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ぴょんぴょんの「挑発するコソボ(14)」 ~イヴァノビッチの暗殺に関わったラドイッチはヴチッチの友人
暗殺されたイヴァノビッチ
オリヴァー・イヴァノヴィッチ
Author:Medija centar Beograd[CC BY-SA]
政治家だよ。それも、コソボ・セルビア人の代表。2004年コソボ議会選挙の時は、コソボ・セルビア人の政党「セルビア・リスト」の党首だった。それが、5年前の2018年1月16日、北ミトロヴィツァで何者かに暗殺されたのよ。
残念ながらそういうことだ。イヴァノヴィッチは2010年に、党首をしていた「セルビア・リスト」を離れ、自身の政党「市民主導のセルビア・民主主義・正義(SDP)」を結成。以後、既存の「セルビア・リスト」と政治的に争うことになった。2017年、イヴァノビッチは、「SDP」から北ミトロビツァの市長選に出馬した。選挙期間中、「セルビア・リスト」を優遇するセルビア政府と、与党「セルビア進歩党」を公に批判したが、この頃から、何度も彼の車や財産が燃やされる事件が起きた。
セルビア進歩党のロゴ
Wikimedia_Commons[Public Domain]
付け加えると、「セルビア進歩党」は現在のセルビア与党、ヴチッチが所属する党だ。2017年、イヴァノビッチは1600票を獲得し、ミトロビツァ市長に当選した。
そして、2018年 1月16日、イヴァノビッチは胸に6発の弾丸を受けて死亡。
そして、2018年 1月16日、イヴァノビッチは胸に6発の弾丸を受けて死亡。
ミラン・ラドイッチ
Wikimedia_Commons[Public Domain]
北コソボで起きた銃撃事件の首謀者
9月24日の深夜、北コソボのバニシュカ村に、武装したセルビア人約30人がやってきて、村の橋にトラック数台でバリケードを築いていた。そこに駆けつけたコソボ警察が、バリケードを撤去しようとして、双方の銃撃戦になった。
The terrorist group, sponsored by Vucic, is reported to be taking refuge in Banjska monastery in the north of Kosovo. No wonder why Serbia seeks to maintain control over these religious sites. pic.twitter.com/D97KAD5mkY
— Fitore Pacolli (@FitoreP) September 24, 2023
〈ヴチッチが後援するこのテロリスト集団は、コソボ北部のバニシュカ修道院に避難していると伝えられている。セルビアがこれらの宗教施設を支配下に置こうとするのも不思議ではない。(DeepL翻訳)〉
Terrorist groups within the courtyard of the Banjska Monastery! pic.twitter.com/5JCNme11Fb
— Durim Elshani (@ElshaniDurim) September 24, 2023
〈バニシュカ修道院の中庭のテロリスト集団!〉
事件の5日後、事件の首謀者はミラン・ラドイッチだとわかった。ラドイッチは、武装集団を組織し、すべての後方支援を準備したことを認めたが、セルビア政府は何が起こったか知らなかったと付け加えた。(Wiki)
ミラン・ラドイッチとセルビアの闇
ヴチッチは彼を「コソボ・セルビア人の保護者」と呼んでいた。それについてイヴァノビッチが批判した数ヵ月後に、イヴァノヴィッチは暗殺された。一方、殺されたイヴァノビッチは、ラドイッチを「北コソボの権力の中心人物」と呼んでいた。(Wiki)
🧵1/ Who is Milan Radoičić, the alleged leader of the #terrorist group at the Banjska Monastery in north #Kosovo?
— Balkan Gonzo (@JamesLy16155383) September 26, 2023
He is a close friend/ally of #Serbia's president Aleksandar Vučić, who referred to him as the "guardian of Kosovo Serbs". pic.twitter.com/hjULJQ0Bvs
〈コソボ北部のバニシュカ修道院で起きた #テログループ のリーダーとされるミラン・ラドイッチとは何者か?彼はセルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領と親しい友人であり、ヴチッチ大統領は彼を「コソボ・セルビア人の保護者」と呼んだ。(DeepL翻訳)〉
イヴァノビッチはこんなことを言っていた。「コソボ北部で人々が恐れているのは、アルバニア人ではなくセルビア人、地元の陰謀団、ナンバープレートのないジープで走り回る犯罪者たちなのだ」「子供にも麻薬が売られ、親も苦しんでいる」。だが、犯人が捕まることはない。その理由は、「警察が犯人に狙われるのを恐れているか、犯人が明らかに無法組織とつながっているからだ。」(VREME)
ヴチッチ大統領
Author:European People's Party[CC BY]
今回の銃撃事件での、ヴチッチのコメントを読めば、苦しい心境がよくわかる。ヴチッチ「今回の事件で、セルビア人の一部がそのような挑発に乗ったことを残念に思う」と言いながら、セルビア政府が事件のバックにいることは否定し、クルティは唯一の犯人であり、紛争と戦争を望んでいる唯一の人間だ、すべての責任はクルティにあると言って、すべてをクルティのせいにした。(RadioFreeEurope)(kosovo-online)
そこが、煮えきらないんだよ。たとえば、今回の事件で、襲撃者の制服がセルビアの警察や軍のものと似ていると言われたとき、ヴチッチは「これはセルビアの軍隊や警察の制服ではない。軍服はどこでも買える。武器だって、どこからでも手に入る」と、なんとも説得力に乏しい答えをしている。(kosovo-online)
頑固にコソボの独立を認めないセルビア
27 EU leaders call Kosovo and Serbia to implement deals “without delay or preconditions”, urges Kosovan government to form autonomous body for Serb minorityhttps://t.co/7eLd86Qr65
— DTT-NET English (@dtt_net_english) October 27, 2023
〈EU27カ国首脳、コソボとセルビアに「遅延や前提条件なしに」協定を履行するよう要請、コソボ政府には、セルビア人少数民族のための自治組織を設立するよう促す。(DeepL翻訳)〉
CSMを受け入れてくれなければ、セルビアはどんな署名もしない、しかも、国連を含む、コソボの国際機関への加盟や独立は認めないという姿勢は変えていない。一方、コソボは、少しでも早く、セルビアに独立を認めさせ、国連やEUに堂々と加盟したい。
う〜ん、じゃあ、セルビアの立場を日本に置き換えてみろ。そうすれば、セルビアの気持ちがよくわかるだろう。 「コソボは、旧セルビア王国の首都があった場所です。それをトルコが侵攻した際に抵抗したため、弾圧されセルビア人は北方に逃れました。その後トルコから奪還しますが、その時にはイスラム化したアルバニア人が多数住んでいました。 日本の立場にしますと、清が明を滅ぼした時に、日本が明救援の軍を送ったため、清は怒って日本の京都を占領し、日本人を追い出して朝鮮人を入植させ(ママ)と思ってください。 その後清の力が弱まり、日本は京都を奪い返しますが、そこでは朝鮮人が多数住んでいました。 京都の朝鮮人は、一応自治区を形成していますが、第二次大戦で日本が敗北した時、独立を要求しました。 この時、日本の歴史の故郷であり長年日本の中心であった京都が、日本でなくなる事に、日本人の多数は、簡単に独立を許す事はできないでしょう。」(OKWAVE)
いやいや、野党がうるさくて大変だったのよ。ベオグラードの小学校での銃の乱射事件では、政府の銃規制が甘いからだと叩かれたり、ヴチッチ与党は、メディアコントロールで権力支配を強めていると批判されている。世論調査では、国民の半数近くが、選挙が自由で公正なものとは信じていないと訴えている。(RadioFreeEurope)
ここで書いたように、5月に、セルビア人が多く住む北コソボの地方選挙がありましたが、セルビア人がボイコットしたために、その地域で少数派のアルバニア人市長が誕生してしまいました。それに反発するセルビア人と、市長の登庁をガードするコソボ警察とのにらみ合いで、なんとNATOの治安維持軍KFORが発砲し、セルビア人2名が重傷を負いました。その後、騒動に関与したと思われるセルビア人が次々と逮捕されたり、コソボに帰還したセルビア人の家が焼かれたりという嫌がらせも続きました。そんな、緊迫した空気の流れる北コソボで、ついに9月24日、セルビア人武装集団とコソボ警察の間で銃撃戦になり、死者が出てしまいました。