注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
(中略)
「容疑者はいったんは就職したものの、その後、仕事をやめ、実家の酒店で空き瓶の回収などの作業を手伝っていました。最近はあまり見かけなくなりましたが、会えば挨拶などをしてくれる穏やかな男性という印象なので、逮捕されたと聞いて驚いています」と話していました。
(中略)
「ことしの8月くらいからバス停に座る女性の姿を見かけるようになりました。深夜の営業が終わり、午前2時ごろに店の片付けをしていると女性がバス停にやってきて、始発のバスが来る前にどこかへいなくなっていました。(中略) (以下略)
今回の女性野宿者の撲殺事件について、周りにいる困っている人にどう声をかけたらいいかを知りたい方が多いことが分かりました。私が経験してきた範囲でお伝えしたいと思います。まず前提としては困っている人はしおらしく可愛げがあるとは限らないですし、困っている人に関わるのはそれは大変です。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
ある時は嘘をつかれたり、約束を反故にされたり振り回されたり、親切心で提案しても一刀両断されたり、自分から助けを求めてきたはずなのに「もう来るな」と罵倒されたり、拒絶されたり、こちらの時間も膨大にかかる上に大抵の場合にはお金がないからはっきり言って動くお金も全部持ち出しです。
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今回の野宿女性の撲殺事件に関して考えてみると、こんな場面を想像します。近所のバス停に女性が夜いつも座っていて、どうやら帰る家はなさそうだ、「寒くありませんか?」と一回は声をかけてみたものの、「放っておいて下さい」とけんもほろろだった。その内どうにか自分でするんだろうなと考えていた
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または遠巻きに見ているうちに、なかなか洗濯できないから、ちょっとずつ臭うようになってきて、近寄るのは躊躇してしまった。もしかしたらもう少し寒くなったらいなくなるかもしれない、と思っているうちに殺されてしまった、という苦い思いをしている人が何人かいるんじゃないかと推測します。
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大抵、野宿に至るまでにご本人も散々な目に遭ってきたため、そんなにすぐに人に心を開くわけではありません。初めて会う人間に対して警戒するのは当然のことだと思います。私たちの野宿者女性の会の名前は、ある女性野宿者がつけてくれたのですが、「心を開く輪」と言います。そう考えると深いですね。
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ひとまず「こんにちは😃」と挨拶をするところから始めて、まず自分の名前を名乗ります。ご本人が座っていたら見下ろすんじゃなくて、自分も屈んで同じ目線で話しかけます。私だったら「新宿の中央公園で野宿の女性たちのお茶会をやってきた池田幸代と申します」という感じです。
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続いて「寒くなってきたので、ホッカイロありますが使いませんか?」とお声をかけます。その後体の調子を尋ねたり「ここにお一人でいると声をかけられたり、暴力を振われることはないですか?」と尋ねたりします。自分の活動用の名刺があれば連絡先とテレホンカードを渡します。連絡が取れるように。
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私のところにはたまに電話が入りました。
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チラシがあればそれもお渡ししながら最新の情報をお伝えしたりもします。そんな感じで少しずつ顔を覚えてもらいます。話をするまでに10年かかった人もいましたし、若い時には「そんなチャラチャラした格好で来やがって」と怒鳴られこともありました。
でも今や私も安定の中年になり、それなりの人生経験をこちらも積んできたので、大抵の場面には驚かないし、怯みません。中年になって、本当に活動がしやすくなりました。困った人に関わるのは手がかかります。でも、それをおしてでも関わるのは、本人も、周囲も更に困った状態にさせないためです。
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救急の場合は救急車を呼んで、なるべく自分も同乗します。野宿の人がすぐに入院できるとは限らないし、調子が悪いのにそのまま返されて、仕方ないから歩いて炊き出しの現場に戻ってきた人もいました。救急車のボディの横にはナンバーが書いてあるので、仲間に伝えどこの病院に行ったのかの把握も。
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個人でどうにか状況を変えようと無理をしないことも大切です。例えば何人かで関わるようにするのは、自分とは合わない人かもしれないし、合わない時もあるからです。自分と合わなければ別の人が関わってくれればいいし、とあまり一人で抱え込まないことも大切だと思います。
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私が出会ってきた女性野宿者はとにかく女性だと分からないように男モノの洋服をガバッと着て、体の線が出ないようにしていました。20年前は夜中はよく電話ボックスにいて体を休めていると話してあました。お茶会ではタバコをやるからヤラせろ、と言われたと聞き性暴力の危険性にも晒されていました。
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新宿中央公園には文字通り「棄てられた」高齢者もおり、現代の姥捨と本当にびっくりした経験もあります。家族だけでなく、政治や社会からも排除され続けてきました。亡くなったから可哀想なのではなく、見捨てられ、排除され続けた挙句の死なのだと強く思います。私たち社会全体の問題だと思うのです。
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今回のコロナ不況により、益々女性たちが貧困な状況に追い詰められることを考えると居ても立っても居られません。女性たちを非正規雇用に追いやり、体も心も追い詰めてきた政治の責任だと強く思います。安定した雇用が安定した住まいや暮らしや人間関係に繋がることをもっと多くの人に知って欲しい。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
野宿に至るまでには多くの要因があります。親からの虐待、子ども時代の貧困や学びの不足や目に見えにくい障がいにより、人間関係を作るのが困難になっている人もいれば、失業、病、離別などによりダメ押しされる人もいます。どこかの段階でサポートしてくれる人と出会えていればと何度も思いました。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
また、野宿に至らなくても至る場所に貧困は存在しています。8050問題として顕在化している高齢の親と引きこもりの子どもの生活の厳しさ、高齢シングル女性の貧困、若い女性の貧困、これまで個人的なことだと思ってきたしんどさは実は社会的&政治的なことなんだと私たちはもっと気づいていい。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
私が20代の頃、新宿西口の地下のダンボールハウスを尋ね歩いている頃は野宿は自己責任で、社会構造から生じた問題だとは認識されていませんでした。でも、今や感染症拡大という状況だけでこんなにも生活が厳しくなる人が続出する状況を見ながら政治のやり方がおかしいと気付く人が増えたと思います。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
同じ時代に生きる者として酷い政治の中でどっこい生き抜いている野宿の人たちの状況に関心を持ち、少しずつ力を持ち寄って手助けして頂ければと思います。ヒーローやヒロインはいなくても、市井に生きるあなたや私が動けば状況を動かすことは可能です。住まい、雇用、差別などのテーマで繋がりましょう
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
雇用の悪化が著しいので労働組合の活動も大事です。手助けが必要な人に適切な情報をお伝えすることも大切なので、例えば一例ですが、私は9月議会報告のニュースレターに労働組合とはどんな団体なのか、相談する時のポイント、他の相談機関などを掲載しました。それぞれが各地域の情報まとめも。 pic.twitter.com/idV18s5Q12
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
地域に戻って日々やっていることはセーフティーネットの網の目を細かくしていく作業です。生活に困った人が出現した時に、すぐに動けるようにするための市民サポートネット作り、地域で実際に解雇された人の支援をするために急遽結成した個人加盟のユニオンの支部にはすぐに次の相談が舞い込みました。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
皆さまができることをお伝えします。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
①全国各地で野宿の人たちの生存権を守るための活動をしている団体を応援する。https://t.co/MrI73PI8bv
https://t.co/hIxH3UNWXK
②地域の野宿の人たち向けの情報をプリントアウトして必要な人に渡す。https://t.co/TB0tQKgKYA
③野宿になりやすい出所者の人向けには監獄人権センター作成の社会復帰ハンドブックがあります。https://t.co/yIXy8U9iOn
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
④立場の弱い労働者ほど解雇されやすいので、労働組合の相談窓口を伝える。一例として、私の所属する全国一般労働組合は個人加盟できます。https://t.co/6ZOoUaQAjM
「地域から生活保障を実現する自治体議員ネットワーク ローカルセーフティネットワーク」も結成しています。都内には強力な議員ネットワークがありますが、地方はこれからです。自治体議員の方で私たちと繋がって頂ける方も募集中です!https://t.co/Ro2vwD0wSQ
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
新宿中央公園で一緒にお茶会をやっていた元野宿の女性から20年近く経ってから5月にSOSが入りました。私は今伊那谷にいるのですぐに飛んでは行けず、都内の野宿の人たちのサポートをしている先輩や仲間の力を借りてピンチを乗り切りましたが、野宿その後に人間関係を作るのは容易ではありません。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
野宿に至るまでの喪失体験を考えれば当然なのですが、あらゆる人間関係は途切れており、自分が困った時に頼りにできる人間関係を一から作るのは本当に難しいのだと実感しました。地域には彼女のように困っているけれど、「助けて」と言える相手を持たない人もいます。多少お節介でもいいので世話焼きを
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
私は地域で様々な生活サポートの必要な若い女子たちの相談にのっていますが、彼女たちはインターネットを使って自分たちが欲しい情報にアクセスしています。支援団体や当事者グループにお願いしたいのはインターネットに情報を載せて頂き、また、連絡が来たら忙しいでしょうが返信して欲しいです。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
例えば「10代、家出、女子」というワードで検索して、仁藤夢乃さんたちの当事者グループのColaboにたどり着いた子の話も聞きました。その中には安全でない情報ももちろん混ざっています。若い女子たちを狙っている人たちの情報量に私たちは勝たなくちゃならないんだな、とこの時分かりました。
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
今回、Colaboの支援を受けてビッグイッシュー基金の「おうちプロジェクト」を活用させて頂き、虐待されていた親元から一人暮らしに踏み切れた人もいます。大家さんから私が保証人になれば借りられると聞き、また、協力してくれる不動産屋さんも現れました。https://t.co/8vIhsXxxOq
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
議員活動と労働組合活動と現場でのサポートなどに飛び回り、合間に社会福祉士国家試験の勉強もしているのでTwitterでの発信は少し控えていましたが、コロナ不況が女性たちの貧困を加速させ、これは何とかしなくてはと考えていたところにこの女性野宿者の撲殺事件で、居ても立っても居られませんでした
— 池田幸代・駒ヶ根市議会議員 (@sachiiketomato) November 23, 2020
近所の人々はホームレスの女性の存在に気づいていました。「もしも自分が近所にいたら、どうすればよかったのか」と後悔に似た思いを持った人が少なからずいたようで、それに応えるように拡散希望のツイートがありました。とても長いですが、とても参考になりました。ツイートをされた池田幸代・駒ヶ根市議は、ずっと福祉分野で奮闘して来られた方でした。福島瑞穂議員の公設秘書もされていたらしく、まっすぐな福島議員が「まっすぐな女性」と褒めておられました。
「困っている人に関わることはそれは大変なこと。」と。ウソをつかれたり、約束を反故にされたり、振り回されたり、お金がかかったり、、。それでも本人や周囲の人々がさらに困った状態にならないよう、みんなが少しづつ力を持ち寄って手助けができれば。支え合える世の中は、きっと自分自身も生きやすいです。