「対ロシア制裁」による肥料価格の高騰は、予見される世界的な食糧危機を悪化させる可能性 ~英国の小学校の給食のメニューに「昆虫食」を試験導入する計画が始まる

竹下雅敏氏からの情報です。
 プーチン大統領は、アメリカのインフレはお金の刷りすぎが原因であり、EUは、「グリーンアジェンダ」を推進する「短絡的な政策」をとったことがインフレの原因であると指摘、さらに「対ロシア制裁」によるガス価格の上昇は、特に肥料の価格を「劇的に」上昇させ、多くの産業を不採算に追い込み、閉鎖を余儀なくさせたと指摘したということです。「対ロシア制裁」による肥料価格の高騰は、予見される世界的な食糧危機を悪化させる可能性があります。
 欧米諸国は自らが科した「対ロシア制裁」の影響で、穀物が届かなくなっているようです。欧米諸国は、“ロシアが黒海のウクライナ港を封鎖している”と非難し、穀物不足をロシアのせいにしているのですが、EU はロシア船舶の入港を禁止しており、ロシアのラブロフ外相は、「ロシアの穀物を輸送する船が実際に制裁を受けている…ヨーロッパの港は彼らを入国させず…ロシアが自国の穀物を輸出するために使用する物流と金融インフラを混乱させている」と言っています。
 アントニオ・グテーレス国連事務総長は、“穀物供給に対する世界的な脅威の状況は発展途上国にとって憂慮すべきものになっている”と言っているのですが、欧米諸国の「対ロシア制裁」は、まずはワクチン接種率の低いアフリカ諸国の人々を、世界的な食糧危機で意図的に餓死させようとしているとしか思えないものです。
 先進国の人々は、食料価格の暴騰で資産を奪われることになる可能性が高く、肉は贅沢品となり、国連の推奨する「昆虫食」へと徐々に移行するのでしょう。英国の小学校の給食のメニューに「昆虫食」を試験導入する計画が始まり、コオロギ、キリギリス、カイコ、ミールワームなどが提供されるということです。
 「貧乏人は虫を食え」という時代が、すぐそこに来ています。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

————————————————————————
米国とEUのインフレは「前例のない」貨幣印刷の結果-プーチン大統領
転載元)
(前略)
ロシアのプーチン大統領は金曜日、アメリカのインフレはアメリカの金融当局が認めた間違いの結果であり、EUではブリュッセルの短絡的なエネルギー政策と関係がある、と述べた。いずれにせよ、モスクワやウクライナでの行動とは何の関係もない、と彼は付け加えた。
 
西側諸国の生活費高騰をウクライナの混乱のせいにしようとするのは、責任逃れに過ぎないと、プーチン大統領はソチでのアフリカ連合のマッキー・サル代表との会談後のテレビインタビューで述べた。
(中略)
アメリカでは、2年足らずの間にマネーサプライが38%、5兆9千億ドルも増加した。プーチンが言うところの「印刷機の前代未聞の出力」であった。

どうやら、アメリカの金融当局は、昔のようにドルが世界通貨である以上、これは世界経済全体に散逸し、アメリカでは目立たないだろうと考えていたようだ。そうでないことが判明した。

アメリカのイエレン財務長官は、インフレについて間違っていたことを認め、「まともな」ことをした、とプーチンは言った。「だから、これはアメリカの金融経済当局のミスであり、ウクライナにおけるロシアの行動とは全く関係ない。」
 
火曜日にCNNとのインタビューで、イエレン氏は、結局インフレを促進した「エネルギーと食料価格を押し上げた経済への予期せぬ大きなショック、供給ボトルネック」を完全に理解していなかったと述べた。
 
EUについては、プーチン大統領は、EU委員会がエネルギー分野において、気候変動への懸念から「グリーンアジェンダ」を推進する「短絡的な政策」をとったことがインフレの原因であると指摘した。また、欧州はロシアの提案する天然ガスの長期契約を拒否し、それがスポット市場の価格を押し上げたとプーチンは述べた。
 
ロシアの指導者は、ガス価格の上昇は、特に肥料の価格を「劇的に」上昇させ、多くの産業を不採算に追い込み、閉鎖を余儀なくさせたと指摘した。
 
多くのヨーロッパの政治家にとって、これは全く予想外の展開であったという。「しかし、我々はこのことについて警告したし、これはドンバスにおけるロシアの軍事行動とは全く関係がない」とプーチンは言った。
 
この記事をSNSでシェアすることができます。


————————————————————————
ロシアは、なぜ穀物がEUに届かないのか説明
転載元)
(前略)
ロシアの穀物輸出は、EUがモスクワに課した制裁が事実上供給を妨げているため、ヨーロッパに行くことができないと、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は水曜日に説明した。
 
「欧米諸国は穀物は制裁されていないと言い続けているが、何らかの理由でロシアの穀物を輸送する船が実際に制裁を受けていることには言及していない。ヨーロッパの港は彼らを入国させず、利用可能な保険もなく、一般的に西側の制裁は、ロシアが自国の穀物を輸出するために使用する物流と金融インフラを混乱させている」とラブロフはモスクワのジャーナリストに語った。
 
EUは、4月に採択された制裁の第5次パッケージの一環として、ロシア船舶の入港を禁止した。
 
ラブロフのコメントは、ロシアが黒海のウクライナ港を封鎖しているという欧米諸国からの非難に続くものだが、モスクワはこれを否定している。
 
クレムリンのスポークスマン、ドミトリー・ペスコフによれば、ウクライナは、船が海に出るのを防ぐ機雷を敷設することで、自国の港を封鎖している。
 
アントニオ・グテーレス国連事務総長は先週、穀物供給に対する世界的な脅威の状況は発展途上国にとって憂慮すべきものになっていると述べた。
 
国連当局者はまた、ウクライナでの紛争とそれに伴うロシアに対する制裁は肥料の価格と入手可能性に影響を与え、これらの要因が組み合わさって小麦のコストを押し上げ、世界的に食糧危機を悪化させる可能性があると述べた。
 
ロシアとウクライナを合わせると、世界の小麦の4分の1以上を輸出している。

あなたはソーシャルメディアでこの物語を共有することができます
————————————————————————
英国、学校給食に「昆虫食」導入 食糧危機や環境問題で注目
転載元)
画像はシャンティ・フーラが別の画像に差し替え

英国の学校で給食のメニューに「昆虫食」を試験導入する計画が始まろうとしている。食糧危機や環境問題の解決策としても注目される昆虫食の普及に向けた取り組みで、ミールワームやコオロギなどの利用が計画されている。英情報サイト「Daily Mail」が伝えている。

「Daily Mail」の報道によると、昆虫食が試験導入されるのはウェールズの4小学校。同意を得られた場合、コオロギ、キリギリス、カイコ、ミールワームなどが提供される。この取り組みを担当する研究者らは、若い世代に肉や魚に代わるタンパク源としての昆虫食のメリットを理解してもらうための試みだとしている。
 
英国では食用の昆虫は広く普及していないが、アジアやラテンアメリカ、アフリカなどでは20億人が食用として利用している。日本でも長野県など山間部ではイナゴの佃煮が郷土料理となっている。
 
2050年までに世界人口は90億人に達し、タンパク質の需要は2倍になると予測されている。このため、国連食糧農業機関も昆虫を貴重なタンパク源として注目するよう勧告している。



また、昆虫食が普及し肉の消費が減れば、温室効果ガスの排出削減にもつながる。実際に食用虫の養殖場では、通常の食肉用の牧場より75%も温室効果ガスの排出が少ないという。
 
昆虫食は食料危機や地球温暖化問題の解決へ向けた突破口になるかもしれない。

Comments are closed.