ぴょんぴょんの「帰ってきた羊羹」 ~兄弟同士のなわばり争いをどうする?

 「ネコの家出」の、行方不明になっていた「羊羹」が、4ヶ月ぶりに帰ってきました。うれしくて、うれしくて、羊羹との再会を喜んだのも束の間、新たな問題が湧き上がりました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「帰ってきた羊羹」 ~兄弟同士のなわばり争いをどうする?

兄弟が争う話


おい、男の兄弟をもつ親は大変だな。

いきなり、なんの話?

つい先日、「弟に、ゲームするくらいなら出ていけといわれ腹を立てた」と、兄が弟を刺し殺す事件があった。(YAHOO!ニュース

きっと、ぐうたらしてるお兄さんを見かねて言ったんだね。

皮肉なことに、たいていの場合、弟の方が兄よりしっかりしてるからな。それに、兄は損だ。怒られるのはいつも兄の方で、弟たちは見逃される。

そりゃ弟は、兄が叱られるのを見て学んでるから、要領が良くなってるしね。

なんと、何千万年前のホツマツタヱの時代から、兄弟が争う話はいくつもある。代表的なのは、ウミサチヤマサチの物語。弟の山幸彦が、兄の海幸彦の大事な釣り針を失くしてしまい、兄が執拗に「あの釣り針」を返せと迫る。


でも、お兄さんのイジワルのおかげで、山幸彦はお嫁さんのトヨタマヒメと出会えたんだよね。で、なんで今日は兄弟の話なの?

実は、6月に家出して、行方不明だった「羊羹」が、ふらっと帰ってきたんだよ。

くろちゃんの恋人、「羊羹」が帰ってきた!?

ああ、数日前のことだ。ほんとにあの羊羹?って、目を疑ったぞ。

約4ヶ月、どこに行ってたんだろう? きっと、やつれてたよね。

それが、最後に見たのとまったく変わりなく、やせてもないし、毛並みもいいし、目やにもついてない。

どっかで、ご飯もらってたんだよ。


だとしたら、ありがたいことだ。

あの頃のくろちゃんは、まるで恋人に捨てられたみたいに落ちこんでたもんね。

ああ、羊羹を探してあちこちさまよい、そっくりのネコを見つけては追いかけて。その羊羹が帰ってきた! 兄弟の豆大福(マメ)もきっと喜ぶだろう、と思って引き合わせると、互いに匂いをフンフンかいだかと思うと、羊羹が「シャー!」、マメは「ウウ〜!」

うわあ、再会を喜んでる雰囲気じゃないね。

むしろ、険悪ムード。そこで、やっと悟ったんだ。マメが羊羹を追い出したんだと。

羊羹は、兄弟であるマメに追い出された?

残念ながら、それが真相らしい。ああ~ なんでこの世は、良いことと悪いことが背中合わせになっているんだろう?

小さい頃はあんなに仲良しだったのにね。兄弟でも、オス同士のなわばり争いはあるんだね。このままだと、家の中でバトるよ。やっぱ、原因は「玉」じゃない?

やっぱ、玉を取っとけば良かったんかなあ。

室内飼いのネコを去勢するのは、オス同士のなわばり争いやマーキングを防ぐためだからね。争って弱いほうが出ていく。それが、弱肉強食の自然だよ。「玉」を取らないなら、自然を受け入れるしかないね。


でも、原因は、玉だけじゃなさそうだ。玉を取っても、なわばり争いをするケースもあるからな。おれはただ、ヤツらに自然のままに生きて欲しいだけだ。人間のわがままで、自然に介入したくない。

となると、これから先が大変だよ。


犯人は羊羹だった


う〜ん、だが、かわいい羊羹を守るためには、なんとしても乗り越えねばなるまい。そうそう、帰ってきた日の羊羹のことを話そう。久しぶりの我が家で、ご飯をハグハグ夢中に食う羊羹。それを見ながら、おれは幸せいっぱいだった。何度もおかわりして、腹いっぱい食わせると、羊羹はどこともなく消えていった。さあ、おれも寝よう、と思ってベッドに行くと、そこに羊羹が寝ている! これこそ、夢にまで見た景色! また、羊羹と一緒に寝られる幸せ・・と、思った瞬間、シーツの上に何か見慣れない山が築かれているのを発見。

まさかのウ・・?!

いや、ウンコじゃねえ。今食ったばかりのメシを、原型を留めたまんま吐いてたんだ。

ネコはよく吐くと言うけど、やっぱ、食べ過ぎちゃったんだよ。

速やかに吐物を片付けて、シーツを交換し、新しいシーツに横になると、羊羹が胸の上に飛び乗ってきた。その重さと暖かさ、羊羹の感触を噛みしめていると、突然、羊羹はベッドの下に降りてしまった。どうした?と思って起き上がった瞬間、何か冷たいものに触れた。シーツが濡れている! ヤられた〜!!


代えたばかりのシーツに、オシッコしたんだね。

しかも、おれのパジャマも、ベッドパッドもビショビショだ! また、交換しなくちゃなんねえ~ はあ〜。

羊羹て、そんな子だったの?

ああ、思い出せば、いろいろあった。マメと羊羹を家に入れ始めた頃だった。どっちの仕業がわからんが、ネコ用トイレから数センチはずれた床の上に、オシッコやウンコをしてるヤツがいた。ある時はネコ用ベッドの中に、ある時は人間用トイレの床にオシッコしてて、危うく踏みそうになったぞ。

アハハ! 一応、ちゃんとトイレでしたんだね。このネコみたいに、便座に乗ってオシッコしてくれたら良かったのにね。


うわあ、こんなネコがいるんか! でも、だんだんと見ているうちに、犯人は羊羹だと確信した。羊羹はおバカなんだよ。

アホな子ほどかわいいって、言うからねえ。


自分と相性のいい子もいれば、悪い子もいる


シーツとベッドパッドを交換して、パジャマも着替えて、やっと羊羹と寝ることができ、1秒1秒、幸せを噛みしめた。このまま、朝が来なければいいのにと思ったわ。

まるで、恋人同士みたい。ほんとに、羊羹のことが好きなんだね。

だって、かわいいんだもん!


それに、性格がいいんだ。

マメはかわいくないの?

マメもかわいいよ。だが、あいつは、羊羹を追い出したからな、プンプン!

マメは、くろちゃんの羊羹への熱い思いを知ってるから、ライバル視してるんじゃない?

たしかに、一緒に寝るのも羊羹の方が多かった。マメより先にベッドに乗ってるからな。

羊羹は甘え上手だね。そういう時、マメはどうしてるの?

ちょっと離れた、ネコぶとんの上でひとりで寝ていた。そう言えば、羊羹が帰って来ない時は、マメがふとんに入ってきたんで、マメも一緒に寝たかったんだとわかった。

かわいそうに、マメは羊羹に遠慮してたんだよ。もっと、マメと寝てあげたらいいのに。

それがなあ、マメとはよく寝られねえんだよ。おれがちょっと動いただけで、すぐに目を覚ますし、夜中の2時になると「外に出せ」とミャーミャーうるさいし。それに比べて羊羹は、朝までじっと静かに寝てくれるので、こっちも熟睡できる。羊羹は、一緒にいて落ち着くんだ。


相性かな。ドーシャの違い?

かもな。おれとマメはピッタで忙しい。羊羹はカファでのんびりしてる。

これから、譲渡会などで犬やネコを飼う人は、ドーシャも調べた方がいいね。

それでもおれは、マメと羊羹を平等に扱っているつもりだった。知らない間に、マメは悲しい思いをしていたのかなあ。子どもが何人もいる親は大変だなあ。

人間の子は言葉もわかるし、ネコ以上に難しいと思うよ。どんなに愛しているようにふるまっても、本心かどうかバレバレでしょ?

こええ〜!

自分と相性のいい子もいれば、悪い子もいる。かわいい子もいれば、かわいくない子もいる。自分の子なのにどうして愛せないのか、って悩んでいる親も多いしね。逆さ縁というのもあるし。

竹下先生がどっかで言われていたように、夫婦が子どもを作るときは、2人で心静かに「ガヤトリー・マントラの除霊と浄化」を祈ってから床に入るべしと。

親は責任重大だね。


マメの不安を取り除く


おれも、責任重大だよ。これからの冬、2匹が同じ部屋で過ごせないのは困る。今でも、羊羹を外に出したら、入れ替わりにマメを家に入れるようにしているが、家の中のマメは、ミャーミャーうるさいったらありゃしない。

安全だと思ってた家の中で、羊羹の匂いがするから、落ち着かないんだよ。

あいつのミャーミャーが何十分も続くと、ノイローゼになりそうだ。もお、ガマンできねえってんで、マメをケージに入れて布をかぶせてほっといた。そしたら、少しは静かになったが・・。


ふう〜ん。まずは、くろちゃんの心を静かにした方が良さそうだね。ワサワサしてると、いいアイディアも浮かばないよ。

おめえの言う通りだ。静かに座って考えた。あいつのミャーミャーはオスの本能だ。それをコントロールするにはどうするか?

やっぱり、玉を取るしかない?

それがてっとり早いのはわかる。だが、おれは獣医を信用しない。それに、人間の都合で自然をコントロールしたくない。すると「不安」という言葉が浮かんできた。たしかに、興奮状態のマメは「不安」の波動に落ちている。同時に羊羹も「不安」を感じて、相乗作用で「不安」が拡大しているようだ。

でも、ネコにカウンセリングはできないよ。

いい方法があるじゃねえか。ホメオパシーだよ! 「不安」と来れば、硝酸銀の「Arg-n(アージニット)」。早速、マメを膝に抱き、アージニットの粒を奥歯のすき間から入れてやった。


効くかな?

いや、すぐにはムリだ。相変わらず、羊羹を探しに行きたいマメは、うずうずして落ち着かない。となったら・・。

お次は、ガヤトリー・マントラの出番かな。

その通り! おれは祈った。「母なる神さま、マメの不安を取り除いて、波動を高く引き上げてください」と、そして、ガヤトリー・マントラを唱えていると、驚いたことに、マメの様子が一変した。チラッとこちらを振り向いたかと思うと、膝に体重を預けてリラックスし始めたんだ。

スゴい! そんな突然の変化って、あり?

おれも、ビックリしたが、3唱が終わっても、ガヤトリー・マントラを唱え続けた。ミャーミャーどころか、まったく静かになってしまった。窓にうつる羊羹の姿を見て、ようやくもぞもぞ動き出したので、反対方向の扉から出してやった。羊羹をうちに入れると、同じようにアージニットを飲ませた。

う〜ん、これは、使えるかもしれないね。にしても、せっかく羊羹が帰ってきたのに、家の中がドタバタで大変だったね。

初めはパニクったが、いろいろ実験できて、おもしろいかもしれない。それに、こんなささいな問題、ガザの人たちの苦しみを思えば「ごめんなさい!」ってレベルだよ。ちなみに、羊羹を追い出した、目つきの良くないマメはこちらです。


「しばくぞ、コラ!」って顔してるねえ。



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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