注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
COVID-19とインフルエンザの合併症を評価するために、米国最大の統合医療システムである国立退役軍人健康管理局(VHA)のCOVID-19入院患者3,948人(2020年3月1日~5月31日)とインフルエンザ入院患者5,453人(2018年10月1日~2020年2月1日)の電子カルテ(EHR)を分析しました。
(中略)
リスク比を計算し、年齢、性別、人種/民族、基礎疾患で調整した。COVID-19患者はインフルエンザ患者に比べて急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のリスクが19倍近くあり(調整後リスク比[aRR]=18.60;95%信頼区間[CI]=12.40-28.00)、心筋炎のリスクは2倍以上であった(2.56;1.17-5.59;1.17-5.59;1.17-5.59)。
(中略)
COVID-19患者の入院中に死亡した割合(21.0%)はインフルエンザ患者(3.8%)の5倍以上であり、入院期間はCOVID-19患者の方が3倍近く長かった。
(中略)
これらの所見は、COVID-19に関連するほとんどの合併症のリスクがインフルエンザに比べて高いことを強調しており、臨床家や研究者がCOVID-19の症状を認識し、モニタリングし、管理する上で役立つ可能性がある。
(以下略)
人種によるリスクの違いも顕著です。
— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
この疾患はまだまだ分からないことだらけです。
Risk for In-Hospital Complications Associated with COVID-19 and Influenza — Veterans Health Administration, United States, October 1, 2018–May 31, 2020https://t.co/T1p6JJfeaK
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— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
・COVID-19とインフルエンザの合併症リスクを評価する目的で、国立退役軍人健康管理局(VHA)の電子カルテから、COVID-19入院患者3948人とインフルエンザ入院患者5453人のデータを抽出解析対象とした。
対象は18歳以上で、COVID-19は2020年3月1日~5月31日のPCRによる確定例、インフルエンザは2018年10月1日~2020年2月1日の迅速抗原検査、PCR、直接/間接蛍光染色、ウイルス培養等での確定例とした。2月1日以降のインフルエンザ確定例はCOVID-19との重複感染リスクを除外するため、解析対象外とした。
— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
・COVID-19患者はインフルエンザ患者よりも高齢だった(70(IQR 61-77) vs 68(61-75), p=0.001)が、基礎疾患の有病率はインフルエンザのほうが高かった。
— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
・COVID-19患者ではインフルエンザ患者よりもARDSのリスクは19倍(aRR 18.60, 12.40-28.00)だった。
その他、2倍以上のリスク上昇が見られたのは、心筋炎(2.56, 1.17-5.59)、深部静脈血栓(2.81, 2.04-3.87)、肺塞栓症(2.10, 1.53-2.89)、脳出血(2.85, 1.35-6.03)、急性肝炎・肝不全(3.13, 1.92-5.10)、菌血症(2.46, 1.91-3.18)、褥瘡(2.65, 2.14-3.27)であった。
— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
・非ヒスパニック系黒人、アフリカ系黒人、他の人種、ヒスパニック系あるいはラテン系の患者では、年齢や基礎疾患で調整しても非ヒスパニック系白人の患者より、呼吸器系、神経系、腎障害、敗血症のリスクが高かった。
— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
・喘息の増悪リスク(0.27, 0.16-0.44)、COPD増悪リスク(0.37, 0.32-0.42)はCOVID-19では有意に低かった。
— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
・COVID-19の入院中死亡リスクはインフルエンザの5倍以上(3.8% vs 21.0%)であり、ICU管理率も2倍以上(17.6% vs 36.5%)だった。入院期間は3倍長かった(3日(1.8-6.5) vs 8.6日(3.9-18.6))。
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・入院期間、ICU管理率、入院中死亡率の比較
— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
いずれもp<0.001でCOVID-19が高いという結果 pic.twitter.com/2KxdLYFVEA
・各種合併症リスクのインフルエンザとの比較
— influenzer (@influenzer3) October 23, 2020
年齢、性、人種/民族、基礎疾患で補正しています。
いまだに根強い、COVID-19のインパクトは季節性インフルエンザと同程度という議論はもう終了で良いのではないかと。 pic.twitter.com/09gDG8KeHh
また、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のリスクは19倍高く、心筋炎、深部静脈血栓、肺塞栓症、脳出血、急性肝炎・肝不全、菌血症、褥瘡(床ずれ)は2倍以上のリスク上昇が見られたということです。
Influenzerさんは、“COVID-19のインパクトは季節性インフルエンザと同程度という議論はもう終了”とツイートしていますが、新型コロナウイルス感染症の「後遺症」のことも考慮すれば、“新型コロナはただの風邪”と見なすのは誤りだと分かります。
新型コロナウイルスに感染した子供の親たち162人からの回答によると、86%の子どもが3か月後でも何らかの症状があり、“疲労 75% 、腹痛 68%、 消化器症状(下痢など) 61%、 喉の痛み 51% 、頭痛 62% 、筋肉痛・筋力低下 50%、他に、発熱、吐き気、気分障害、発疹、めまい、呼吸困難、認識障害など”が見られるとのことです。
また、中央値44歳で、入院した人は18%であったにもかかわらず、“若くてリスクの低い(持病・肥満や喫煙があまりない)人のほぼ70%が発症から4か月後に1つ以上の臓器に障害”が見られたとのことです。新型コロナウイルスは警戒して、感染しないように気を付けた方が良い。
「ノーマスク」を主張する人たちが居るのですが、こちらのツイートには、「マスクと感染者が周りにいるかどうかの聞き取りマップ」があります。このマップを見ると、面白い位にマスクを皆がつけている州は、周りに新型コロナウイルスの感染者がいないことが分かるのです。日本で周りに感染者があまり見られないのは、ほとんどの人がキチンとマスクをしているからなのです。
「ノーマスク」を主張する人たちは、“新型コロナはただの風邪”と見ているのかも知れませんが、風邪の予防にはマスクが必要だとは考えないのでしょうか。