもないと言われています。そうなると、記事で勧めている「国外脱出」という手もありますが、多くの日本人の場合、言語の壁があり大変かもしれません。それよりも、これまで時事ブログでも勧められていたように、今のうちにダーチャのようなものを準備して危機に備えるか、いっそのこと田舎に移り住むのが有効かもしれません。
(編集長)
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インフレ高騰時の生き残り方:その1
皆さま、ベネズエラって国をご存知ですか。南米ですよね、さて南米大陸のどこら辺でしょう。

今回、「日本が同様の事態になったときに備えられるよう、ハイパーインフレのベネズエラ情報を!」という門外漢の私に対する無茶ぶりに対し、最初にやったのは位置を確認するところからでした。あ、そこ、逃げないでください。これでも頑張って調べたので、ちょこっと話を聞いておくんなせぇ。

ベネズエラ Author:Addicted04

ベネズエラ
Author:Addicted04


で、結論から申しますと、カリブ海に面してました。あらやだ、アメリカの対岸じゃないですか。カリブって、ラテンで陽気なリゾート地ですよ、いけいけですよ。それが何故こんな凄まじい経済破綻しているのでしょう。アメリカ様(とそのバックにいるカバール銀行家)を怒らせるとこうなるって見せしめですかね。

昨年6月初旬のとある記事(「ベネズエラのハイパーインフレをどうやって生き延びるか」によりますと、2003年時点では1ドルが1.6ボリバル(ベネズエラの通貨)で得られたそうです。

しかし昨年には172ボリバルで1ドル。しかもこれは公式交換レート。闇市では996ボリバルでやっと1ドルと換えてもらえるそうです。日本円で言うなら、1ドル100円だったのが、十数年で1ドル62,250円ですかっ。

ちなみにこの記事でのアドバイスは……「国外脱出できる内にしておけ」でした。まぁベネズエラの公用語は、世界第四位か第三位のスペイン語ですからね、他国でも生きていける場所は結構ありそうです。実際にスペイン本国に大学進学したりする人もいるみたいですし、アメリカ国内でもスペイン語(というかメキシコ語)は地域によっては普通に使えます。

経済状況が悪化すると、お金の国外持ち出しも制限されるようになりますし、国外どころか都市を抜け出すことすら難しくなるから、と解説していました。仕事も買い手市場になり、賃金がどんどん低下するようです。

いやでも、日本語というマイナー言語の日本人にはあんまり役に立たない生き残り術です。


 ベネズエラの収入源は豊富な天然資源。特に原油埋蔵量が世界一!輸出による収入の95パーセントは原油に頼り切っております。つまり世界の原油価格が変動するとモロに影響を受けるという、なんとも綱渡りな国家経営です(それでも売れる物があるだけ日本よりマシでしょうが)。

おまけに貧富の差も大きくて、折角ガソリンがあっても、車を所有出来るのは富裕層だけです。2016年7月の「ベネズエラ危機:ある国の完全な経済崩壊から学ぶ」によると、国民の約80パーセントは貧困ラインを下回っています。12個の卵一パック買うのに、150米国ドル相当を支払わないといけない生活なんて不可能です。人々の国外脱出に拍車が掛かっています。

 この記事の筆者は、アメリカで同じような事態が発生する可能性については楽観的に見ていますが、それでも一点だけ注意を喚起していました。それは「事態は急変する」ということ。

 ベネズエラ経済は2000年代の半ばまでそこそこ良かったのです。インフレ率も2012年頃までは急騰していませんでした。チャベス大統領の亡くなった2013年に、既に傾きかけていた国をマドゥロ大統領が引き継いだ辺りで問題が表面化したようです。

 記者はチャベスが2007年の時点で石油産業を完全国有化してしまったことを槍玉に挙げています。2014年の石油価格の世界的下落に関しては同意しますが、ビルダーバーグ仲間のエクソンモービル等を追い出したのは正しい判断だと思うんですけどねぇ。ただまぁ、多額の賠償金を請求されているのが痛いところです。

 この記事のインタビューで、ロバート・ヤング・ペルトンというジャーナリストが話しています:「パンや調理用ガスといった生活の基礎となる物品を政府が入手出来ず、(市場から)消えたとき、人々は突如としてパニックに陥る。警察官や市長、さらには兵士の給料でさえ危うくなることを覚悟しておくこと。そしてそうなると非常に不安定な状況となる。私は南スーダンからシエラレオネ、シリアといった国々が破綻するのを目撃してきたが、基本的なインフラというのは即座に崩れ、暴徒による支配がはじまる」のだそうです。

ペルトン氏によると「持ち家所有率が高く、小企業が沢山あり、金の流れが阻害されず、税金が低い」のが健康的な国の指標。「地域を人工的にではなく、自然の帰結として安定化させる、こういった退屈だが基本的事項」が、果たして現在の日本にあるでしょうか。

インフレ破綻したら、トイレって流れるんでしょうか……。外で適当に済ませばいーじゃん、と思っているのでしたら、ヴィクトリア朝ロンドンを調べてください。暗黒の中世じゃありません、シャーロック・ホームズの時代です。

大英帝国ロンドンってめっちゃ臭かったんですよ。水は汚いし、空気も汚いし。スラム街じゃ、妊婦や赤ん坊にビールやジンを飲ませていたんですから(※汚物の浸み込んだ川や井戸水は、よくてお腹を壊すか下手するとコレラに罹患するので、飲めない)。

加えて日本のように自給率が低く、天然資源が貧しい国の場合は一体どうなるのでしょう。崩壊って起こるときは、じわじわじゃなくて、あっという間なんですよね? 背筋が寒くなりました。

文:Yutika


ベネズエラからの移住者にインタビューしてみました!(byふくちゃん)

アルゼンチン(出典)

アルゼンチン(出典)


取材/文:ふくちゃん

南米アルゼンチンはブエノスアイレス在住のふくちゃんです。ここブエノスアイレスにも約2万人とも言われるベネズエラ人が経済危機,政治不安のため祖国を離れ移住しています。そんな移住者の一人,韓国人の経営するカフェで働いているレオナルドさん(25)にインタビューをしてみました。

レオナルドさん

レオナルドさん


‐ブエノスアイレスに来たきっかけは? 
治安が悪く、犯罪も多かったのですが、警察が汚職ばかりで機能せず嫌になったのがきっかけです。アルゼンチンはスペイン語が公用語でメルコスール域内なので居住権が取得しやすいため選びました。今は仕事も見つかり生活に満足しています。ブエノスアイレスにはベネズエラ人のコミュニティもあり生活しやいと思います。

‐ベネズエラの現状は? 
首都カラカスのライフラインはおおむね良好ですが,時々停電や断水があります。大変なのは食料品・生活必需品の値段が毎日かわり品薄であることです。輸入や外貨の制限をしているので,輸入品が手に入りづらく,機械の部品であったり薬品などが不足しているため色んなところに支障がでています。病院へ行っても診察はしてもらえますが,医薬品がないため自分で手に入れなければなりません。

‐治安はどうですか? 
極めて悪いです。警察の汚職が横行しています。

‐都心部と田舎では違いはありますか? 
都心部の方がまだ治安は良いように思います。都市近郊は犯罪が多発し非常に危険です。田舎はよくわかりませんが,似たような状況だと思います。

‐これからの予定は? 
当分はブエノスアイレスにいる予定です。情勢が落ち着いたら戻りたいと思いますが,難しそうです。

ご協力ありがとうございました。

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アルゼンチンでも年40%ほどのインフレがここ数年続いていますが,ベネズエラはその比ではないようです。インフレにより物が買えなくなることも大変ですが,治安が悪化し犯罪が増えることの方がより恐怖に感じます。家族や友人,信頼できる人たちと助け合うことが経済危機を乗り越える上で大切なことだと強く思います。

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